TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
大学生が隣人に恋した話

大学生が隣人に恋した話

「大学生が隣人に恋した話」のメインビジュアル

19

第十六話 ごめんね

♥

750

2023年06月25日

シェアするシェアする
報告する

きんとき視点

俺には両親がいなかった。 覚えてない、の方が正しいか

要するに孤児で物心ついた時から 俺は施設で生活をしていた。

そんなある日、確か小5の5月 くらいだった時のことかな。

俺を養子として引き取られた。

俺を引き取ったのは42歳位の 夫婦と、共に暮らす中3の長女

三人とも俺に対して優しく 接してくれていたのを覚えている

特に長女、、、遥のことは本当の 姉みたいな存在で、施設にも 年上の子は居たけどここまで 優しくしてくれる子は居なかった

俺が暇だと言えばゲームを 一緒にしてくれた。遥はゲーム うまかったな、勝てた記憶はない

俺が今でもゲームをするのは 遥に由来するのかもな

俺がお腹が空いたといえばよく クッキーを焼いてくれたな

遥は甘いものが好きだったから 砂糖が多めの甘い奴

よく本も貸してくれたし遥と 遙の友達と遊ぶ事もあった

よく似てるって言われたなぁ 同じ黒髪の青目だしな

そんな非の打ちどころのない

、、、いや、一つ非があったな

遥は勉強が得意ではなかった。

だが別に苦手ではなかった。 定期試験で平均を下回るのを 俺は見たことがなかった。

でも母はそれに納得しなかった

母は高卒で働き始めたから 学歴にコンプレックスに似た 何かを抱いているのはわかった

俺が養子に選ばれたのも俺が 施設の小学生で1番賢いから

母は俺を進学塾に入れて 受験で中高一貫のトップ校に 入学させたかったらしい。

遥も中学受験をしたらしい。 けどトップ校には落ちた。

滑り止めの学校には受かって その学校に楽しそうに通っていた

元々トップ校じゃなくて
この学校行きたかったの!

施設充実してるし
制服可愛いしね!

友達もできて、いつも
楽しいんだよ!

確かに、いつも楽しそうだったな 友達も全員いい人だったよな

春樹も、無理にトップ校
行かなくていいんだよ?

春樹は賢いけどさ、無理とか
しなくても良いからね?

、、、遥は全部わかってたのかな

俺は遥と同じ学校に行きたかった

でもそういう訳にいかないのも 俺はわかってた。

、、、俺は所詮養子だから 両親の意向に従って、せめてもの 恩返しがしたかった。

暫くして、俺は無事にトップ校に 合格して、進学が決定した

両親はすごく喜んでくれて、 偉いって、凄いって俺を褒めて 遥もおめでとうって言ってくれた

、、、少し寂しそうな目だったけど

俺はそれから成長期を迎えて 身長も伸びて成績も常に上位 15%にはいたと思う。

部活も初めて、友達もできた

遥がDVを受けているとも知らずに

俺が中2になって間もない頃 部活が中止になって早帰りの日

近所のお菓子屋さんで受験生の 遥への差し入れと思って クッキーを買って帰った時

勉強中に遥はよくクッキーと 温かい紅茶を淹れてくれた

それが嬉しくて、料理は余り 得意ではなかったからせめて 美味しいものをと思って店で 買ってきた物だった。

いつまでこんな事してるの!!!!

温厚な母の怒号がリビングから 聞こえてきて驚いた記憶がある

一度受験で失敗したのに
大学受験も棒に振るの⁈

だから!私は美大に行く!

早慶なんて行かないからね!

美大はもう推薦もらってるし
偏差値だって足りてる!

美大なんて行かせないわよ⁈
貴女を想って言っているの!

これは私のためじゃなくて
母さんのためでしょ⁈
春樹の受験だってそう!

春樹は私と同じ学校にずっと
行きたがってたの知ってる⁈

なのに母さんの為に春樹は
ずっと我慢してたの‼︎

春樹の為ならお菓子作りを
今直ぐやめなさい!!!!

