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………ッ…

目が覚めると、蘭はベッドの上にいた。

真っ白な天井と壁、周りには同じようなベッドがあり、見知った顔が眠っていた。

ここは…

ココ

病院だ

蘭が困惑していると、横のベッドにいたココがそう言った。

ココ

心配するな、元の世界と同じ…あの闇医者のいる病院だ

ココ

特に詮索もせず、いつも通り手当してくれたよ

お前が、俺らをここに…?

ココ

いや、運んでくれたのは長谷川だ

ココ

和田達の荷物を持ってくる途中、道で倒れていた俺たちを見つけたらしくてな

長谷川って、もしかして和田のとこの?

ココ

ああ

(気絶させられて、そのまま放り出されたか)

……ん?

和田達の荷物って、どういうことだ?

ココ

午前9時頃、逃げ出した夢を和田が見つけて

ココ

それから花笠樹を中心に、逃亡の手助けをしていたらしい

ココ

だが12時頃、繁華街の十字路で梵天に待ち伏せされ

ココ

花笠樹は左目を撃たれ、夢を乗せたままバイクが横転

ココ

その後和田達が駆けつけるが、和田は左肩と右太腿

ココ

本田は腹部に2発の銃弾を撃ち込まれ、今3人は治療を済ませベッドで安静にしてる

無事なのか?

ココ

ああ…まだ花笠樹だけ意識が戻ってないが、和田と本田はもう目を覚ましてる

ココ

それにあいつらだって腐っても反社だ、頑丈なんだろ

ココ

長谷川から聞いた話では、花笠樹は左目と頭蓋骨が削れただけで、脳への損傷はないそうだ

ココ

射程がズレたんだ、奇跡だと言っても過言じゃない

ココ

和田と本田は出血が酷かったが、命に別状は無いそうだ

ココ

俺らは軽く殴られて気絶されられただけで、特に目立った怪我は無い

ココ

起きたらあとは帰っていいそうだ

…そうか

ココ

にしても軽傷の俺らに対して、処置適当すぎだろあの闇医者

ココ

治療の腕は確かだし、重傷者優先なのは当たり前だけど

ココ

一応頭とか首元ぶん殴られたし、マイキーに関しては骨いってるかもしんねーんだから

ココ

少しはちゃんとした治療しろって思うくらいだ

ココ

しかもあの闇医者…

ココ

「お前らが俺の知ってるお前らじゃねーことは分かってる」

ココ

「だが治療費はいつも通りの額払ってもらうぜ、長い付き合いだしな?」

ココ

とか言って、相変わらずとんでもねー額の治療費請求してくるしよ

ココ

まあサツに突き出されるよかマシだし、融通効く奴で良かったとは思ってるけどな

そう言ってココは、呆れたようにため息を付き頬杖をついた。

ココ、夢ちゃんのこと…知ってるか?

ココ

ああ…鏡の部屋に戻る途中、奴らに見つかって連れていかれたよ

ココ

…信じられなかった

ココ

あんなに弱って…あんなにやせ細って…

ココ

夢の状態を見るに、前の記憶喪失とはまるで違っていた

ココ

あれは多分、一種の洗脳に近い

ココ

奴らの目的は分かってる、だがそれにしてもやりすぎだ

ココ

あんなになったら、夢まで…

ココはめに涙を溜めながら、震えた声でそう言った。

…なぁ、ココ

もう一回、夢ちゃんを助けに行く気はあるか?

ココ

…できるなら、してぇよ

ココ

夢を助けるためなら、元の夢を取り戻すためなら

ココ

俺はいくらでも金をつぎ込むつもりだ

ココ

だが、今の俺らは完全に無力だ

ココ

人数もいねぇ、武器もねぇ、オマケに今はほとんどのメンバーが病院のベッドの上

ココ

こんな状態で、何が出来る…?

いや…まだ手段は残ってる

ココ

は?それ、どういう…

ココが言い切る前に、蘭はベッドから起き上がり、病室から出て行った。

ココ

お、おい蘭…!

鏡和田

………それで、俺のところに来たってか?

ああ…

和田はベッドに横たわったままそう問い、蘭は少しの迷いもなくそう答えた。

鏡和田

結局、お前は俺に何をして欲しいんだ?

