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扉を開けたら真っ暗な部屋に君がいた。顔は涙でぐちゃぐちゃに濡れていて、目は落ち窪み、見ているとこっちまで彼の醸し出す絶望に呑み込まれてしまいそうだった。僕を見るなり、涙を啜りながら一言。 「うぅ…あああ……グスッ、出してくれるの」 僕は何も答えず、彼の腕を掴み外へ引っ張り出す。 彼らは扉を開けるといつもそう、泣いている。自分で部屋から出ることができなくて、ずっと独りだったからだろうか。可哀想に。 彼は部屋から出ると廊下の明るさに戸惑いながらも、ふらふらと突き当たりの扉へ真っ直ぐ向かった。廊下の灯りが入ってくる仄暗い部屋から、僕は彼が扉の向こうに消えていったのを感じ取った。 あゝ、そろそろ部屋から出なきゃ。
部屋から出られなくなる。
ジリリリリリリ
「んあ?」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
「あさからゥっせーなァ!!!!!」 がシャンッ あ………
目覚まし⏰、壊しちゃった。
「…」 俺の眠りを妨げる、お前が悪いんだぞ。 「まあ、また買えばいっか」 そんなことを思いながら、恨めしげに壊れた時計を見つめた。 今日は現場からプロが来てお話ししてくださる特別授業だっけか、余裕持って教室行こう。 散らかった時計の破片を集め、テキトーにプラごみに捨て、俺は洗面所に向かった。
ベタベタする顔を洗い流し、ふと鏡に映った自分を見てみた。 相変わらず、汚ねぇ肌。どうにかならねぇかなほんと俺の肌。世紀末かよ。
⁇
あれ??
どうした俺?
なんでこんなに違和感があるんだ?何が原因か分からんが違和感がある。顔とかじゃない。部屋の雰囲気とかでもない。もっとこう・・・
自身の内面的な部分で「歪」に感じている。
そういえば、今朝また夢見たな。何度目だろ。というか、何でこんな時に思い出すんだろう。
俺は物心ついた時から変な夢を見ている。部屋に行って泣いている子を引っ張り出すという夢だ。驚いたことに、夢が変わることはなかった。だから、それ以外の夢を見たことがない。
「んー、分かんねぇや」 考えても分からない・思い出せないことは、フッとした時に急に降りてくるものだ。ん、よし、考えんのやめよ、気合いだ。 俺は歯を磨き終えると、そそくさと家を出た。