西山栞
キラきゅんが登場するアニメの スマホゲームをする。
限定ガチャをひきながら 帰ろうと廊下を歩いていると、
一際大きな女子の声がした。
女子
西山栞
ナルシイケメンこと 及川先輩の名前を叫ぶ
女子に釣られて、
私はなんとはなしに 体育館に足を踏み入れた。
「ナイッサー!」
「ライトライトー!!」
中心にネットが張られ、
ビブスを着た選手達が バレーボールをしている。
見慣れない体育着を 着ているから、
片方は違う高校から 来ているのだろう。
点が入り、コート外で ボールを持っていたのは…
西山栞
及川先輩は 集中しているのか
見た事ないくらい 真剣な顔をしていて、
ボールを上げると ジャンプサーブを繰り出した。
その速さとコントロールに 相手チームは反応出来ず、
点が入る。
それで1セットが 終了したようで、
チームメイトが 及川先輩の方に集まった。
及川先輩はハイタッチを しながら笑っている。
西山栞
昼のような爽やかさはなく、
純粋にこの時間を 楽しんでいるような笑顔。
その屈託のない笑みに 私は顔に熱が集まるのを感じた。
女子
及川徹
女子
隣の女子達の声に我に返る。
愛想良く手を振った及川先輩と 目が合ってしまった。
及川徹
西山栞
私はすぐに顔を背けて 体育館を出てしまった。
ドキドキと激しく弾む胸を抑えて 早歩きで学校を出る。
その胸の高鳴りが推しへの それとは違うという事を、
この時の私はまだ 気付きもしなかった。