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宮舘side

叩かれた肩に照の思い託されていて

それが痛いほど伝わってくる。

照の思いは受け取った。

リビングからは翔太の嗚咽。

今すぐにでも抱きしめてやりたい。

だけど、

今更どんな顔をして 会えばいいんだろうか。

渡辺翔太

照...っ、

渡辺翔太

照のばか...っ、

そんな声が聞こえたかと思うと

ドタドタという足音が こっちに向かってくる。

次の瞬間、

リビングと玄関を 繋げている扉が開いた。

宮舘涼太

翔太...

渡辺翔太

涼太、...?

渡辺翔太

なんでお前がここに...っ、

ぐしゃぐしゃの顔で泣いている翔太。

照を 追いかけようと出てきたみたいだ。

翔太のそんな顔を見ると、

無意識に抱きしめてしまう。

渡辺翔太

も、意味わかんない...!

渡辺翔太

離せ、照が...っ、

宮舘涼太

ごめん翔太。

宮舘涼太

それは出来ない。

渡辺翔太

なんでだよ。

渡辺翔太

なんでお前が...っ、

翔太の言うことは間違っていない。

『他に好きな人がいる』

と言って翔太を振った俺に、

今更翔太を 引き止める権利なんてなかった。

『お前は関係ないだろ』

と言われてしまえば、

最もすぎて否定もできなかった。

だけど照のためにも、

翔太を離しちゃいけない気がして。

泣きじゃくる翔太を、 抱きしめたままでいた。

落ち着くまで翔太の背中を摩る。

最初こそ嫌がっていたものの

最後は俺の腕の中で 泣き崩れてしまっていた。

: :

宮舘涼太

ん、これ。

渡辺翔太

さんきゅ。

どうにか泣き止んだ翔太に、 ココアを作る。

向かい合わせの席に座ると、

俺の方から話を切り出した。

宮舘涼太

翔太、怒ってるよね。

宮舘涼太

ごめんね。

ココアを啜る翔太。

今度はあの時みたいに逃げずに、

翔太の目を見て話をする。

渡辺翔太

別に怒ってはないよ。

渡辺翔太

荒ぶりすぎただけで。

渡辺翔太

意味わかんなくてつい。

渡辺翔太

ごめん。

と、謝る翔太。

翔太が謝ることじゃない。

謝るのは俺の方だ。

目を離さずにちゃんと、 ごめん、と謝る。

すると、

あの日のことは時効だし、

照が二股かけてないとか言ってたし。 と溢す翔太。

ただ忘れられなかったけど。と一言。

渡辺翔太

怒ってないからさ。

渡辺翔太

ちゃんと説明してくんない?

意外にも翔太は冷静で。

わかるように説明して欲しいと、

翔太の方から言われた。

宮舘涼太

ごめんね、翔太。

宮舘涼太

俺、あの時嘘ついたの。

渡辺翔太

嘘...って?

宮舘涼太

俺、本当は病気だった。

宮舘涼太

好きな人が
出来たんじゃない。

宮舘涼太

病気だったから
翔太と別れたの。

病名と、 余命宣告を受けていた事を話した。

翔太は別にびっくりしない。

なんなら、ふーん、と納得している。

渡辺翔太

通りで
そんな痩せたわけね。

宮舘涼太

...そう。

翔太が、 俺の手をまじまじと見つめる。

今迄とは違う骨ばった手に

翔太も違和感を覚えていたらしい。

渡辺翔太

じゃ、
二股じゃなかったんだ。

宮舘涼太

そう...
いうことになるね。

渡辺翔太

そん時なんで
言わなかったの?

渡辺翔太

そんな嘘つかなくても、
教えてくれれば。

宮舘涼太

翔太に迷惑かけるかと思うと
言えなかったんだよ。

渡辺翔太

馬鹿なの?

渡辺翔太

嘘つかれる方が迷惑だし。

宮舘涼太

だよね。ごめんね。

宮舘涼太

でも、
あの時の俺はそう思ったの。

渡辺翔太

ふーん。

渡辺翔太

馬鹿だなぁ嘘つくお前も。

渡辺翔太

こんな嘘を
見破られなかった俺も。

翔太はそう言うと、 もう一度ココアを啜る。

渡辺翔太

照が俺に
言い寄ってきたのは、

渡辺翔太

お前がなんか
言ったからなわけ?

宮舘涼太

ううん、それは違うよ。

宮舘涼太

照はずっと、
翔太が好きだった。

宮舘涼太

だから、俺は照に頼んだの。

渡辺翔太

なにを?

宮舘涼太

俺が居なくても、って。

渡辺翔太

へぇ。

それから俺は一部始終を話した。

翔太の前に姿を現わさなかった、

闘病生活のこと。

本当は、

どんな思いで別れたかという心情。

それから、

照と何度も重ねた話し合いの内容。

全部、全部話した。

宮舘涼太

俺は翔太が好きだよ。

宮舘涼太

今も、昔も、ずっと。

この数年間ずっと隠してきた思いを

今やっと何年越しに伝える。

宮舘涼太

ずっと嘘ついててごめんね。

渡辺翔太

うん。

頷く翔太が、 ココアの入ったコップを机に置く。

すると、翔太も口を開いてくれた。

渡辺翔太

俺の話も聞いてくれる?

宮舘涼太

うん、勿論だよ。

改めて翔太に向き直る。

だけど、

俺を真っ直ぐ 見つめてくれる翔太の目には、

翔太の話を、 聞かなくても分かるくらい、

既に答えが書いてあった。

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文章がうますぎるのと、セリフが本人にそっくりなので、本人の声で再生されます。 本当に続きが読みたい。

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