💔第4話:壊れた笑顔
最近、ナツキの「優しさ」が少し息苦しく感じるようになっていた
どこに行くにも、誰と話すにも、 彼の視線がついてく
紬(つむぎ)
ねぇナツキくん、なんでいつも私のこと見てるの?
ナツキ
心配だからだよ。
ナツキ
君、すぐ誰かに笑いかけるでしょ?
ナツキ
僕、見てると不安になるんだ
紬(つむぎ)
でも、それって普通のことじゃ…
ナツキ
“普通”なんて関係ないよ。僕にとっての世界は君だけなんだから
ナツキは笑っていた。 けれど、その笑顔はどこか歪んで見えた
その日の夜、つむぎのスマホが震える。 画面には知らない番号からのメッセージ
『誰と帰ってたの? 君の後ろ、ちゃんと見てたよ』
手が震える。 ナツキからすぐにメッセージが届いた
ナツキ
今日も楽しかったね。
また明日も一緒に帰ろう
また明日も一緒に帰ろう
その“優しさ”が、 まるで何かを隠す仮面みたいに感じた
つむぎは思わずスマホを伏せた。 胸の鼓動が、怖いほど大きく響く
ふと、机の上の鏡を見ると、小指に赤い糸が巻きついているように見えた
紬(つむぎ)
(幻覚? それとも——)
紬(つむぎ)
(私、どうしちゃったんだろう…)
けれどその夜、夢の中でナツキが囁いた
ナツキ
大丈夫。
君は僕のものだから
君は僕のものだから
つむぎは目を覚まし、涙をこぼした。 それでも、心のどこかで ——彼を“嫌いになれない”自分がいた。







