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可愛シエル
可愛シエル
喫茶店から帰宅したシエルは リビングのソファーで ダラダラとゲームをしていた。
ひじ掛けを背もたれ代わりに 横向きに座って脚を伸ばす シエルのいつもの体勢だった。
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
可愛シエル
~回想~
蒼空の大きな声に静まり返った店内。
可愛シエル
シエルの肩が小さく震えた。
可愛シエル
可愛シエル
シエルは笑った。
冴内蒼空
蒼空は顔を真っ赤にして謝る。
可愛シエル
言われて見渡せば 店内の視線は蒼空に集まったままだ。
蒼空は慌てて周りに ペコペコと頭を下げる。
その姿がまた可笑しくて シエルはニヤニヤしつつパイを食べた。
可愛シエル
ようやく席についた蒼空に シエルは微笑みかける。
そんなシエルの態度が 余計に蒼空の羞恥心をくすぐって うつ向くことしかできなくなる。
可愛シエル
蒼空はその言葉にバッと顔を上げた。
冴内蒼空
また噛んだ。
可愛シエル
シエルは口元に手をやり 小さく笑いを漏らす。
笑いのツボは意外と浅いのだ。
可愛シエル
仕切り直すように わざと咳払いをして 蒼空に向き直る。
可愛シエル
可愛シエル
蒼空は目を見開いてシエルを見た。
喜びが込み上げてくる。
冴内蒼空
蒼空は先程されたばかりの注意も忘れて 声をあげガッツポーズをきめた。
可愛シエル
シエルはニコリと笑うと テーブルの端に置かれていた伝票を 蒼空に手渡した。
冴内蒼空
蒼空は嬉しそうにそう応える。
可愛シエル
立ち上がったシエルに続いて 席を立つ蒼空。
実現するとは夢にも思えなかった夢が 実現する。
蒼空は夢心地で伝票を店員に渡した。
店員
冴内蒼空
そして蒼空は現実に引き戻される。
予想もしなかった金額に 信じられない思いでシエルを振り返る。
シエルはフッと笑って店を出てしまった。
確信犯だった。
冴内蒼空
震えそうになりながら 蒼空は代金を支払った。
冴内蒼空
可愛シエル
シエル母
それまで黙って話を聞いていた母親は 戸惑いの滲んだ笑顔でそう聞いた。
これまでのシエルの人付き合いを知っている親としては心配するなという方が難しい。
…まぁシエルに関して言えば 相手が女性であれ心配するのだが。
可愛シエル
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエルは蒼空のスマホに入っていた 写真を思い浮かべて素直に答える。
蒼空はアイドルらしい フリルやレースの多い衣装を 好んで作っているようだった。
そういう衣装は好き嫌いが割れやすい。
普段見ることの無い 自分とは別世界の服なので 着ろと言われたら 嫌な人も多いのではないか。
そんなことを考えての解答だったが 簡潔な答えに母親の疑念は 強まってしまった。
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエル母
可愛シエル
シエルは蒼空に連絡しようと スマホを手に取った。
そして気付く。
可愛シエル
シエル母
母は娘に気付かれないよう、 そっと溜め息をつくのであった。