お前の組織の組員を何人か貸してほしい、あと出来れば武器も

鏡和田

……いいか灰谷、はっきり言っておくぞ

鏡和田

俺はお前に組員を貸す気はねぇし、武器を渡す気もねぇ

鏡和田

そしてもう、夢を助ける気もねぇ

…ッ…!?

鏡話題の予想だにしない発言に、蘭は思わず目を見開いた。

なんで…お前、俺らが来るまで守ってくれてたろ…!?

鏡和田

ああ、そうだな

鏡和田

だがな、組織のボスと幹部がやられ…組員たちは今でも動揺と不安にかられている

鏡和田

そんなとき、別組織…しかも別世界から来たお前のことを誰が信用する?

鏡和田

俺が説明したところで、あいつらは素直には動かねぇ

鏡和田

諦めろ、もうお前らの知る夢は…どこにもいねぇ

鏡和田

助けに行ったところで、無駄死にするだけだ

………………

…そうかよ、

じゃあ、もういい…

そう言うと蘭は鏡和田に背を向け、病室を出て行った。

鏡和田

………いい、これでいいんだ…

鏡和田

こんな俺のこと、忘れてくれた方がマシだ…

鏡和田

娘一人…部下すらもまともに守れない俺が

鏡和田

記憶に残る資格なんかない…

ひとり静かな病室に、男の震えた声がかすかに響く。

瞳に大粒の涙が溜まる。 一滴落ちると、瞬きの間に布団に染み込んだ。

鏡樹

…………ここ、は…?

目が覚めると、鏡樹はどこか暗い場所にいた。

鏡ツツジ

お姉ちゃん…

鏡樹

ツツジ…!?

状況が掴めず困惑していると、鏡樹の前に 妹 鏡ツツジが現れた。

鏡ツツジ

なんで…助けてくれなかったの?

鏡樹

それは…ッ

鏡ツツジ

痛かった、苦しかった

鏡ツツジ

なのに、助けてくれなかった

鏡ツツジ

でも、私だけじゃない…

鏡ツツジ

夢ちゃんだって…

鏡夢

………………

鏡樹

夢…

すると鏡ツツジの後ろから、鏡夢がゆっくりと出てきた。

鏡夢

いーちゃん、どうして?

鏡夢

信じてたのに…

鏡夢

友達だと思ってたのに…

鏡樹

ごめッ……ごめんなさ…ッ…

鏡樹

2人とも…、守れなくてッ…

鏡樹

ごめんなさいッ…!

鏡樹はその場に泣き崩れ、篠突く雨のようにたくさんの涙を流した。

鏡樹

全部、私のせい…

鏡樹

こんな…こんな、私なんか…

ドボンッ!!

ひとり泣いていると、突然…鏡樹は水のようなものの中に沈んだ。

鏡樹

(どこ……水の、なか?)

鏡樹

(苦しい…息、続かない)

鏡樹

(身体…動かない、)

鏡樹

(左目…見えない、すごく…痛い)

鏡樹

(2人は…もっと苦しかったんだ…)

鏡樹

(もっと、痛かったんだ…)

鏡樹

(ごめんなさい…守れなくて、ッ…)

鏡樹

ごめん…

水の中…くぐもったような声で、鏡樹はそう呟いた。

スッ…

すると静かにゆっくりと、底へ沈んでいく鏡樹の手を、ふたつの手が掴んだ。

お姉ちゃん

いーちゃん

大好きだよ

鏡樹

(…………ツツジ……夢…)

懐かしい声が聞こえた気がした。 次に目を覚ますと、暖かい布団の中にいた。

起きてすぐに、左目に違和感を感じた。

鏡樹

(見えない…そうだ、撃たれたんだった…)

撃たれた時の光景と感覚が、脳裏を過ぎった。

鏡樹

(目を撃たれて、転がった時に頭も強打した)

鏡樹

(なのに、生きてる…)

鏡樹

(……2人が、助けてくれた…?)

そう思った瞬間、不意に涙が溢れてきた。

嬉しいような…寂しいような… 色んな感情が混ざった涙だった。

鏡樹

……ッ…待ってて、夢…

鏡樹

すぐ、助けに行くから…ッ”…!

そう言うと鏡樹は点滴を外し、覚束無い足取りで廊下に飛び出した。

鏡樹

(動け、動け、私の足…!)

