テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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わんわん日和

第6話 - ろくわだぞ！

480

2025年02月09日

#司類

#冬彰

あかまる🍓🐾໊

司

くぁ〜…

司

おーい、類！お腹が空いたぞ！ご飯を出せ！

類

…

司

む、今日は寝起きが悪いな…

類

ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ

司

！！

司

類！もしや体調が良くないのか？！

類のおでこに自分のおでこを押し付けてみる。

司

…いつもより熱いぞ！？

類

う…ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ

類

あ…司くん？ごめんね、すぐご飯用意するね…

司

おぉい、馬鹿！！動くな！！

司

自分のご飯くらい自分で用意できるぞ！お前は寝ておけ！！

類

…？？

類

え、えっと…早くしろってことかな？

司

くっ、また通じん…！！

類の服の裾をベッドの方へ強めに引っ張った。

類

わっ？！な、何？

司

寝ろ！！オレの事なら心配するな！

類

…もしかして、寝ろってこと？

司

そうだ！

類

でも、司くんのご飯は用意しなきゃ…

司

いらん！自分で用意くらいできるぞ！

類

大丈夫。用意したらすぐ寝るから。

司

あっ、こら待て！！

類

おっとっと、

司

フラフラじゃないか！

類

はぁ…やっぱり熱あるのかな…

類

体温計…どこだっけ…

司

オレの経験と感覚的には39度近くあったぞ！！

司

人間からしたら辛いはずだろう！無理せず休もう、類。

類

…今の、ちょっと分かったかも。

類

無理するなって、言ってくれた？

司

あぁ、正解だ！

類

ふふ、そっか…

類

でも、君のご飯が…

司

まだ言うか…

司

オレは気高くて高貴な野良だったんだぞ！ご飯くらい、食べない日もあった！

司

だから大丈夫だ。それより、お前は自分の心配をしてくれ。

類

なんか…司くんって、頼もしいね

類

ごめん…ちょっとだけ寝るけど、起きたらすぐ用意するからね…

司

治るまで寝てていいからな。

司

……さてと、

司

むむむ…オレは、看病の仕方までは知らんぞ……

司

こういう時は…！

司

黒い箱！看病の仕方を教えてくれ！

ｼｰﾝ…

司

む、真っ黒なままだな…

司

そうだ！類が何かを押していたような気がする！

司

えーと……これか？

ﾎﾟﾁｯ

テレビ

続いてのニュースです！

司

のわっ！！？

司

び、ビックリした……だが、ついたぞ！

司

黒い箱！看病の仕方を映してくれ！

テレビ

先日、○○動物園でパンダの赤ちゃんが産まれました！

司

何っ？！あの白黒のデカイやつか？！

テレビ

見てください！可愛いですね〜♡

司

たしかに愛らしいが、オレには及ばんな！

司

おっと、いけない！看病の仕方を知りたいんだ！

司

えっと、たしか…何かを押せばいいんだよな？

司

これはどうだ？

テレビ

ちょっと熱っぽいかも…

テレビ

まぁ！酷い熱…！

司

！！

司

これだ！

テレビ

今、熱さまシートを持ってくるからね。

司

ね、ねつ…？何だそれは？

テレビ

わぁ…ひんやりしてて気持ちいい〜

司

ひんやり……

テレビ

熱、熱中症に！熱さまシート！

司

…なるほど！冷やせばいいんだな！

司

熱さまシートとやらは分からんが、白くて冷たいものを用意すればいいんだな。

司

何か代用できそうなもの…冷たいものなら、冷蔵庫か？

司

ぐっ……！！ダメだ、オレじゃ開けられないか…

司

他に冷たいもの…水！

司

風呂場だ！風呂場へ行くぞ！

風呂場

司

ここを捻って…

ジャーーー

司

よし！次に濡らすものだが…

司

おお！いい位置にタオルがあるではないか！これを使おう！

司

タオルを濡らして、これを類の額に乗せればいいんだな！

司

よいしょ、っと

濡らしたタオルを類の額に置いた。

司

よし！看病まで出来てしまうとは、流石オレだな！

司

さてと、仕事も終えたことだし、朝食にするか。

類

うっ、うぅ…ｸﾞｽｯ

司

！！

類

ｸﾞｽｯ…ぅっ

司

ど、どうした？！どこか痛いのか？

類

うぅ…ﾋｸﾞｯ、ｸﾞｽﾝｯ

司

…

少し近付き、涙を流す類の頬を舐めた。

司

大丈夫だぞ、類！オレが一緒に居てやるからな！

布団に潜り込み、類の腕の中に身を置く。

司

(抱き締めて撫でてやりたいが、体が小さくて出来そうに無いのが惜しいな。)

類

ｽｩ…ｽｩ…

司

(良かった。泣き止んだか。)

司

(全く、世話の焼ける奴だな！)

類

ん…んん…？

類

(なんか…頭、濡れてる…？)

