テラーノベル
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もし、貴方を愛せていたなら
なにか、違ったかな
遅い後悔、声に出す
反芻したことばのひとつひとつ
いつからか
この世界では
夢を見ることが容易なことになった
くだらないことですら
真昼の箱に流れ込む空気には、 怠けと濁りが混じり合って
何処か不安なものを作り出している
風に靡くレースも 高く結ったあの子のポニーテールも
微かに揺れた私の瞳も
すべて、”普通”の日常
だったのに!
真っ白なキャンバスに 雑に塗られた蒼色も
リズムに乗って 流れていく白色も
錆びた鉄の檻が、否定する
まるで、ここが 最期の逃げ道の道標
背中に、微かな声を聞いた
歌うようになめらかな音色
蒼色のキャンバスに吸い込まれていく
ねえ、と肩にふれる
なぜだか
振り向いてはいけない、気がした
この箱庭の裏側を、 知ってしまうような感覚
意志とは真逆に 声のする方へと、向く
ああ
やっぱり、きれいだね、と
ささやくように、歌う
貴方のその瞳が、 キャンバスを彩る色彩に、似ていた
煮詰めた真夜中を、 薄めた様な
私ね、
貴女に聞きたいことがあるの
歌う様な音色が、私を包む
きょう、もし最期の日だとして
貴女は、”夢”を見る?
いつだか、狭い偏見の箱の中で 聞いた事のある単語
渇いた声で、その単語をくりかえした
夢なんて、 ねがいなんて
みたところで、どうするの?
誰もその先なんて、 教えてくれなかったじゃない
それとも、私は
視ることのできない、義務
だったのだろうか
すこし、ほんの少しだけ
私を送り出したのは
凪いだ声だった
温度のない、色彩のない
そんなおわりが
わたしの、視られなかった 愛せなかった なにか
羽海汐遠
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コメント
1件
でもやっぱり、人間は都合のいいものに縋るいきものなんだと思う。