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りうら
猛烈な睡魔と戦った現代文の授業が終わり、僕は大きく伸びをした。次の時間は、待ちに待ったお昼休み。 僕の通う学園には、生徒の一部しか知らない「秘密の場所」がある。それは、旧校舎の屋上へと続く階段の踊り場。今は使われてない立ち入り禁止区域だけど、生徒会長の権限(という名のないこの職権乱用)で鍵を借りている。 お弁当の袋を手に、足早に階段を駆け上がる。重い鉄の扉を少しだけ開けると、そこにはすでに先客がいた。
初兎
紫色の髪を揺らして振り返ったのは、僕の愛しい後輩、初兎くん。地べたにちょこんと座り込んで、お弁当箱を開けたところだった。
りうら
初兎
初兎くんが自分のブレザーを床に敷こうとするから、「汚れるからいいよ!」と慌てて止めて、そのまま、コンクリートの床に隣り合わせで座った。ふわりと、初兎くんから甘い柔軟剤の香りがして、それだけで心臓がトクンと跳ねる。
初兎
りうら
初兎くんが箸でつまんだ黄色い卵焼きを、僕の口元に運んでくる。……え、これって、いわゆる「あーん」ってやつ!?!?
初兎
小首を傾げる初兎くんの顔が、信じられないくらい可愛い。 恥ずかしさで顔が爆発しそうになりながらもら僕は意を決してパックリと口を開けた。
りうら
初兎
りうら
嘘だ。君が可愛すぎるせいだ。 でも、そんなこと口が裂けても言えない。
りうら
気になってたことを、何気なさを装って聞いてみる。最近ないこが「初兎とほとけが楽しそうに話してて嫉妬する」と、生徒会室で愚痴っていたのを思い出したのだ。
初兎
楽しそうに話す初兎を見て、胸の奥が少しだけチクリと痛む。 初兎くんにとってはただの友達だとわかっていても、自分以外の誰かの名前を楽しそうに呼ばれるのは、やっぱり少し寂しい。
りうら
気づけば、心の声がそのまま口からこぼれていた。
初兎
初兎くんが驚いたように目を丸くする。
りうら
慌ててお弁当を食べ進めようとする僕の右手を、初兎くんの冷たい手がそっと包み込んだ。
初兎
初兎くんの顔を見ると、さっきまでの無邪気な笑顔は消えていて、どこか真剣な、少し潤んだ瞳で僕を見つめていた。
初兎
りうら
初兎
そこまで言って、初兎くんはカッと顔を赤くして、俯いてしまった。 うさぎの耳がついていたら、きっと今頃くたっと垂れているに違いない。
りうら
抱きしめたい衝動を必死に抑えながら、僕はぎゅっと初兎くんの手を握り返した。
その頃、新校舎の生徒会室では、書類の山に埋もれたないこが「ほとけぇ、そこは触っちゃダメだって!」と、お茶をこぼしかけたほとけに大慌てで怒っていたし。 放課後の職員室の裏では、ifが「悠佑先生、今日の補習、2人きりで指導してください」と体育の悠佑先生のジャージの袖を引いて、先生を困らせていた。
みんなそれぞれ、自分の恋に必死で。 そして、僕と初兎くんの距離も、この放課後の秘密の場所で、少しづつ、でも確実に縮まっていくのだった。
コメント
1件
はる。です!第3話、読ませてもらったわ! 屋上で2人きりのお昼ご飯、めっちゃ甘い空間やん…!「あーん」のシーンは思わずにやけたわ。りうら先輩の「僕以外の人のこと、そんな楽しそうに話すんだね」って嫉妬も可愛いし、その後の初兎くんの「1番楽しいのは先輩と一緒にいる時」って告白には完全に持ってかれた🔥 最後の他のカップルの様子もチラッと見えて、シリーズ全体の広がりを感じる構成がいいね。続きが気になるっ!