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にこ(主)
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律➡青 周也➡桃
ナレーション的なのと青の心情
その他
⚠️注意⚠️ 少し内容、喋り方変わってます! 長い!時間がある時に見てね!
帰り道
あなたは、学校からの帰り道に、どんな思い出がありますか。「青」と「桃」にとって、この日の帰り道はどのようなものになるでしょう。
1
放課後のさわがしいげんかん口で、いきなり、桃くんから
桃
と声をかけられて、
青
とした。
青
桃
上ばきをぬぎながら桃くんが言って、くつ下にぽっかり空いたあなから、やんちゃそうな親指をのぞかした。
その指をスニーカーにおさめても、桃くんはなかなかあるきだそうとしない。
どうやら、一緒に帰る気のようだ。
小四から同じクラスの桃くん。家も近いから、桃くんが野球チームに入るまでは、よく一緒に登下校をしていた。
なのに、今日の僕には、桃くんとの二人きりの帰り道が、果てしなく遠く感じられる。
もたもたとくつをはきかえて
外に出ると、五月の空はまだ明るく、グラウンドに舞う砂ぼこりを、西日がこがね色にてらしていた。
桃
桃
桃
桃くんの話があちこち飛ぶのは、いつものこと。なのに、今日のぼくにはついていけない。
まるで何にもなかったみたいに、桃くんはふだんと変わらない。
ぼくだけがあのことを引きずっているみたいで、一歩先を行く紺色のパーカーが、どんどんにくらしく見えてくる。
今日の昼休み、友達五人でしゃべっているうちに、「どっちが好き。」って話になった。
「海と山は。」
「ラーメンとカレーは。」
「歯ブラシのかたいのとやわらかいのは。」
みんなで順に質問を出し合い、
桃
橙
黄
紫
赤
と、ぽんぽん答えていく。
そのテンポに、ぼくだけついていけなかった。
青
とか、
青
とか、一人でごにょごにょ言ってたら、桃くんが急にいらついた目でぼくをにらんだ。
桃
先のとがったものが、みぞおちの辺りにずきつとささった。
そんな気がした。
そのまま今もささり続けて、歩いても、歩いても、ふり落とせない。
返事をしないぼくに白けたのか、桃くんの口数もしだいに減って、大通りの歩道橋をわたるころには、二人してすっかりだまりこんでいた。
階段を上る桃くんとぼくの間に、きょりが開く。
広がる。
ここ一年でぐんと高くなった頭の位置。 たくましくなった足取り。
ぼくより三ヶ月早く生まれた桃くんは、これからもずっと、どんなこともテンポよく乗りこえて、ぐんぐん前へ進んでいくんだろう。
青
声にならないため息が、ぼくの口からこぼれて、足元のかげにとけていく。
どうして、ぼく、すぐに立ち止まってしまうんだろう。
思っていることが、なんで言えないんだろう。
ぼくは海の「こんな」ところが好きだ。
山の「こんな」ところも好きだ。
その「こんな」をうまく言葉にできたなら、桃くんとかたを並べて、歩いて行けるのかな。
「どっちも好き」と「どっちも好きじゃない」がいっしょなら、「言えなかった」と「なかったこと」もいっしょになっちゃうのかな。
考えるほどに、みぞおちの辺りが重くなる。
市立公園の遊歩道に差しかかったころには、ぼくは桃くんに三歩以上もおくれていた。
追いつけない。
あきらめの境地で、ぼくは天をあおいだ。
信じがたいものを見たのは、そのときだった。
空一面からシャワーの水が降ってきた。
もちろん、そんなわけはない。
なのに、なぜだかとっさにプールの後に浴びるシャワーをうかんだのは、公園の新緑がふりまく初夏のにおいのせいかもしれない。
桃
青
頭に、顔に、体中に打ちつける水滴を雨と認めるには、少し時間がかかった。
晴れているのに雨なんて、不自然すぎる。
ぼくと桃くんはむだにじたばたし、意味もなくとんだりはねたりして、またたくまに天気雨が通り過ぎていくと、たがいのぬれた頭を差し合って笑った。
本当に、あっというまのことだったんだ。
ざざっと水が降ってきて、何かを洗い流した。
桃くんの気取った前がみがぺたっとなったのが愉快で、ぼくはさんざん腹をかかえ、気がつくと、みぞおちの異物が消えていた。
単純すぎる自分がはずかしくなったのは、笑いの大波が引いてからだ。
うっかりはしゃいだばつの悪さをかくすように、ぼくはすっと目をふせた。
アスファルトの水たまりに、西日の反射がきらきら光る。
そのまぶしさに背中をおされるように、「今だ」と思った。
「今、言わなちゃ、きっと二度と言えない。」
青
勇気をふりしぼったわりには、しどろもどろのたよりない声が出た。
青
桃くんはしばしまばたきを止めて、まじまじとぼくの顔を見つめ、それからこっくりうなずいた。
桃くんにしてはめずらしく言葉がない。
なのに、分かってもらえた気がした。
青
桃
ぬれた地面にさっきよりも軽快な足音をきざんで、ぼくたちはまた歩き出した。
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