口下手な村山さんは心の中で推理する

数日後

演劇部の部室

でも 問題があって

そう その問題が解決していない

平松部長… 居たんだ

私と同じで 存在感が薄い人だな

何だか 不思議と素直に嬉しい…

なるほど

なんだそのジャンル

平松部長… 穏やかで良い人だ

そのアドバイス 助かりました

「呪い」があるから…か

確かに！ …それでも足りないけど

た、たた谷口さん…？ サラッと 爆弾発言しました？

話が流れてますが！？ ちょ、待って、え？

映像部

ダメだって… 役者は無理だって

えええええぇぇぇ

それは観てみたい

難しいなぁ

どうやって 恋愛を匂わせる？

そもそも 「好き」って何だ？

どうしよう

断りたいのに 断れない…！！

今日は 皆より先に帰れた

ってか私は 部員では無いのだが？

何故 こんな事に…

平松部長？ びっくりした…

私 何かされた？

まぁ 確かに…

でも 私にとっては 良いアドバイスでした

ただ問題は

恋愛要素を入れる事

何て言えば良いのか

頭の中だと 言えるのに

口に出すのは 難しい

何だか 平松部長って

早朝に見る湖畔のような… そんな空気感がある

色々と質問してみたい…

恋愛って何ですか？ 舞台が好きなんですか？ 好きな作家はいますか？

たくさん 言葉が出てくる… えっと…えっと…

とりあえず言えた

何故だか この人とは 素直に話せる気がする

恋愛の音？

あ…この質問 気まずいかな？

素敵な表現だった…

うわ 変なタイミングで 変な質問しちゃった

そう答えた 平松部長は

普段の雰囲気からは 想像ができないほど

少年のような 無邪気な顔で笑った

その瞬間 私は

恋に落ちる音が 聞こえたのだ

つづく