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お母さん
お母さん
―――
銃だ。
お母さん
お母さん
お母さん
―――
お母さん
お母さん
おばあちゃんの家についた。
いつもより道程が長かった気がした。
…来たくなかった。
3回のノックのあと、 彼女はドアをゆっくり開け、 少し大きな声で
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おばあちゃん
彼女が住んでいる家から、 少し離れた森の中に住んでいる おばあちゃん。
おばあちゃんは いつもと変わらない外見で 暖かく彼女を招き入れた。
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おばあちゃん
おばあちゃん
―――
―――
おばあちゃん
おばあちゃんは 満足そうな顔を浮かべながら、 何度か頷いた。
―――
ねえ、おばあちゃん。
―――
お願い。
おばあちゃん
おばあちゃん
―――
―――
呼んで。
おばあちゃん
おばあちゃん
―――
―――
もう一度、―――って。
―――
おばあちゃん
パァン…
…
お母さん
お母さん
お母さん
―――
お母さん
お母さん
パァン…
…
お母さん
―――
―――
―――
―――
―――
返事はない。 胸の穴から出た液体が土を濡らす。
―――
パァン…
…
―――
―――
小さい頃、 赤ずきんをよくしていたから。
でも、あだ名みたいなものじゃない。
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本当の名前で呼んで、というと
おばあちゃんは、泣いたり、怒ったり
時には、 私に手を上げることもあった。
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―――
この銃は撃たないつもりだった。
おばあちゃんが昔のように 戻ってくれれば。
私の名前を呼んでくれれば。
―――
―――
銃口の先では、 優しそうなおばあちゃんの 額から、頬へ、耳へ、 赤い紐が何本も垂れていた。
“赤ずきん”は、 空っぽの銃を握りしめ、 渇いた目で眺め続けた。
最後まで読んでくださり、 ありがとうございました!!
なお、 今回のお話に 「認知症」 という実在する病気を 使いました。 それについて、 ご気分を害されましたら、 申し訳ございません。 私にも、 認知症の祖母がいますが、 とても大切に思っています! 次は、 もう少し現代チックなホラーを 書きます。 また読んでいただけると幸いです!!
コメント
4件
最後のとこ、耳、目、口の漢字が入ってるんだって。 あそこは蛇足だと思ったでしょ?正解。