square・moon

――夜空とは、何色だったか――

彼はそれすら忘れかけていた。 美しい空を見上げる権利など、自分には無い気がして。 悲しさとか、空しさとか。 嬉しさとか、楽しさとか。 そんなものはドブに投げ捨て。 何も残っていない彼は、しかし何かを追い求め。 様々な物を失ったのに、得られた物などごくわずか。 一点だけを見つめる彼に、他の物を見る余裕もなく。 自分を幾度となく壊し、命などは 意思 を入れる器に過ぎず。 その結果がこのザマだ。 ――だが、後悔はしない。できない。

これが俺の歪んだ人生だ。そう割り切ってしまったから

これは、罪を犯してもなお、優しくあってしまった 哀れな少年のささやかな自白――。