美波
今どこ?
拓也
まだバイト先
拓也
もうすぐ帰る
美波
今度のデートに着てく服
美波
2着で悩んでるの
美波
帰ったら選んで欲しい
拓也
はいはい
拓也
俺でいいならね笑
美波
拓也と行くんだから
美波
拓也の好きな方着たいんだもん
拓也
まぁな
拓也
明日は記念日だしな
美波
うん
美波
3年目だね!
拓也
早いな
美波
そうだね
美波
あ
美波
帰りに花屋寄ってきてくれる?
拓也
え?
拓也
あぁそっか
拓也
わかった
拓也
いつも通りスズランだよな
美波
うん
美波
お願い
拓也
でもスズランでいいのか?
拓也
いつも思うけど
拓也
あいつはヒマワリとか
拓也
そうゆう花の方が
美波
だめだねー拓也
美波
あの子はああ見えて
美波
可愛いものの方が好きなんだから
拓也
へぇ
拓也
知らなかったわ
美波
じゃあご飯作って待ってるね
拓也
了解
拓也
あいつが死んでからもう4年も経つのか……
拓也
____美岬…
拓也
俺と美波と美岬は同じマンションに住む幼なじみだった
拓也
美岬は美波の双子の妹で
拓也
顔こそ似てたが性格は真逆だった
拓也
美波は穏やかで優しく女の子らしい性格
拓也
一方で美岬は明るくて元気な人気者タイプ
拓也
俺たちはほんとに仲が良くて、いつも一緒だった
拓也
そういや付き合ってるのか何度も聞かれたっけな
拓也
俺達はそんな関係ではなかった
拓也
恋愛的な感情は無かったんだ
拓也
拓也
美岬が俺に告白するまでは
拓也
いつもの元気な様子が嘘みたいで
拓也
恥ずかしそうに耳まで真っ赤にして
拓也
告白されたんだよな…
拓也
でも
拓也
俺は美岬のことは恋愛対象には見れなくて
拓也
そしてその時初めて
拓也
拓也
自分は美波のことが好きだって
拓也
気づいた
拓也
美岬にはそのことは言わずに
拓也
友達にしか見れないって謝った
拓也
「そっか」
拓也
と
拓也
悲しそうに微笑んだ美岬の顔を
拓也
今でもよく憶えている
拓也
そのあとすぐだった
拓也
双子で遊びに行った帰りに
拓也
2人の元に飲酒運転の車が突っ込んできて________
拓也
美岬が死んだのは
拓也
意識不明の重体だと連絡を受けた時は心臓が止まるかと思った
拓也
美岬は即死だった
拓也
美波は病院に運ばれた数日後に意識が戻った
拓也
美波は回復して元気になったが
拓也
俺達は前のように楽しく過ごせなかった
拓也
少しずつ美岬がいないことに慣れていって
拓也
一緒に過ごすうちに
拓也
友達から恋人になって今年で3年
拓也
時が経つのはほんとに早い
拓也
おい早くしろよー
美波
待ってよー
美波
もうすぐだから
拓也
記念日だからって気合い入れすぎだろ笑
美波
今日は特別な日だから
美波
よし
美波
行こっか
映画を見て
買い物をして
日が暮れるまで笑いあった
美波
夜ご飯食べて帰ろっか
拓也
そうだな
拓也
何がいい?
美波
ここにしようよ
拓也
ファミレス?
拓也
いつも通りだな笑
美波
前はよく3人で来てたよね
美波
懐かしい
店員
いらっしゃいませ
拓也
何食おうかな
拓也
やっぱハンバーグステーキかな
美波
私はクリームパスタで
店員
かしこまりました
店員
ハンバーグステーキと
店員
クリームパスタですね
拓也
あ、野菜サラダもお願いします
店員
お待たせしました
拓也
美味しそうだな
美波
うん
美波
………
拓也
どうした?
拓也
気分悪いのか
美波
美波
拓也
美波
ありがとうね
拓也
いきなりどうしたんだよ笑
拓也
やめろって
美波
言いたかったの
拓也
はいはい
拓也
早く食おうぜ
拓也
おまえここの野菜サラダ好きだったろ?
美波
美波
ううん。コーン、嫌いだもん
拓也
何言ってんだよ
拓也
よく食べてただろ
拓也
コーン嫌いなのは美岬だってちゃんと覚えてるって
美波
美波
ねぇ
美波
美波
拓也
美波
美波
〝私〟は
美波
美波
嫌いなの
美波
美波
今まで
美波
美波
ごめん
美波
美波
そして
美波
美波
ありがとうね…
その時
かつて俺に向けられた
〝彼女〟の
あの苦しげな微笑みと
目の前の美波の表情とが
重なった