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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

本来、修道士は子供を成してはならない存在である。

なぜなら、貞潔、清貧、順従という誓願をたてているからである。

それ以前に、アイラトは先生に子を作れる人がいたことに驚いて開いた口が塞がらなかった。

先生はみんなの先生であり、

ずっとそばにいてくださるものだと思って……

フョードル修道士

と、言っても、血が繋がっているわけではないのですがね。

その言葉に、アイラトは目を点にした。

なあんだ、本当の息子じゃないのかと罰当たりにも安心してしまった。

アイラト・B・ゴーゴリ

血、繋がって……?

フョードル修道士

この子は……

先生は寂しそうな顔をして、そのドロフェイの頭を撫でた。

フョードル修道士

奇跡の、子、です

アイラト・B・ゴーゴリ

奇跡?

フョードル修道士

……まあ、この子の出生は私の話に関係していませんから。

フョードル修道士

さら、ドロフェイ。自己紹介なさい

ドロフェイ・ドストエフスキー

……ドストエフスキー

ドロフェイ・ドストエフスキー

ドロフェイ・ドストエフスキー

ドロフェイ・ドストエフスキー

……お前の名前は?

フョードル修道士

こら、お前とか言わないの。

ドロフェイ・ドストエフスキー

いたっ

先生がドロフェイの頭をこつく。

アイラト・B・ゴーゴリ

ぼ、僕は、アイラト・B・ゴーゴリ。

ドロフェイ・ドストエフスキー

……名前は父さまがつけたの?

アイラト・B・ゴーゴリ

あ、うん。先生がつけてくださった名前で……

ドロフェイ・ドストエフスキー

ふーん

フョードル修道士

ごめんね、アイラト。

フョードル修道士

ドロフェイ、とっても人見知りだから……

ドロフェイ・ドストエフスキー

ちがう! ドローニャは人見知りなんかじゃ……!

フョードル修道士

はいはい。

ドロフェイ・ドストエフスキー

ちが! 父さまちがう!

ぽこぽことドロフェイは先生の腹部をたたく。

必死にたたいているようだけれど、あまりにもか弱く、ペチペチという音しか響かない。

だから、あまりにもかわいらしく見えて、アイラトはドロフェイに話しかけた。

アイラト・B・ゴーゴリ

ドロフェイは、先生のどんなところが好き?

フョードル修道士

え?

ドロフェイ・ドストエフスキー

え、あ……

ドロフェイ・ドストエフスキー

ね、寝る時、

アイラト・B・ゴーゴリ

寝る時?

ドロフェイ・ドストエフスキー

寝相が悪くて、毎回ベッドから落ちちゃうところ……

フョードル修道士

な、なんで知ってるの、ドーラ!

アイラト・B・ゴーゴリ

見てみたい……

フョードル修道士

アイラトも!

ドロフェイ・ドストエフスキー

恥ずかしそうにのぼるところ、好き

フョードル修道士

なんて話してるの!

アイラト・B・ゴーゴリ

ええ、見たい

なぜだか、アイラトとドロフェイはこのままの勢いで仲良くなってしまった。

ドロフェイは修道院の子ではないようで、

顔を見せるのは週に一、二回程度だった。

でも決まってドロフェイは修道院に来た時、

先生とアイラトの元へ一直線を走ってくるのだ。

それがかわいらしくて、かわいらしくて、

アイラトにとってドロフェイは弟のような存在になっていった。

アイラト・B・ゴーゴリ

あ、ドローニャって、髪の毛、少し紫っぽいね

ドロフェイ・ドストエフスキー

え? そう?

アイラト・B・ゴーゴリ

うん。なんか、完全な白じゃないっていうか……

アイラト・B・ゴーゴリ

……あれ?

アイラトはドロフェイの髪の毛を軽くつまんで

じっと目を凝らしてみた。

……アイラトから見て右側が少し、紫がかっている。

アイラト・B・ゴーゴリ

……最初から、紫っぽかったっけ……?

ドロフェイ・ドストエフスキー

ねえ、なあに?

ドロフェイ・ドストエフスキー

見えないし、なんの話してるのかわからないんだけど……

アイラトはドロフェイの肩をつかむ。

アイラト・B・ゴーゴリ

き、君の、ママは?

ドロフェイ・ドストエフスキー

え?

アイラト・B・ゴーゴリ

君の、パパ、ママは?

ドロフェイ・ドストエフスキー

ぱ、パパ……?

ドロフェイ・ドストエフスキー

父さまの、こと?

アイラト・B・ゴーゴリ

ううん違う。

アイラト・B・ゴーゴリ

君の、本当のパパとママは?

ドロフェイ・ドストエフスキー

ドローニャに、母さまはいない……

ドロフェイ・ドストエフスキー

ドローニャの父さまは、あの、父さまで……

ドロフェイはうろたえたように、アイラトの目をじっと見る。

ドロフェイ・ドストエフスキー

ラーティク、ひどい!

ドロフェイ・ドストエフスキー

ドローニャが父さまの子じゃないって言いたいの?!

アイラト・B・ゴーゴリ

ちがっ……!

アイラト・B・ゴーゴリ

そうじゃない!

アイラト・B・ゴーゴリ

ただ……

紫といえば、闇をイメージしてしまう。

昔からそうだった。

だけど、先生の瞳の色は闇だとは思わなかった。

それなのに、なぜ、なぜ

ドロフェイの髪の毛の色は闇を彷彿とさせてしまうの?

綺麗な、綺麗な白い髪をしているのに。

闇とは真逆なのに、

どうして……

アイラト・B・ゴーゴリ

ちが、ちがうよ……

アイラト・B・ゴーゴリ

僕はドローニャを否定するつもりはないよ……

アイラト・B・ゴーゴリ

だけど、ドローニャの髪の毛が、

アイラト・B・ゴーゴリ

先生の瞳の色と似ていなかったから……!

ドロフェイは訝しげに小首を傾げる。

ドロフェイ・ドストエフスキー

……父さまの、目?

ドロフェイ・ドストエフスキー

……父さま、紫じゃないよ?

ドロフェイ・ドストエフスキー

父さま、青っぽい目だよ

アイラト・B・ゴーゴリ

……え?

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