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数学のかみさま 1

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数学のかみさま 1

1 - 数学のかみさま 1

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2018年09月27日

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神田 あかり

ふぁ…あ、寝坊した

私は神田 あかり。 都内の自称進学校に通う高校3年生。

成績は上の中で、 運動も人並みには出来るし、 容姿もそこそこな方。 遅刻さえしなければ、 割と完璧なんじゃないか、 と自分でも思ってる。 あ、ナルシストではない。

神田 あかり

母さん、今日塾だから夜遅くなるわ

あかりの母 美波

了解。行ってらっしゃい

私の母は かなり寛容な人で、 私がどれだけ遅刻しても何も言わないでほっといてくれる。 いわゆる放任主義ってやつ。

神田 あかり

行ってきまーす

そんなこんなで、ゆっくり支度を済ませると、私はのろのろと駅へ向かい、 いつもの電車に乗る。

太原 輝

あれ、神田じゃん
おはよう

神田 あかり

あ、おはよ

神田 あかり

なに、太原も遅刻?

太原 輝

「も」って…
お前いつも確信犯なのな

神田 あかり

当たり前でしょ

こいつは同じクラスの太原 輝。 皆からはぴかるんとかピ●チュウとか呼ばれてる、いわゆるお調子者。

神田 あかり

太原が遅刻なんて珍しいね

神田 あかり

皆勤賞狙ってたんじゃないの?

太原 輝

しゃーない

太原 輝

今朝は馬鹿みたいに眠かったんだよ

神田 あかり

夜更かしでもしたの?

太原 輝

舐めんな、完徹だ

神田 あかり

馬鹿だね

太原 輝

うっせぇ

太原 輝

友達とゲームしてたら、
いつの間にか夜が明けてたんだよ

神田 あかり

あっそ

そんな他愛のない話をしていると、 気づけば電車は高校の最寄り駅に着いていて、私達は駅を出て学校へと歩いていった。

神田 あかり

そういや、今日からだっけ

神田 あかり

数学の分割授業

太原 輝

え、何それ

太原 輝

聞いてない

神田 あかり

はぁ?

神田 あかり

昨日説明されたでしょ

太原 輝

寝てたな、多分

神田 あかり

あっそ

神田 あかり

数学の授業が2コマに分かれるんだってさ

神田 あかり

センター対策の授業と
二次試験対策の授業に

太原 輝

え、じゃあ数学の授業数
2倍になるってことか

神田 あかり

そういうこと

神田 あかり

その分、理社の授業が潰れるんだってさ

太原 輝

まじか…

太原 輝

俺の睡眠時間……

風紀担当教師 風間

お前ら、何堂々と遅刻してんだ

神田 あかり

げ、

太原 輝

風間…!

風紀担当教師 風間

朝っぱらからイチャつく暇があるなら寝坊するな!

神田 あかり

いちゃついてません

神田 あかり

私は普段通り遅刻してきただけです

太原 輝

おい

太原 輝

普段通りってなんだよ

風紀担当教師 風間

うるせぇ
さっさと教室行け

その後、私達2人は 風間に頭を掴まれた状態で 教室に連れていかれた。

そして、 当然のごとく めちゃくちゃ笑われた。

朝こそ最悪だったものの、 その後私は無難に授業をこなし、 お昼休みとなった。

照間 沙耶香

あかりー!

照間 沙耶香

ご飯食べよ!

神田 あかり

いいよー

神田 あかり

にしてもさっきの授業つまんなかったね

照間 沙耶香

ほんっとそれ!!

彼女は、照間 沙耶香。 短めの髪をピンで止めていて、 陸上部で専門は短距離走。 私の1番の友達だ。

照間 沙耶香

そういや、数学のクラス割り、もう見た?

神田 あかり

まだ…

神田 あかり

成績順に分けられるんだっけ?

照間 沙耶香

そうそう!

照間 沙耶香

私、数学苦手だから、
どっちも一番下のクラスだったよ…

高3の6月という、 微妙な時期から始まる この数学分割授業は、 自称進学校特有の成績順にクラス分けされるものらしく、

センター試験対策の授業「数学α」と、 記述二次試験対策の授業「数学β」 の2つに分かれ、 それぞれの授業が3つのクラスに分けられるらしい。

上から順に、 「特進クラス」 「標準クラス」 「基礎クラス」 となっていて、 どうやら沙耶香は「基礎クラス」だったようだ。

神田 あかり

私はどこだろ…

神田 あかり

数学そんな得意でもないからなぁ

照間 沙耶香

早くご飯食べて見に行こうよ

神田 あかり

そだね

そうして、私達は早めにお昼を済ませると、学年の掲示板へと向かった。

神田 あかり

おお、皆群がってる

照間 沙耶香

あかりはねー…

照間 沙耶香

あった!

沙耶香が指さす方を見ると、 私の名前があった。

神田 あかり

えーと…
数学αが「特進」で
数学βが「標準」かぁ…

神田 あかり

ま、そこそこってとこかな

照間 沙耶香

なにその台詞ー!

照間 沙耶香

私も1度で良いから言ってみたいなぁ…

しょぼん、と落ち込む沙耶香を励ましつつ、私達は教室へと戻った。

5時間目は、早速数学β。 それぞれの教室へと生徒達は移動していく。

神田 あかり

えーと、標準クラスは…7組の教室か

太原 輝

お、神田もここか

神田 あかり

え…太原も?

