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9 - 失ってしまえば

♥

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2023年12月03日

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ジョングガが出て行った後の部屋は、

驚くほど静かだった

まるで嵐が過ぎ去ったみたいに

あぁ、終わってしまったんだ

おれの一時的な感情の爆発で

全てを失った

追い出すつもりなんて無かったのに

テヒョン

っ、、ごめんねジョングガ、

おれはなんて馬鹿なんだろう

連絡を取ろうとスマホを取り出し、動きを止めた

今連絡して何になる?

おれがジョングガを一方的に追い出したのに、

あまりにも都合が良すぎる

きっと呆れられる

スマホをそっとテーブルに置いてソファーに横になった

何に対してなのか分からない疲れが重くのしかかっている

おれは静かに目を閉じた

テヒョン

ん、、あれ、

テヒョン

朝、?

目を開けると部屋が明るくなっていた

テヒョン

寝落ちしちゃった、、?

ジョングク

あ、起きた

テヒョン

えっ、、なんで

ジョングク

なんでって、、

ジョングク

荷物取りに来た

ジョングク

今日、泊めてくれる人見つかったから

テヒョン

え、

ジョングク

じゃあ、荷物まとめたから出てくね

テヒョン

あ、、待って、!

無意識に引き止めていた

ジョングガの服の袖を掴む手が震える

テヒョン

、、行かないで

ジョングク

っ、、追い出したのはテヒョンアだよ。今更遅すぎる

ジョングガはおれの手をそっと戻した

ジョングク

確かに俺はテヒョンアのこと何も分かってなかった

ジョングク

知らない内に傷つけてたなんて、

ジョングク

本当に申し訳ないと思ってる

テヒョン

だったら、、

ジョングク

だから俺はテヒョンアから離れるよ

ジョングク

もう傷つけたくないんだ

何それ、、

そんな決断がおれの為になるとでも思ってるの、?

ジョングク

やっぱり俺には、純粋な恋なんて向いてなかった。だってクズだから、笑

何でそんなに自分のことを、、

テヒョン

クズだからなんだよ

テヒョン

それでもおれはお前に惹かれた

テヒョン

好きだったし愛してた

テヒョン

それなのに、お前は、、っ

おれの気持ちに気づかなかった

何でこんなに上手くいかない、?

こんなはずじゃなかったのに

おれはただジョングガと幸せになりたかっただけ、

もう、本当に終わりなんだね

テヒョン

今までの思い出も、

テヒョン

二人で集めた物も、、

テヒョン

壁にかけてある二人の写真も、

テヒョン

全部必要なくなったね

ジョングク

、、そうだね

ジョングク

、、ねぇテヒョンア

テヒョン

目を見れば分かるだろ、おれは諦めきってる

テヒョン

好きな物取っていきなよ

テヒョン

もうおれには必要なくなったから

何で悲しそうな顔するんだよ

自分で決めたくせに、、

おれの決心が揺らぐ前に早く出ていけよ

さっさと消え失せろよ、

ジョングク

、、ごめん

ジョングク

じゃあ、、行くね

ジョングク

もう会うことはないかもしれないけど

ジョングク

テヒョンアに出会えて良かった

ジョングク

、、さよなら

あの時と同じ言葉

拾った翌日、ジョングガは同じ言葉をおれに言った

でもその顔は、あの時のように笑ってはいなくて、

静かに出て行くジョングガを、見送ることしか出来なかった

それから約一年が経った

未練がないと言えば嘘になるけれど、それなりに楽しく過ごせていると思う

でもたまに、

とてつもなく寂しくなる時がある

ジョングガがまだここに住んでいた時の事を、今も鮮明に覚えている

おれたちにとって、大きな変化を迎える時が来たから、

別れることにしたんだ

今ならそう思えた

ジョングガはおれの人生そのものだったけれど、彼はそこから出て行ってしまった

分かってるよ、

それが人生なんだ

テヒョン

もう、おれの声が届くことはない

仕事終わり、家に帰る気にならなくて夜の街を歩いていた

少しだけ雨が降っていて、傘を持つ手が冷たい

テヒョン

(これからもっと降るって言ってたし、、)

テヒョン

(もう帰ろうかな、)

踵を返したその時、

目の前の店から見慣れた人が出てきた

テヒョン

(ジョングガ、)

目が合う

ほんの数秒だった

彼はおれを見て泣きそうな顔をした

声を掛けることは出来なかった

彼の隣には、女性が寄り添っていた

テヒョン

(もう帰ろう)

走った

逃げてしまいたくて、全部忘れたくて

おれは何を期待してた、?

元に戻ることなんて、

もう二度と無いのに

家に帰ってきて玄関先で座り込んだ

酷くなった雨の中で傘は役に立たなくて、びしょ濡れになっているのに

寒さを感じない

気持ちがぐちゃぐちゃだ

何が何だか分からない

泣きたくないのに涙は止まることを知らない

声は出ない

だから心の中で叫んだ

ジョングガを見てしまえばもう、

決心が崩れ落ちていくと分かっていた

会いたくなかった

顔を見たくなかった

一度失ってしまえば、手に入れることは難しいのに

おれは今でもジョングガに手を伸ばしてるんだ

忘れることなんて出来ない

おれの人生には、

ジョングガが必要不可欠だから

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