痛い
どうして私は走っているんだろう。あの子の代わりとして処刑される人…ただそれだけのはずなのに。
なぜ走って、追っ手から逃げて、生きようとしているんだろう。
…私はあの子が…弟さえ生きていてくれたらそれでいい。ただそれだけでいいんだ。
レーグ
後ろの騎士達に向かって、大声で叫ぶ。もう体中に弓矢が刺さっている。頭には刺さらないように気をつけているけど、死ぬのは時間の問題だ。
だが騎士達はその声が聞こえないかのように、私に弓を打ち続ける。
…国の操り人形じゃん。あいつら。私は一応その国の姫なんだけど。
レーグ
騎士達は沈黙を貫く。…たった1人の少年を除いて
少年…騎士軍「アーフェクト」の隊長である璃桜(りお)は馬から降り、笑みを浮かべる。
璃桜
レーグ
私がそう言うと彼は大げさなぐらいに大きな声を出して、興奮したように笑いながら言った。
璃桜
璃桜
レーグ
彼はわざとらしく首を傾げる。
レーグ
レーグ
璃桜
レーグ
璃桜
刹那、彼が持っていた剣が私の頭に触れる。
璃桜
遺言を残してくれるのは優しいのだろうか。そう思いつつ、私は剣を持っている彼の手に触れる。
顔はぴくりとも動かない癖に手は震えている。そりゃそうだ…だって…
友達なんだから。
璃桜
レーグ
レーグ
歯を強く噛み締めていると彼の手に触れる力も強くなってしまった。
璃桜
レーグ
途端、無慈悲な剣を振り下ろす彼の姿を最後に
意識が途切れた。
レーグの部屋
頭痛がしてハッと目が覚める。天国…いや、地獄には頭痛があるのかとぼんやりした頭で考えていると目の前に広がる景色が自分の部屋だと気がついた。
レーグ
確かさっき剣で刺されて死んだはず…いや、自分で言うのは生々しいからやめよう。
レーグ
その時、ドアをノックする音が響く。
レーグ
私が返事をすると、扉の外から私の大好きな人が現れた。
ツレギ
レーグ
私は今の状況を忘れ、ツレギを抱き締めた。何日ぶりだろう。こうして弟を抱き締められたのは。
ツレギ
レーグ
ツレギ
感動の涙を流していたら、彼は私が体調が悪いと勘違いしたらしい。そんな事は全く無い。
レーグ
ツレギ
ダイニングルームに行くと朝食の準備がテーブルに並べられていた。両親は既に笑いながら食事をとっている。
レーグ
公爵の殺害の容疑で長い間牢屋に入れられていたため家族とは数日間会えていない。
…この屈辱をツレギが受けることになっていたと考えるとゾッとする。
ツレギ
レーグ
手を軽く合わせ、フレンチトーストを一口大に切ろうとした時…お父様が話し始める。
なんでも、紹介したい人がいるんだとか。
…やっぱり知っている。
私はこの光景を知っている。ここでお父様は彼を紹介するんだ…
璃桜
レーグ
レーグ
そう言うと彼は驚いたように目を見開いた後、嬉しそうに微笑んだ。
璃桜
当然でしょ!?だって私達友達じゃない!?あとついでにあなたに殺されましたから!!
…なんてことは言えず…
レーグ
璃桜
レーグ
私は彼に殺された。
…これは過去、なぜかは分からないけれど私は過去に戻った…
となると…未来を変えられる。私が死なないで済む分岐点があるかもしれない。
それならば…私はそれを探してみせる。
コメント
8件
転生ものっていいよね、 (書こうと思いつつアイデアが思い浮かばなくて保留にしてる人
めっちゃ世界観大好きです…()
うわあ好きです…!! こう言うの好きなんでめっちゃいいです… アマゾン川ですか…私の語彙力もどんぶらこしれるかもしれないですね……