鏡樹

(夢が危ない…早く、助けなきゃ…)

鏡和田

どこに行く気だ、そんな身体で

鏡樹

壁伝いに歩いていると、廊下の奥から車椅子に乗った鏡和田が現れた。

鏡樹

和田…

鏡和田

やめておけ、ろくに怪我も治ってねぇのに

鏡和田

死にに行くようなもんだぞ

鏡樹

私が行こうが行かまいが、貴方には関係ない

鏡樹

車椅子移動しか出来ない奴は黙ってなさい…!

鏡和田

いや、関係ある

鏡和田

これでも一応、俺はお前のボスだ

鏡和田

そしてお前は俺の部下、そうだろ?

鏡樹

………………

鏡和田

行くな花笠、これは命令だ

鏡和田

うちは元々幹部が少ない、一人減るだけでも大きな損害だ

鏡和田

ただでさえ今、ボスと幹部がほぼ全員動けない状態なのに…

鏡和田

生き残った奴が、死にに行く必要なんかないだろ

鏡樹

…それはつまり、夢を諦めろってことかしら?

鏡和田

ああ

鏡樹

…………はっきり言うわ

鏡樹

お断りよ

いつもより低い、しゃがれ混じりの声が廊下に反響する。 それと同時に、鏡樹の冷たい視線が鏡和田に向けられた。

鏡樹

貴方の部下を想う気持ちや、組織第一の気持ちを踏みにじりたいわけじゃないけど

鏡樹

これは私にとっては、とても大きな問題よ

鏡樹

貴方にとってもそうじゃないの?

鏡樹

だから夢を助けたんじゃないの?

鏡和田

………ッ…最初はな、だが今はもう違う

鏡和田

初めはここまでの被害になると思っていなかったから、協力してただけであって

鏡和田

さすがにこうなっては、もう協力はできないと判断した

鏡和田

それに…

鏡和田

あいつは俺たちの知ってる夢じゃねぇ

鏡和田

もうこれ以上、俺たちが関与する必要は…

鏡樹

…分かってるわ

鏡樹

でも、もうこれ以上…あの子を失いたくないわ

鏡樹

あの子が…私の親友が、ひとりで泣いているのよ…!!

鏡和田

……ッ…!!

廊下に鏡樹の悲痛な叫び声が響いた。 この声を聞いて、鏡和田は思わずハッとした。

鏡樹

助けてあげたい…守ってあげたい…ッ…

鏡樹

本物じゃないけど、それでも…

鏡樹

あの子は私の親友だから…!!

鏡樹

貴方も、同じだったはずよ

鏡樹

世界が違くても、それでも…あの子は貴方にとっての娘

鏡樹

だから、助けたんじゃないの…?

鏡和田

…それは…ッ…

鏡樹

娘を失って、娘と同じ姿の女の子が現れて

鏡樹

きっと重ねたはずよ

鏡樹

本物じゃないのは見て分かる、でも娘と同じ姿の女の子が助けを求めてる

鏡樹

無視なんかできなかったんでしょ…?

鏡和田

………………

鏡樹

芦根剣、貴方はすごく優しい

鏡樹

反社会的勢力の人間とは思えないほど、優しい一面がある

鏡樹

あの日の抗争で暁牙を裏切り、妹と親友を一度に亡くした私を組織に引き入れてくれた

鏡樹

あのまま1人だったら、きっと私はどこかで野垂れ死んでた

鏡樹

貴方が私に、生きる意味と居場所をくれた

鏡樹

貴方にはすごく感謝してる

鏡樹

だから恩返しがしたいの

鏡樹

私は貴方の望むことをする、貴方の想いを受け止めたい

鏡樹

そして、貴方を助けたい

鏡樹

行かせてください、ボス…

鏡樹はそう言って、鏡和田に頭を下げた。

鏡和田

…………勝手にしろ

鏡樹

ありがとうございます…

鏡樹は顔を上げると、また少しふらつく身体を支えながら、鏡和田の横を通った。

鏡和田

…………………

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

31

ユーザー

見るの遅れたぁぁああ…!!!!!ごめんなさぁぁい!!!!!いーちゃんの夢ちゃんを助けたい、親友を助けたいっていう気持ちが沢山伝わってきてこっちも胸がジーンとしました!!これからも応援してます!!

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