幸せになれない私達。

初めて竜胆さんの車に乗った

いつもは少し歩いて、居酒屋に行くのに

今日は遠いところに行くのかな

ドレス？仕事？

竜胆さんはアパレル系の仕事をしてるって言っていたけれど

何をするのだろうか

初めてのことで緊張して、隣にいる竜胆さんが

知らない人のように見えた

まるで童話の話にあるような建物

いや、中世のヨーローッパのお城と言った方が的確なのかもしれない

こんな建物が日本に実在していたなんて

それに、知らない人が多くて人見知りの私には恐怖でしかない

竜胆さんと顔立ちが似ていて、兄弟かと思ったけど違った

オークションが始まって、私は前に立たされた

大勢の視線が私の体や顔に向けられて

今にも吐き出しそうになった

観客）わーー！！！！

何円行きますか！！

竜胆さんではない誰かに、私は買われた

それでも、竜胆さんは大丈夫って言ってくれた

だから大丈夫、大丈夫

オークション終了後、一人の男が近寄ってきた

いつもなら、はいとか、わかりましたって

言えるはずなのに、言えなかった

怖い。竜胆さん、助けて

恐怖で体が動かなくて、これから何をされるのだろうと想像しただけで…

息が詰まりそうだ