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冬が嫌いだ

冬華ー

起きなさい!遅刻するよー

冬華(ふゆか)

…う、…

冬華(ふゆか)

わかった

寒くて起きれないから

冬華(ふゆか)

お母さん…今何時…?

7時50分

冬華(ふゆか)

(やばい!やばい!)

冬華(ふゆか)

(遅刻するー!)

高校二年 水谷 冬華 遅刻寸前で猛ダッシュしてます

冬華(ふゆか)

いや、まだ間に合う可能性はある!

このとき、諦めて歩いていたらどれだけよかったか…

ツルッ

冬華(ふゆか)

あ…

ドン

気づいた頃には 私は凍った道に頭を打ち付け、倒れていた

冬華(ふゆか)

(氷…赤い)

冬華(ふゆか)

(どうしよ私…死ぬのかな…)

氷に映った自分の顔が 一瞬笑った気がした

やっぱり冬が嫌いだ

冬華ー

起きなさい!遅刻するよー

冬華(ふゆか)

え、

冬華(ふゆか)

お母さん今何時?

6時30分

冬華(ふゆか)

遅刻してないじゃん!

は?

冬華(ふゆか)

なるほど、夢か!

まぁいいけどさっさと学校行きなさい

冬華(ふゆか)

はーい

冬華(ふゆか)

はぁ

冬華(ふゆか)

死ぬ夢なんて嫌な感じだなー

冬華(ふゆか)

滑らないようにしなきゃ

???

おい

冬華(ふゆか)

え?私ですか

なんだ?朝から不審者か?

???

お前、ここの住人じゃないだろ

普通なら不審者なんて相手にしないはずが…

冬華(ふゆか)

(この人…)

冬華(ふゆか)

(めちゃくちゃ綺麗…)

男の人なのに長いまつ毛や白い肌、 中性的な美しさに魅力があった

???

おい!話聞いてるか?

冬華(ふゆか)

え、あ、はい!

冬華(ふゆか)

私この町に住んでますよ!

冬華(ふゆか)

なんですか急に…

???

いや、そうじゃない

???

なんでもない

みなみ

え!冬華ナンパされたのー?

冬華(ふゆか)

そうそう

冬華(ふゆか)

それもめちゃくちゃイケメンよ

冬華(ふゆか)

ついに私のモテ期が来たわけよ

みなみ

いいなー

「今日未明、**地方に***警報が出されました。」

「また、**地方では先週から1000人以上失踪しており__」

冬華(ふゆか)

何このニュース

冬華(ふゆか)

そんなに失踪したらやばいじゃん

しかし、ニュースキャスターは淡々としておりコメンテーターに至っては冗談さえ混じえて話ていた

冬華(ふゆか)

お母さん、この番組やばくない?

え、どうしたの?

母が台所から出てきた

冬華(ふゆか)

だから、この失踪…

母の顔を見た瞬間、言葉を失った

冬華(ふゆか)

ハッ…

母の顔半分は溶けていた

ん?なんの話?

冬華(ふゆか)

その顔…

何よ!失礼ね?

母がなぜ普通にしているのか分からなかった

冬華(ふゆか)

(どうしよ…私疲れてるのかな)

???

いや、疲れてない

私の部屋に、いきなりあのイケメンが現れた

冬華(ふゆか)

うわあああああ

冬華(ふゆか)

いくらなんでも、これは犯罪でしょ!

冬華(ふゆか)

ってかどうやって…

???

この国に法律はない

冬華(ふゆか)

は?

???

俺はお前を助けに来たんだ

綺麗な顔で見つめられて、不覚にもドキッとしてしまった

冬華(ふゆか)

た、たすける?

???

母親の顔を見ただろ

???

ここはお前の暮らしている世界ではない

冬華(ふゆか)

何言ってるんですか…

???

もうすぐこの地方の人間は消える

???

嘘だと思ったら明日、人々を見てみろ

そう言うと突然姿が消えた

冬華(ふゆか)

なん…なの

翌朝、母の顔は溶けたままだった

そして、私は衝撃的な光景を目にした

冬華(ふゆか)

何よこれ…

道行く人の身体の1部がなかった

冬華(ふゆか)

なんでみんな普通にしてるの…

???

言っただろ、ここの地方の人々はもうじき消える

また急に現れた

冬華(ふゆか)

じゃあ私も…

カサッ_

冬華(ふゆか)

うわあああ

冬華(ふゆか)

指が取れた!

???

お前も時間の問題だ

冬華(ふゆか)

なんなの!

冬華(ふゆか)

怖いよ…

???

落ち着け

???

今から俺の説明を聞け

???

世界っていうのは2種類ある

???

1つはお前が暮らしていた世界

冬華(ふゆか)

暮らしていた…?

???

そう

???

今、お前は【氷の世界】にいる

冬華(ふゆか)

氷の世界?

???

よく、氷の張った水溜まりとかに自分の顔がやんわり映るだろ

冬華(ふゆか)

まぁ、たまにあるけど…

???

あれは氷の世界だ

???

氷の世界には現実の世界と同じ人間が存在する

???

