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のぶ代と少年

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のぶ代と少年

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2019年09月23日

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平日の昼下がり

長年の激務から開放されたのぶ代は、近所の公園で一人のんびりとしていた

夕暮れにさしかかった頃、砂場で遊ぶ一人の少年をみつける

小学校低学年と見られるその少年は、小さい体に似合わない大きな黒ぶちの眼鏡をかけ、一人黙々と砂山を作る

のぶ代

おばちゃんもお手伝いしていいかな?

少年はパッと顔をあげ、か細い声で

少年

うん、いいよ

少年の横に座り、砂山に砂をかけていくのぶ代と少年

のぶ代

一人で遊んでるの?お友達とは遊ばないのかな?

砂山にまっすぐ視線を向けたまま、少年は答える

少年

僕...今日は友達と喧嘩しちゃったんだ...

のぶ代は目を細めながら少年を見つめる

あぁ君みたいな子を、私はずっと知っているよ...と

のぶ代

僕ちゃん、ドラえもんってアニメ知ってる?

少年

知ってるよ。僕タケコプターが欲しいな。あれがあれば毎日遅刻なんかしないのに!

のぶ代

おばちゃんね、ドラえもんの物真似ができるんだよ

少年

本当に?やってみせてよ!

少年は初めて小さな笑顔を見せてくれた

のぶ代

ノビ太くん、ジャイアンなんかに負けるな!僕がついてるよ!

ふと見ると、少年の顔がうっすら雲っている

少年

おばちゃん...ドラえもんの声は、そんな変なガラガラ声じゃないよ

少年

全然にてないじゃないか!うそつき!

砂山をぐしゃりと潰し、走り去っていく少年

のぶ代は何もいえなかった

あたりは暗くなり始めていた

のぶ代

...僕、ドラえもん......
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