太原 輝

なんだよその嫌そうな顔

神田 あかり

そんな顔してないし

そう言って、適当に太原をあしらうと、私は座席表に従って、自分の席へと着いた。

うちのクラスから「標準クラス」に割り振られた人は少なく、 周りはほとんど他クラスの人だった。

神田 あかり

全然知らない人ばっか…

うちの高校は都内有数のマンモス校で 一学年の人数は約600人。 3年間過ごしても、まだまだ見たことない人で溢れかえっている。

数学担当教師 今原

よーし、授業始めるぞー

そんなこんなで、授業が始まった。

_____30分後。

神田 あかり

思ってたよりも眠い……

私の席は窓際の最後列で、午後一番の気持ちの良い風が通る、最高の席だ。

神田 あかり

ふぁ……

あくびをしながら、何気なく右隣に目をやると、隣の男子も、 見事に机に臥せっている。

神田 あかり

爆睡じゃん……

河原 千尋

………んん

神田 あかり

寝言言ってるし…

半ば呆れながら、隣の彼を見ていると眠りから覚めたのか、 少し体を起こした。

神田 あかり

……!

…おっと。 この人 結構イケメン…!

河原 千尋

………ふぁ

まだ、寝足りないといったような顔で1つあくびをした彼は、 手元にあった眼鏡をかけた。

別に、 私はイケメン好きなわけではないし、 惚れやすいわけでもなければ、 そこそこにモテるから 男に飢えてるわけでもない。

だけど、 久しぶりに目を奪われた。

……そういや私、 眼鏡フェチだったっけ。

数学担当教師 今原

神田ー
おーい神田ー

神田 あかり

え、あ、はい

数学担当教師 今原

「はい」じゃない

数学担当教師 今原

この問題、解いて

神田 あかり

あれ、私当たってたっけ…

数学担当教師 今原

今当てたんだよ!

まるでコントみたいなやりとりに、 クラスが沸く。

若干赤くなった顔を抑えながら、 私は黒板へと向かった。

河原 千尋

……

隣の彼は、眠たそうな目で、 そのやり取りを見ていた。

その後、 私はなんとか問題を解き切り、 席へと戻った。

太原 輝

どんまい神田

神田 あかり

うっさい

席に戻る途中で、 3つ前の席に座る太原にからかわれたけど、気にしない。

私の隣の例の男子は、さっきと変わらない、寝たそうな表情でノートを取っていた。

授業後。

照間 沙耶香

あかりーーー!

神田 あかり

おおっ

神田 あかり

沙耶香、どしたの

照間 沙耶香

「基礎クラス」のメンバー、うちのクラスのばっかでつまんないんだけど!!

神田 あかり

あらま

神田 あかり

うちとは逆だね

照間 沙耶香

てことは「標準クラス」は他クラスばっか?

神田 あかり

そそ。

神田 あかり

知らない人ばっかりでつまんないや

そんな会話を廊下でしていると、 さっきの男子が 私の横を通った。

思わずそっちに目がいってしまう。

照間 沙耶香

あれ、あかり、
千尋の事知ってるの?

神田 あかり

ちひろ?

神田 あかり

誰それ

照間 沙耶香

え、今通った男子

神田 あかり

え、

神田 あかり

あの人千尋って名前なの

照間 沙耶香

女の子みたいな名前でしょ

そう言って、沙耶香はスマホを取り出して、1枚の写真を見せる。

照間 沙耶香

照間 沙耶香

ほら、この人

照間 沙耶香

赤カーディガンの左隣!

神田 あかり

あ!

神田 あかり

あの人だ

沙耶香が見せてくれたのは、 4月に撮った陸上部の集合写真で、 そこには少しはにかんだ あの人が写っていた。

照間 沙耶香

河原 千尋って名前で、
確かハードル走だったかな

神田 あかり

確かって

神田 あかり

あんま関わったことないの?

照間 沙耶香

うーん…

照間 沙耶香

あるにはあるけど、
女子相手にあんまり話さないから

照間 沙耶香

言うほど、仲良かったわけでもないかな

神田 あかり

ふーん

河原 千尋……かぁ。

名前だけでも覚えとこ。

照間 沙耶香

もしかしてあかり

照間 沙耶香

千尋に一目惚れ??

神田 あかり

なわけないでしょ

神田 あかり

私が一目惚れすると思う?

太原 輝

無いな

照間 沙耶香

うわぴかるん

照間 沙耶香

いきなり会話に入ってこないでよ!

太原 輝

そうカッカすんなって

太原 輝

で、一目惚れがどうしたんだよ

神田 あかり

何でもないから

神田 あかり

授業始まるよ

太原 輝

おい神田

太原 輝

なんか今日俺に冷たくね?

神田 あかり

あんたがやたら絡んでくるからだよ馬鹿

おもわず漏れたため息は、 太原には届かなかったらしく、 私は2人を残して、席に着いた。

6時間目は世界史の授業で、 私は半分上の空だった。

別に、一目惚れとかじゃないけど、 私の頭の中には、 河原 千尋のあの眠たそうな表情が いつまでも残っていた。

to be continued……… >>>>数学のかみさま 2 へ。

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