類

(布団が温かい…)

軽く布団を捲ると、すぐ側で司くんが寝ていた。

類

わっ、いつの間に…

類

ふふ、寂しかったのかな。可愛いなぁ

ふと、枕元に目をやるとタオルが落ちているのに気づいた。

類

え？なんでタオル？……しかも、濡れてる…

よく見ると、床や廊下まで濡れた後が残っていた。

類

えっ？な、なんで？

床や廊下の濡れたあとを辿ると、お風呂場に行き着いた。

類

お風呂場……

類

タオルを濡らして、引き摺ってきたのかな？

類

でも、誰が何のために…

類

…司くん？

類

い、いやいや！いくら賢いとはいえ、流石に無いでしょ。

類

でも、それ以外だと泥棒か、それともお化けになるけど…

類

んん…？

司

わんっ！

類

あっ、司くん！

司

わんっ！わんわんっ！！

類

ねぇ、この濡れたタオル…司くんが用意したの？

司

わんっ！！

類

や、やっぱり君なんだ…でも、何のために？

司

わんっ！わんわんっ！！

司

わんっ！！

類

うーん、えっと……

類

(あのタオル、僕の枕元に落ちていた…そして、起きた時僕の髪も濡れていた、)

類

(司くんがタオルを用意して、僕の頭に乗せたのだとしたら…)

類

も、もしかして…僕が熱だから、濡れたタオルを頭に乗せてくれたの？

司

わんっ！

類

えぇ？！本当に？！

類

か、看病してくれたってこと？！

司

わんわんっ！！

類

す、すごいよっ！天才だよ！！

司

わふっ！

類

…君、本当に犬？

司

わん？

類

じ、実はロボットとか、人間とかだったりしない？！

司

わん！！？わんわんっ！！

類

だ、だよね〜！流石に違うよね！

類

でも、本当にありがとう！司くん。嬉しくて泣いちゃいそう…！

司

わん？！わんわんっ！！

類

ふふっ、泣くなって？

司

わんっ！

類

君のお陰で、熱もだいぶマシな気がするんだ。ご飯用意するね♪

類

はい、どうぞ〜！

司

わんっ！

司

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

類

えっと、今の熱は……

類

げ、まだギリギリ38度ある…

類

(一応冬弥くんにも連絡……)

類

(……いや、わざわざしなくていいか。心配かけたくないし。)

司

わんわんっ！！

類

ん？どうしたの？

司

わんっ！

類

…あぁ、僕もご飯食べろって？

司

わん！

類

でも、食欲ないし…今日はいいかな。明日食べるから大丈夫だよ。

司

わふ…

司

わんっ！わんっ！

類

うん？スマホがどうかしたの？

司

わん！！

類

…もしかして、冬弥くんに連絡しろって言ってる？

司

わんわん！！

類

でも、冬弥くんは今日もお仕事なんだよ。忙しいのに、熱くらいで連絡出来ないよ。

司

ヴｳﾞ…

司

わんっ！わんっ！！

類

ちゃんと寝ておくから大丈夫だって。

類

さて…司くんもご飯食べてくれたし、治すために寝てきてもいい？

司

わんっ！

類

ふふ、ありがとう。治ったらいっぱい遊ぼうね。

司

むむむ…！！あの様子だと、まだしんどそうだったな…

司

冬弥に連絡しろと言ってるのに…

司

オレはスマホの使い方までは分からんぞ…

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙｯ

司

のわっ？！？！？！

司

な、ななっ、なんだ？！振動してるぞ？！

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙｯ

司

え、ええい！！止まれっ！

司

ふぅ、やっと止まったか…

『もしもし、類？』

司

どわっ？！？！？！

『ん？司か？』

司

この声は…冬弥か！！

司

冬弥っ！聞いてくれ！類が熱を出したんだ！！

司

今は寝て安静にしているが、あまり熱は下がっていない様子だった！

『…よく分からないが、類はそこにいないのか？』

司

ああ！今は部屋で寝てるぞ！

『何かあったんだな。今から向かうから、少し待っていてくれ。』

司

了解だ！

ﾌﾟﾂｯ

類

(うぅん…頭が熱い…)