けど、お前は何らかの理由で、
氷の世界のお前と入れ替わったんだ

冬華(ふゆか)

よくわかんないけど…

冬華(ふゆか)

とりあえず、私は現実にはいないってことか…

冬華(ふゆか)

あ、あとお前じゃなくて冬華だから!

???

はいはい

冬華(ふゆか)

もしかして、私凍った道に頭を打ってこうなったのかも…

???

なるほど有り得るな

???

まぁ、現実の世界には氷の世界の冬華がいるから大丈夫だ

冬華(ふゆか)

大丈夫じゃない!

冬華(ふゆか)

そんなの偽物じゃん…

???

周りは多分気付かないけどな

冬華(ふゆか)

もし、このままここに居たらどうなるの?

???

溶けて消える

冬華(ふゆか)

そんな…

???

当たり前だ

???

冬は永遠じゃない

冬華(ふゆか)

どうやって戻れるの…

???

方法が1つある

???

隣町に大きな湖があるだろ

???

あれはこの世界と現実を繋ぐ扉だと言われている

冬華(ふゆか)

そこに飛び込むの?

冬華(ふゆか)

もし、そのまま溺れ死んだらどうすんのよ!

???

それじゃここで溶けて消えるか?

冬華(ふゆか)

それはいや…

冬華(ふゆか)

わかったよやってみる

午前だというのに、湖の周りは木々に囲まれ薄暗かった

冬華(ふゆか)

ここ?

???

そう

現実の世界に帰るため…

???

怖くなったか?

冬華(ふゆか)

大丈夫

一つ気になることがあった

冬華(ふゆか)

あなた、何者なの?

???

俺?

冬華(ふゆか)

なんで私を助けてくれたの?

冬華(ふゆか)

もしかしてあなたも現実世界の人なんじゃないの?

???

???

そうだ

???

けど1人じゃ帰れなかった

???

だから冬華を助けたのかもな

冬華(ふゆか)

なら、一緒に帰ろ!

???

あぁ

なぜか彼は少し悲しそうだった

わたしの右腕はもう少しで溶けてなくなりそうになっていた

???

冬華

???

手繋いでもいいか?

冬華(ふゆか)

え、あ、うん!

氷の世界で繋いだ彼の手はとても暖かかった

冬華(ふゆか)

ねぇ

冬華(ふゆか)

最後にあなたの名前教えてほしい

???

いいけど

???

現実に戻ったらこの世界の記憶は残らないぞ

冬華(ふゆか)

そうなの?

???

多分

???

じゃ、行くぞ

彼が私の左手を引っ張った

湖の中、彼の声が聞こえた

「俺の名前は______」

目が覚めると母の顔があった

冬華!よかった目を覚まして…

冬華(ふゆか)

お母さん…

もう、心配したわよ

あんた凍った道で転んで救急車に運ばれたって聞いて、、

急いで駆けつけたのよ!

冬華(ふゆか)

そう…なんだ

それから数日、検査のため入院していた

医師

脳にも異常ありませんので

看護師

明日あたりには退院できるかと

冬華(ふゆか)

そうですか

冬華(ふゆか)

あの…

冬華(ふゆか)

私、大事なことを忘れてるような気がして

医師

事故のショックで記憶が曖昧になることはよくありますよ

医師

生活に支障はないと思います

冬華(ふゆか)

わかりました

冬華(ふゆか)

(なんだろこの感じ)

病室に戻る途中、看護師や医者が多く集まっているのを目にした

看護師

この子、まだ若いのに…

看護師

家族もいないらしいから

看護師

気の毒ね

患者の顔が一瞬見えた

冬華(ふゆか)

…ハッ

言い表せない既視感があった

冬華(ふゆか)

あの…

看護師

どうしたの…

冬華(ふゆか)

その人…知り合いなんです

そんな気がしただけなのに、つい言葉が出た

看護師

そう…

長いまつ毛に白い肌_綺麗な顔__

自然と私の顔には涙が伝っていた

冬華(ふゆか)

あなたの名前は___

「俺の名前は____」

冬華(ふゆか)

ゆう…、ゆうき!

だからゆうきは帰りたくなかったんだ…

現実世界の自分はもう生を終えようとしていたから__

冬華(ふゆか)

それなのに助けてくれて…

冬華(ふゆか)

ゆうき、ごめん、ありがとう…

色んな感情が溢れ出した

冬華(ふゆか)

好きだよ、ゆうき…

冬華(ふゆか)

あの世界で言えばよかった…

窓の外から明るい光が差し込んだ

もうすぐ、冬が終わる

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コメント

10

ユーザー

「冬」というワードの活用が素敵です! ゆうきくんの心も氷のように透き通ってるのでしょね…😌✨

ユーザー

下の方同様、テラー通信から来ました。 最後は切なくて好きです。 楽しませて頂きました!

ユーザー

テラー通信で紹介されているのを見させて頂きました✦ 表現の仕方やストーリー性がめちゃくちゃ好きです♡ 一瞬でファンになりました! これからの作品も楽しみにしてます(笑)

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