春樹はもうすぐ中間試験‼︎
貴女は今年受験生よ‼︎

それなのに春樹の勉強中に
お菓子なんか与えて‼︎

春樹が受験生の時だって
偶にゲームしてたわよね⁈

春樹の邪魔しないで頂戴‼︎

そんな何時間も勉強詰めで
賢くなる訳ない‼︎

集中力だって限界があるよ‼︎

春樹が頑張ってる事なんて
知ってるよ!隣で見てきた!

もっと自由にさせてあげて‼︎
じゃないと春樹壊れちゃう‼︎

あの子はできる子なの‼︎
貴女と一緒にしないで‼︎

春樹が賢いのなんて昔から
わかってるよ‼︎

でもあの子も人間なの‼︎
母さんの人形じゃない!

母さんのコンプレックスを
隠す道具として春樹を
使わないであげてよ!!!!

ッ!良い加減にしなさい!

ッい"ッッ、、、

鈍い音、頭が床に強く衝突した 痛々しい音がした。

その後15分位、ずっと遥は母の サンドバッグと化していて 終盤は抵抗することもなかった

もうお菓子作りなんて
しない事ね、、、!

そう吐き捨てて母は自室に 戻って行った。

、、、春樹、ごめんね。
惨いとこ見せたよね、、、

きんとき

ッ、、、!

もしかして会話聞いてた?

きんとき

、、、うん、ごめん

ごめんね、、、今の忘れて

きんとき

ぁ、、、遥、、、あの、これ、、、

きんとき

いつものお返し、、、

ッ!ありがとう、、、!

きんとき

ごめん、、、グスッごめん、、、

春樹、、、泣かないで?
ほら笑って?ね?

今日母さん夜出かけるから
お夕飯私作るね!

今日は春樹の好きな
ハンバーグ作るから!

そう言って遥は笑っていた。 でも、もう限界だったのだろう

俺が高2の時、遥は自殺した

大学の屋上から飛び降りたらしい 遙の友達が、茶封筒を持ってきた

友達

遙が春樹君に渡せって、、、

きんとき

、、、ありがとうございます

友達

、、、ごめんね、遙の事
私守れなかった、、、

きんとき

、、、貴女は何も、、、、

悪いのは、、、、

きんとき

、、、母さん、話があります

、、、春樹、どうしたの、、、?

きんとき

母さん、今まで本当に
お世話になりました

グサッ、、、、、

きんとき

、、、さよなら

罪悪感なんて湧かなかった

遥は、もっと痛かったよ

遥は、もっと苦しかったよ

遙の友達から預かった茶封筒を 徐に開けて中の手紙を読んだ

親愛なる弟、春樹へ ごめんね、先に逝っちゃうね。 でも、春樹のせいじゃないし 母さんのせいでもないからね。 全部、私の勝手だから。 母さんを恨まないであげて。 春樹は優しい子だから、冷静に 考えて、感情的にならないでね。 春樹には、この先もずっと幸せに 生きてて欲しいって思うから。 ここで道を間違えないでね。 ごめんね、愛してるよ。 来世では本当の姉弟として 生まれてこられますように。 青山遙

きんとき

なんで、、、、?

遥は悪くないよ、、、、?

母さんは悪くないの、、、?

俺は悪くない人を殺したの?

じゃあ俺は悪い人、、、、?

嘘だ、、、嘘だよね、、、?遥?

次意識が戻ってきたのは 繁華街の中だった。

「速報です、都内の一軒家で 養子の息子がが母親を殺害し 逃亡する事件が発生しました」

「その家庭では長女が自殺 しており、今回の事件と関係が あると見て調査を、、、」

MOB1

長女自殺だってよ

MOB2

根性ないから自殺すんだろw
自殺とかしょーもなw

MOB1

しかもそれで母親殺すって
狂ってんだろw

しょーもない、、、、?遥が? 狂ってる?俺が?

そんな訳ない、、、、遥が しょうもない訳ない、、、、、!

きんとき

そんな訳ないだろ、、、?

MOB1

あ"?

グサッ、、、、

大学生が隣人に恋した話

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

750

コメント

1

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store