あなた
目を開けると、そこは深い暗闇だった。
ここはホソクさんの…心の闇?
ホソク
あなた
ホソクさんの周りには、黒い何かがまとわりついていた。
あなた
ホソクさんにまとわりつく何かを剥がそうと触れた時
誰かの記憶が一気に入ってきた。
あなた
ホソクさんの記憶、だろうか。
モノクロで冷たい雰囲気が漂っている。
何故か遊園地にいて、沢山の人が行き交っている。
その中で、目に止まったのは
メリーゴーランドの前にいる幼い男の子と、母親らしき人だった。
近付くと、脳内に彼等の会話が流れてきた。
『ホソガ、お母さんが今から言う事をよく聞いて?』
『なーに??』
『お母さんが良いよって言うまで、目を閉じててほしいの』
『良いよって言うまで、絶対に目を開けちゃダメよ??』
『うん、分かった!!』
『よーい、スタート!』
そう言い、女の人はどこかへ行ってしまった。
いくら時間が経っても彼女は戻ってこない。
男の子が1人、メリーゴーランドの前で目を隠したまま立っていた。
彼に声をかける為に肩に手を置いた瞬間、透けた。
あなた
この世界では、人に触れる事は出来ないらしい。
いきなり最初私が立っていた位置に戻った時
辺りが闇に包まれていく。
まさか、この男の子が。
ホソクさん、なんだろうか。
唯一の家族だった母親に捨てられ、残されたのは横に無造作に置かれたチョコバーだけ。
彼には、母親との思い出はこれだけだったのだろう。
彼の感情が痛いほど伝わってきた。
『悲しい』
『苦しい』
『裏切られた』
『捨てられた』
『そうか』
『それなら』
『人間だった母親を』
『同じ目に合わせればいいんだ』
『そうすれば母親も僕を捨てた事を後悔するだろう』
『そうと決まれば』
『早速母親を見つけなきゃね』
『ああ、殺してしまった』
『ずっと憎かった母親を』
『僕が殺しちゃったんだ』
『…でも、何故だろう』
『母親を殺しても』
『スッキリするはずだった感情はモヤモヤしたまま』
『むしろより色濃く、強く残っている』
『なんで、どうして』
『分からない、分からない』
『分からない分からない分からない分からない分からない分からない』
『なら、分かるまで』
『殺ってみよう』
『今日も2人殺した』
『最初は少し抵抗があったけど』
『もう今はなんとも思わない』
『人が裏切ったせいで』
『僕はこうなったんだ』
『だから、全部ぜーんぶ』
『何もかも人間が悪いんだ』
『初めて、好きだと思った人間に出会った』
『可愛く、華奢な女の子』
『彼女だけは特別』
『だったのに』
『彼奴が』
『彼奴があの子を奪った』
『俺の大切なあの子を』
『ナムジュナが奪いやがった』
『憎い、憎い』
『今度彼奴が女の子を連れて来たら』
『俺が奪って』
『彼奴らの目の前で、殺してやる』
あなた
気付いたら、ホソクさんにまとわりついていた黒い影は私に移っていた。
この重さが、ホソクさんの闇の重さ。
膝を抱えて俯くホソクさんに手を伸ばして
重い体を力ずくで動かし
彼を抱きしめた。
あなた
あなた
あなた
あなた
あなた
ホソク
いつの間にか、あの黒い影は消えていた。
そして、私の背中には彼が周してくれた腕。
ホソク
ホソク
ホソク
ホソク
ホソク
ホソクさんの後ろから、更に濃い闇が流れてきた。
ホソク
ホソク
ホソクさんは見た事ないような優しい笑顔で笑った。
これが、彼の心からの笑顔なのかな。
テヒョン
あなた
テヒョン
テヒョンさんに手を引かれ、小さな光の元へ向かう。
振り返ると、ホソクさんは闇を受け入れるように手を広げていた。
またホソクさんに会う機会があれば
ゆっくり話し合えますように。
テヒョン
あなた
黒い扉を開けた瞬間、白い光に包まれた。
あなた
目を開けた時には、最初に皆と出会ったリビングで。
何故か全員集合して、私を見ていた。
あなた
テヒョン
あなた
テヒョン
あなた
コメント
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初コメとフォロー失礼します!続き楽しみにしてます!
続き気になります、楽しみにします
花婿はねなむくん(((()))