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引いちゃダメよわい、、(((
怖い夢を見た。
父上の背中だけを眺めている。
そんな怖い夢。
周りは真っ暗で、誰もいないのに父上の背中だけが遠のいていく。
父上の足音がどんどん遠ざかっていって、
僕は頑張って走って呼び止めようとするが、
全く距離は縮まらない。
息も絶え絶え、胃から何か酸っぱいものが、せり上げてくるまで走った時もあったが、
夢の中の父上は振り返ってもくれない。
毎回、毎回、そうなって最後の最後に父上を呼び止めようとして、声を絞り出そうとするが、
どうにも喉が締まって呼吸が難しく
声が出ない。
喉が締まろうと、
呼吸ができなかろうと、
それでも父上に立ち止まってほしかった。
父上に振り返ってほしかった。
やっとのこと声を絞り出せたとき、
俺の前にあるのは
寮の天井だった。
『きっとそれは、魔法だった』
ユーイン
ユーインが意を決したように、緊張したように、心底心配したように言葉を発した。
朝食終わりの登校準備中に、そんなことを言う。そんな、どうでもいい事でお前らが遅刻したらどうすると思い、俺は、
ダミアン
となるべく穏やかに伝えた。
それに早く学校に行って、昨日の夜わからなかった国語の問題を先生に質問したかったし、早く学校へ向かいたかった。
その気配を2人なら察してくれると思った。
現にユーインは、
ユーイン
と言葉を濁しながらもそれ以上は言ってこなくなった。
エミール
エミールがユーインを応援するかのように、そんな言葉を告げる。
2人なら察してくれると思ったのに、
エミールはユーインの肩を持ち俺に休めと言った。
どれだけ今回のテストの為に、俺が努力したと思っている。
やり場のない怒りがフツフツと沸き立ち始めた。
やり場のない怒り。それは本当に俺を心配している2人にはどうにも怒りをぶつけることが出来なかったからだ。
2人は準備の手を進めながら、本当に俺の体調を心配する言葉を次々に並べる。
ピクニックのときもそうだった。コイツらの優しさを肌で感じて、少しくすぐったさを覚えるが、今は火に油を注ぐ行為だった。
少しだけホワホワとした思いを抱いたが、今は大事なテスト前少しでもいい結果を出して、
父上に少しでも認められたかった。
少しでも、父上が俺を視界に入れてくれるきっかけを作りたかった。
ダミアン
エミール
ユーイン
ダミアン
思わず大きな声で2人に怒鳴ってしまった。
俺を泣きそうな顔で見る2人に、罪悪感のようなものを感じながら、先に部屋を出た。
ユーイン
エミール
と慌てて告げる2人を無視して扉が軋む音を上げながらバタンと閉じた。
その音がやけに耳にこびりついて、ガンガンと頭の裏のほうが痛かった。
休息も大事だと先生に、友達に教えてもらったから分かっている。
わかってはいるが、
でも、あの夢と同じような結末にはなってほしくなかった。
怖い夢を思い出すだけで呼吸が浅くなる。
キーンと耳鳴りがしてくる。
キーンとした音も、耳鳴りも、全てが煩わしくて、
俺は早足で、イーデンの教室に向かった。
きっと頭がくわんぐわんしたのは、最近テスト勉強のし過ぎで運動不足のせいだと思いながら、俺は早足で教室に向かったのだ。
「じなん、ほけんしつ、いこう」
二限目終わり、移動教室の最中ちんちくりんに呼び止められた。
ちんちくりんの後ろには
エミールとユーイン、そしてブラックベル。
エミールとユーインに視線を向ければ2人はまた泣きそうにこちらを見つめてきた。
居心地が悪くて視線を逸らすと、ちんちくりんが視界に入ってきた。
ダミアン
ベッキー(ブラックベル)
ブラックベルがふんっと鼻を鳴らして俺にそう言う。
その言葉に確かにそうだなと思いながらも移動教室に遅れるわけには行かないので、歩みを進める。
俺の後ろにはぞろぞろと4人がついてきたが、気にせずに歩いていると、なにかひそひそと話が聞こえてくる。
アーニャ
ベッキー(ブラックベル)
エミール
ユーイン
ベッキー(ブラックベル)
アーニャ
ベッキー(ブラックベル)
なんだかもう勝手なことを言うのだ。ただでさえ耳の奥でキリキリと何かが鳴っているのに
友達の声も煩く感じてしまう。
誰にも当たりたくないのに、なのに、コイツらは察してくれず俺に纏わり付く。
アーニャ
ちんちくりんの声がする。
無視して教室に行こうとする。
アーニャ
くいっ
と袖を引っ張られた。
重い頭が後ろに引かれ、
思わず
ダミアン
と声を上げながら尻餅をつく。
夜露死苦
夜露死苦
夜露死苦
夜露死苦
『きっとそれは、魔法だった。』
夜露死苦
夜露死苦
夜露死苦