類

ん…

冬弥

類、おはよう。勝手に上がってすまない。

類

え？

類

……え？

類

と、冬弥くんっ？！なんで？！

冬弥

たまたま用事があって電話を掛けたんだが、司が出てくれてな。

冬弥

何となく類に何かあったんだと思って、様子を見に来たんだ。

類

つ、司くんが？電話にも出れるの？！

冬弥

みたいだな。司が出てくれた時は少し驚いた。

冬弥

具合はどうだ？測ってみてくれ。

類

……げ、ちょっと上がってる…38度7分だ。

冬弥

だいぶ高いな…

類

ごめんね、冬弥くん。お仕事帰りなのに、わざわざ来てもらっちゃって。

冬弥

そんな事気にしなくていいんだぞ。類の方が大切だ。

冬弥

今日は泊まっていいか？まだ熱も高くて心配だし、明日は仕事も休むから。

類

え？！い、いいよ！僕のためにそこまでしなくても！

冬弥

類はもう少し、頼ってくれていいんだぞ。

類

で、でも…

冬弥

彰人を連れてくるついでに買い物もしてくるから、類はまだ寝ていてくれ。

冬弥

食べられそうならお粥でも作ろう。

類

…ネギは入れないでね。

冬弥

ふふっ、分かってる。

冬弥

じゃあ、行ってくるから。ちゃんと寝てるんだぞ。

類

うん、行ってらっしゃい。

類

(また冬弥くんに迷惑かけちゃった…)

司

わんっ！

類

あ、司くん！

類

本当にすごいね。電話出てくれてありがとう。

司

わふっ！

類

えへへ。まだ熱、あんまり引いてないんだ〜…

司

クゥン…

類

ごめんね。早く治して遊びたいんだけど…

司

わんわんっ！

類

ふふ、ごめんね。

類

(早く治さなきゃ。いっぱい寝たら早く治るよね。)

彰人

類が熱出したって？

司

ああ！しかも、まぁまぁ高熱だ！

彰人

絶対に昨日傘差さずに走ったからだろ…

冬弥

食べれるか分からないが、一応お粥を作ってみるか。

彰人

…

冬弥

大丈夫だ、彰人。俺はやれば出来るタイプだから。

彰人

へー

冬弥

その顔は全く信じてないな？

司

む、冬弥は料理が出来んのか？

司

類からは出来ると聞いとったが

彰人

普段は自炊なんかしてねーよ。

彰人

類が来る時とかだけ、そのメニューめちゃくちゃ練習してる。

司

おぉ、努力家だな！

彰人

類の前ではカッコつけたいだけだって

冬弥

よし…やるぞ！

冬弥

えっと、米と水、塩…これくらいなら作れそうだ。

冬弥

あっ、卵粥とかの方がいいだろうか…いや、そもそも食べられるか分からないし…

冬弥

それに今作っても、類が起きてこなかったら冷めてしまうな…出来れば温かいものを食べさせたいし、起きてからの方がいいか…？

冬弥

いやでも、それだと待たせてしまうことになる…恐らく朝から何も食べてないだろうし、万が一食欲があったら…

司

な、中々始まらんな…

司

なんか、冬弥はもっとこう…テキパキしてるイメージがあったが。

彰人

いっつもこんなんだぞ。

冬弥

彰人、どうしよう…今作った方がいいだろうか？それとも、起きてから作った方がいいか？

彰人

今作って、起きてきたらまた温めればいいじゃん

冬弥

あっ、なるほど！彰人は賢いな！

冬弥

分かった、作ってくる。

司

ほぅ…なんか、意外だな。

司

類の前ではカッコつけたい、か…冬弥も可愛いところがあるではないか！

彰人

だろ？

類

(ん？なんか温かい…)

体を起こすと、両サイドで寝ている司くんと彰人くんが目に入った。

類

えっ？！か、可愛い…っ？！

冬弥

あ、類。おはよう。

類

と、冬弥くん！なんか可愛いんだけど！

冬弥

2人とも心配してたからな。具合はどうだ？

類

だいぶマシだよ。多分下がってると思う。

類

…うん、37度！

冬弥

まだ少し高いが、もう少しで治りそうだな。

冬弥

食欲は？一応、お粥は作ってあるが。

類

ありがとう！食べてもいい？

冬弥

分かった、すぐ持ってくる。

類

うわ〜、2人とも可愛い…

司

ﾊﾟﾁｯ

類

あ、司くん。おはよう。

司

わんっ！わんっ！

類

ふふ、熱も下がったよ。37度だった！

司

わんわんっ！

彰人

ヴゥ…

類

あ、彰人くんもおはよう。

彰人

…ﾌﾟｲｯ

類

えっ？！な、なんで〜？！

司

わんわんっ！わんっ！

冬弥

ふふ、賑やかだな。

冬弥

一応量は減らしてあるが、無理そうなら残してくれていいからな。

類

うん、ありがとう！いただきます！

類

あっ、しらすも乗ってる〜

冬弥

ネギは入ってないから安心していいぞ。

類

流石冬弥くん！

類

(今日はまた迷惑かけちゃったけど、お陰で寂しくなかったな)

類

(ふふ、司くんにもお礼しなきゃ！いつもよりいいご飯とオヤツ買おうっと！)

つづく

この作品はいかがでしたか？

480

2件

コメント失礼します！すごく癒やされました！類くんを心配する司くん、彰人くん、冬弥くん、、可愛すぎる、、🥹 明日も頑張れそうです！お疲れ様です！無理せず頑張ってください！

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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