けぺ
けぺ
昨日の夜……お風呂に入ったとき、カメラがないことに気付いた
ギフン
そこまで言ったところで昨夜の記憶が蘇る
ギフン
バタバタと慌ただしく棚に向かい、鍵を掴む
ギフン
早くなる心音の赴くままに鍵穴に鍵をさす
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
何度試しても鍵はうまくささらない
まさか錆びているのかと思ったがそうでもなさそうだ
ギフン
ギフン
ギフン
鍵を棚に戻し、カメラがどこにあるか確認しつつ自然に散策する
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
唐突に叫んでしまったが、今のがもし監視されていたとしたらかなり奇妙な光景だ
ギフン
へらへらと笑いつつキッチンへ向かう
ギフン
目だけを動かして室内を見渡しつつ、湯を沸かす
ギフン
こぢんまりとしたキャビネットに目星をつける
ギフン
一直線にキャビネットに向かい、上段から開けていく
ギフン
ギフン
そこにはかなりの厚みがある写真の束がずらりと並べられていた
ギフン
その全てが自分の隠し撮りだった
ギフン
込み上げてくるものを感じ、咄嗟に棚を閉める
もしや中段も…と思い開けるのが憚られたが、覚悟を決めて勢いよく開ける
ギフン
そこには整頓された薬、USBメモリがあった。中身を見る気にはなれない
ギフン
ここにあるということは、まともなものではないのだろう
足元がぐらりと歪んだ気がした
下段も恐る恐る開けてみる__後にそこを開けたことを後悔する
ギフン
大量に物があったが、まず目に入ったのは見覚えのあるフォークだった
ギフン
丁寧に梱包されている先の曲がったフォーク。以前の脱出に使ったものだ
ギフン
他は衛生的に保管された用途が謎の注射器、スイッチつきのなにか、麻縄、布製の口枷、鈍器___
その中にドライバーがあった
決して本来の用途で使うつもりがなかったであろうドライバーが。
ギフン
カチリ、と電動ポットが湯が沸いたことを知らせる
ギフン
ドライバーを掴み、時間を確認する
16:40
18:00きっかりに帰ってくる訳ではなく、前後があると考えたら、かなり急がなくてはいけない
あの小ささの窓だったら格子を、もしかしたら……全て外さないと出られないかもしれない
ギフン
ギフン
脱出が目の前まで見え、高揚したまま監禁部屋に戻った
ベッドに椅子を置き、その上に立つと足場は不安定だったものの窓には届いた
ドライバーの先をボルトに差し込み、ゆっくりと回す
はじめこそ固いものの、1度回ってしまえば後は簡単に外れる
その要領でボルト一本どころか格子を外すことに成功した
更に追加の格子に取り掛かる
ギフン
二本目にして少し手間取ったが、しばらく格闘していたら先ほどが嘘のように難なく回った
ギフン
ベッドの脇に置かれた置時計は17:10を指している
息が荒くなり、手元が狂い出す
ギフン
二本目も外し、3本目に取り掛かる
時計は17:30
4本目が外し終わったとき、時計は17:50を示していた
ギフン
ギフン
試しに窓に体を入れようとしても肩が突っかかってしまう
どうしてもあと一本分の隙間が必要だ
ギフン
部屋に取り付けられたカメラと目が合う
ギフン
ギフン
ボルトを元通りに「みえる」ように差し込み、椅子を元の位置に戻す
ギフン
覚悟を決め、玄関に出迎えに向かった
玄関に着くと同時に扉の鍵が開く音がした
ガチャ
ヨンイルさんはそこにいるのがわかっていたような顔をして笑った
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイルさんの顔はどこか固く、なにかを決断したような顔をしていた
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイルさんがソファに腰掛け、隣にピタリと座った
ヨンイル
距離を取ろうと反対方向にズレようとしたところに強く肩を抱かれる
ギフン
キャビネットや鉄格子がよぎったが、何事もなかったかのように頷いた
ヨンイル
ヨンイルさんがリモコンでなくスマホをいじると、件の映像がテレビに映し出された
ギフン
キャビネットを開ける自身の姿が。
写真を見てえずきそうになる姿、音声
画面から目を離さずにヨンイルさんは口を開いた
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
肩に置かれた腕に力がこもり、さらに強く引き寄せられる
ギフン
恐怖で視界が歪む
映像は切り替わり、監禁部屋を映し出した
ギフン
もう映像は見ず、ただ終始無表情で映像を見つめるヨンイルさんの横顔を見ていた
ギフン
バァン!!!!
ヨンイルさんの手が机を強く叩いた
体がびくりと跳ねる
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
肩を揺さぶられ、映像に目を向ける
そこには恐慌した様子で無理やりにでも窓から出ようとする自身が映っていた
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ギフン
ギフン
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ヨンイル
ソファに押し倒され、両腕を頭の上で固定される
ギフン
抵抗しようとしてもびくともしない
ヨンイル
首に鋭い痛みが走る
視線を移すと、そこにはキャビネットで見た注射器があった
中の透明な液体が注入されていく
ギフン
途端に視界がぐにゃりと曲がった
まだかろうじて機能している聴覚がヨンイルさんの声を拾う
ヨンイル
ヨンイル
けぺ
けぺ
けぺ
コメント
2件
けぺさんの小説好きすぎる、、最高ですありがとうございます。