きんとき視点
俺には両親がいなかった。 覚えてない、の方が正しいか
要するに孤児で物心ついた時から 俺は施設で生活をしていた。
そんなある日、確か小5の5月 くらいだった時のことかな。
俺を養子として引き取られた。
俺を引き取ったのは42歳位の 夫婦と、共に暮らす中3の長女
三人とも俺に対して優しく 接してくれていたのを覚えている
特に長女、、、遥のことは本当の 姉みたいな存在で、施設にも 年上の子は居たけどここまで 優しくしてくれる子は居なかった
俺が暇だと言えばゲームを 一緒にしてくれた。遥はゲーム うまかったな、勝てた記憶はない
俺が今でもゲームをするのは 遥に由来するのかもな
俺がお腹が空いたといえばよく クッキーを焼いてくれたな
遥は甘いものが好きだったから 砂糖が多めの甘い奴
よく本も貸してくれたし遥と 遙の友達と遊ぶ事もあった
よく似てるって言われたなぁ 同じ黒髪の青目だしな
そんな非の打ちどころのない
、、、いや、一つ非があったな
遥は勉強が得意ではなかった。
だが別に苦手ではなかった。 定期試験で平均を下回るのを 俺は見たことがなかった。
でも母はそれに納得しなかった
母は高卒で働き始めたから 学歴にコンプレックスに似た 何かを抱いているのはわかった
俺が養子に選ばれたのも俺が 施設の小学生で1番賢いから
母は俺を進学塾に入れて 受験で中高一貫のトップ校に 入学させたかったらしい。
遥も中学受験をしたらしい。 けどトップ校には落ちた。
滑り止めの学校には受かって その学校に楽しそうに通っていた
遥
遥
遥
確かに、いつも楽しそうだったな 友達も全員いい人だったよな
遥
遥
、、、遥は全部わかってたのかな
俺は遥と同じ学校に行きたかった
でもそういう訳にいかないのも 俺はわかってた。
、、、俺は所詮養子だから 両親の意向に従って、せめてもの 恩返しがしたかった。
暫くして、俺は無事にトップ校に 合格して、進学が決定した
両親はすごく喜んでくれて、 偉いって、凄いって俺を褒めて 遥もおめでとうって言ってくれた
、、、少し寂しそうな目だったけど
俺はそれから成長期を迎えて 身長も伸びて成績も常に上位 15%にはいたと思う。
部活も初めて、友達もできた
遥がDVを受けているとも知らずに
俺が中2になって間もない頃 部活が中止になって早帰りの日
近所のお菓子屋さんで受験生の 遥への差し入れと思って クッキーを買って帰った時
勉強中に遥はよくクッキーと 温かい紅茶を淹れてくれた
それが嬉しくて、料理は余り 得意ではなかったからせめて 美味しいものをと思って店で 買ってきた物だった。
母
温厚な母の怒号がリビングから 聞こえてきて驚いた記憶がある
母
遥
遥
遥
母
遥
遥
遥
母
母
母
母
母
遥
遥
遥
遥
母
遥
遥
遥
母
遥
鈍い音、頭が床に強く衝突した 痛々しい音がした。
その後15分位、ずっと遥は母の サンドバッグと化していて 終盤は抵抗することもなかった
母
そう吐き捨てて母は自室に 戻って行った。
遥
きんとき
遥
きんとき
遥
きんとき
きんとき
遥
きんとき
遥
遥
遥
そう言って遥は笑っていた。 でも、もう限界だったのだろう
俺が高2の時、遥は自殺した
大学の屋上から飛び降りたらしい 遙の友達が、茶封筒を持ってきた
友達
きんとき
友達
きんとき
悪いのは、、、、
きんとき
母
きんとき
グサッ、、、、、
きんとき
罪悪感なんて湧かなかった
遥は、もっと痛かったよ
遥は、もっと苦しかったよ
遙の友達から預かった茶封筒を 徐に開けて中の手紙を読んだ
親愛なる弟、春樹へ ごめんね、先に逝っちゃうね。 でも、春樹のせいじゃないし 母さんのせいでもないからね。 全部、私の勝手だから。 母さんを恨まないであげて。 春樹は優しい子だから、冷静に 考えて、感情的にならないでね。 春樹には、この先もずっと幸せに 生きてて欲しいって思うから。 ここで道を間違えないでね。 ごめんね、愛してるよ。 来世では本当の姉弟として 生まれてこられますように。 青山遙
きんとき
遥は悪くないよ、、、、?
母さんは悪くないの、、、?
俺は悪くない人を殺したの?
じゃあ俺は悪い人、、、、?
嘘だ、、、嘘だよね、、、?遥?
次意識が戻ってきたのは 繁華街の中だった。
「速報です、都内の一軒家で 養子の息子がが母親を殺害し 逃亡する事件が発生しました」
「その家庭では長女が自殺 しており、今回の事件と関係が あると見て調査を、、、」
MOB1
MOB2
MOB1
しょーもない、、、、?遥が? 狂ってる?俺が?
そんな訳ない、、、、遥が しょうもない訳ない、、、、、!
きんとき
MOB1
グサッ、、、、
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