救われない

昨日のことを思い出す

昨夜の相手したスーツの男性は僕を非常に気に入ったらしく、帰り際にお金を追加でくれた

次も相手をしなければならないのだろうか

腰の辺りをさする

まるで、自分の体が自分ではないかのようだった

あの君の悪い視線が頭から離れない

ゆっくり立ち上がって、僕は教室を後にした

重いドアを空け、目的地へ向かう

別校舎、としか言われてないがどこに行けばー

すでに、先生は待っていたらしい

小走りで先生のもとへ向かう

いつもと違った猫なで声が気味悪い

隣にあった教室に誘導される

古びたプレートには「１ー２」と示されていた

机や椅子は教室の端に寄せられていて、がらんとしている

僕が入ったことを確認すると、先生はドアの鍵を閉めた

先生がドアや窓につけられていた古びたカーテンを閉めながら、聞いてきた

先生が持っているスマホの画像をみて息を飲んだ

僕とスーツ姿の男性が写っていた

僕が肩を抱き寄せられるようにして歩いている

唖然としている僕をニヤニヤと笑いながら話している

どこか、そんな的はずれなことを考えていた自分もいた

昨夜は怖かった

やめて、と何回も言ったのに相手はさらに興奮して痛みが増した

怖くて、苦しくて、悲しくて、許せなかった

腕を強引に掴まれ、引き寄せられる

あなたも、僕を、

苦しめるのですか？

服を着ながら静かに頷く

上機嫌で出ていった相手の背中を見つめた

許せない

どうしようもない怒りが込み上げた

ガッ 思い切り頬を殴られ、思わず座り込んだ

座り込んだ僕を乱暴に立ち上がらせる

逆らうなよ

怖い

怖い

怖い

必死に抵抗したが、体格さがありすぎて無理だ

とっさに近くで見ていた母親に助けを求めた

助けを呼んだのに、母親は逃げるように部屋に隠れてしまった

ひどい

許せない