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昼休み。
私は久しぶりに、クラスの女子・桃に話しかけられた。
桃 。
桃 。
橙 。
桃 。
桃 。
そう言いながら、桃は笑った。
けれど、その目は少し探るようだった。
私が赤くんと親しくしていることに、周囲はもう気づき始めている。
放課後、教室で荷物をまとめていると、赤くんが静かに近づいてきた。
赤 。
橙 。
橙 。
赤 。
赤 。
橙 。
そんなふうに聞いたことはない。
むしろ、私に話しかけてくれる数少ない子の一人だったのに。
赤 。
赤 。
橙 。
赤 。
赤 。
赤くんはそう言って、優しく微笑んだ。
その目は、真っ直ぐで、強くて_でも、どこか冷たい。
橙 。
橙 。
そう言うと、赤くんは少しだけ微笑を崩したように見えた。
けれどすぐに、いつもの穏やかな顔に戻ってこういった。
赤 。
赤 。
それが、誰に向けられた言葉なのか。
私は、そのとき考えないようにしてしまった。