祭りも終盤に差し掛かり、私は先輩と夜道を歩いていた
美優
…あれ?
珠樹
?
美優
あの子…
珠樹
え…佳奈…
珠樹
………
美優
行ってらっしゃいな
美優
お付き合いは今日まで
珠樹
え?
美優
ね?
珠樹
……はい
珠樹
ありがとうございました
美優
うん!
美優
後で聞かせてね〜
珠樹
はい!
先程の出来事を彼に聞いてみたら開き直った挙句別れを告げられた
佳奈
…最低…
最近あまりメンタルが良くなかったせいか余計心が痛い
佳奈
………
こんな時、いつも頭に浮かぶのは
佳奈
……珠樹…
珠樹
はい
佳奈
………
佳奈
え?
バッと顔を上げると珠樹がいつもの優しい表情で私を見つめていた
珠樹
どした?
珠樹
こんな所で…
珠樹
それに目も赤くなっとるやん
佳奈
え……え…
佳奈
…本物…?
珠樹
当たり前やろ!
佳奈
なんで…先輩は…
珠樹
帰ったで
珠樹
1人でこんなところにおるから心配したわ
珠樹
どしたん
佳奈
………
佳奈
大和くんと別れた
珠樹
……え?
佳奈
浮気現場見ちゃった
佳奈
…えへへ…
力なく呟くと珠樹は隣に座り頭をポンっと撫でた
珠樹
なぁ、佳奈
佳奈
……?
珠樹
こんな時に言うのズルいと思うんやけどさ
珠樹
私にしなよ
佳奈
!…
佳奈
で…でも…先輩と付き合ってるんじゃ…
珠樹
デートの相手しただけだよ
珠樹
付き合ってない
佳奈
…そ…っかぁ…
佳奈
……はは…
佳奈
なんか安心しちゃった…
珠樹
……
珠樹
なんで?
佳奈
…え?
珠樹
どうして安心したん?
佳奈
…それは…
佳奈
……
珠樹
なぁ
珠樹は私の顔をのぞき込むと少し怪しげな笑みを浮かべた
珠樹
どうして?
佳奈
え…っと…
改めて問われるとよく分からない感情がグルグルと回った
珠樹
ふ…
珠樹
まぁいいや…
珠樹
フリーになったんなら
珠樹
本気で落としに行ってもええんよな?
佳奈
へ…っ…
頬を撫でられてビクッと反応してしまう
珠樹
好きやで
佳奈
!…っ……
佳奈
う…うん…