さゆりー☆(主)
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さゆりー☆(主)
この″街″が、僕にとっては全世界だった
世界の果てに何があるかなんて興味はなかったし、 その向こう側に行きたいと考えたこともない。
たかがか半径十キロのこの街で、 ささやかな幸せとほんの少しの不幸を道連れに一生を過ごすのだと 呆然と思っていた。
僕の両親はごく普通の会社勤めで、 学歴もごく普通の大学出て、
世帯収入も生活レベルも普通、 この街で暮らす人々のちょうど真ん中がウチではないかと思うほど 平均を行っていた。
そんな両親から ″普通に生きていくための″ 英才教育を受けた僕もまた、
普通の人生を送るものと信じていた
幼稚園に入り、
小学校へ入学して、
中学に上がり、
高校、
大学を経てどこかの会社に就職するという、
ごく普通の人生を送るのだと。
ところがこの普通というやつは、 僕にとって非常に困難な道になった。
中学までの法定義務教育を終え、
選択義務教育である高校へはもちろん 進学を希望したのだが、選択試験で
失敗した。
もしかすると受験する高校選びの時点で 既に失敗していた。
僕の住む街には選択試験がある高校が四校ある
トップレベルの第一高校から 一番下の第四校まで。
試験日は同じ日で、 それに落ちると義務教育高校に行かなくてはならない
″義務校″は無試験で、
″選択校″に受からなかった生徒が 最寄りの学校に割り振られる。
僕は第一校の芸術学料を受験した。
第一高校は専門系の学料で構成されていて、
試験科目が少ない。
特に芸術学料は学料試験が二科目しかなかった。
その代わり実技試験がある。
僕の受験した芸術学料の美術コースは、 出された課題を画用紙に鉛筆で描く。
制限時間は百八十分
担任の先生は
担任の先生
やんわりとランクを落とすことを勧めた
「君の学力で一高に合格は無理」 とハッキリは言わなかったが、態度で言っていた
両親も
Nakamuの母親
と思いとどまるように説得にかかったが、
僕にはその高校しか考えられなかった。
どうしても第一高校でなければならない理由を聞かれて、
僕はこう答えた
Nakamu
大嘘だった。
本当の理由は別のところにあったのだがそれはとても言えない
両親は渋々芸術学料を受けることを 許してくれた。
落ちたら義務校に行けばいいし、
そこで頑張って大学に入れば、 程度に考えていたんだと思う。
僕は合格する気がしていた。
絵は小さい頃から好きで描いていたし、 学校の写生会で賞を貰ったことだってある。
担任や親は募集定員四十六人倍率八、九倍という 数字にビビっているだけで、 いい絵を描ければ倍率なんて関係ないはず
直前の模試がたまたまB判定だったのも 勢いに拍車をかけた。
自信満々で試験に臨んだが、
結果は無残なものだった。
結果以前に試験会場で負けていた。
会場で席につくと
5Bの鉛筆と消しゴム、画用紙、
そして煮干しが配られた。
Nakamu
とも思ったが、
その煮干しが課題だった
試験官は煮干しをどうしろとも、 デッサンをしろでもデザインをしろでもなくただ
試験官
とか言い出して訳が分からない。
周囲を見渡すとみんな自信満々で 画用紙の上に鉛筆を走らせているように見える
一時間たっても僕には煮干しをどうすればいいのか分からず、
消しゴムのカスが積もり、 画用紙の上は迷走した線を消した跡で毛羽立った。
残りの二時間で何を描いたのか 全く覚えていない。
ていうか思い出したくない。
僕は、補欠合格にも引っかからなかった。
これで自動的に義務校行きと誰もが思ったはずだ。
でも煮干しに打ちのめされた僕のプライドは、
義務校に入学すると言う進路を簡単には受け入れられなかった。
さゆりー☆(主)
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コメント
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次回楽しみです!!(*´ω`*)
神作ですね(^ω^)