前世に殺した相手に恋をした

へらへらと笑い出した彼は私は怒りで狂いそうだった。

なんでや？なんでや？なんで鬼になったんや？あんたはもとから死ぬ程努力して強かったやろ？なぁ

彼は朝昼晩、みなの見えぬ場所で稽古をしていた。手には大量の豆ができる程に握っていた。

混乱の雲が渦を巻く。しかし、戦いの場から他の事を考えてはならない

相手の頭上高くから薙刀を落とす

距離を詰め、もう一度攻撃をしようとする。

しかし、刀で受け止められてしまった

回転しながらの波状攻撃で、相手に対し何度も斬撃を加える

雷の呼吸だけあって、速さが尋常じゃないくらいにも速い。

ウチがそこから対応しようと、呼吸を使った。しかし、彼からの攻撃から逃げられなかった

肺が破裂しそうな程に苦しい 酸素が足りない

身体は疲労で重い。

皮膚が破壊されている。 ヒビが割れてしまったんだ

なんで、弟弟子にこんな事をされるんや？

よう分からんわ‥少し、昔に戻りたいわ

そう願うとうちは昔のこと思い出した

遠い昔、 獪岳は私の財布を盗んだことがあった

初対面の頃は他の人から見たら最悪だった

ぼろぼろな着物にぼろぼろなうちの財布を持ち、何かに呆れ疲れたような目をしていた

しかし、生きることに関してはしがみつくように執着をしていた。人間の性だろう

獣の威嚇を目の当たりにする。彼の不満を全て吐き散らすようにうちに言った。

そんな事を言われても真顔で言い返した

口角は上がり、笑顔を振りまく。しかし、彼は不満を顔に書いたように浮き出ていた

それを言われるとうちは大喜びで相手の両手を握り、そのまま引っ張った

少しヘラっとした笑い方を見るとうちは嬉しそうについていた

どんだけ、ウチが「頑張った」「アンタは強い」なんて言うても自分が強ないと思うその少年の姿は鬼になっても変わらん

あんたがウチはいつか改心して幸せになるって思とったんや。

ほんまにごめんな。浅はかやった。あんたを結果的に苦しめさして。まちごとったんや。もう終いにしよう

息を吐き、すべての力を抜き、人生最期の力を振るい出す。強く握った刀は炎よりも熱く、岩よりも硬い

自分の頬が何故か不自然にも奇妙な鼠色の痣が浮き上がる

紅い刃が炎を散らすように首を斬った

首を斬れたと思ったが、そんな考えが浅はかだった。惜しくも首に傷が付いただけだった

そして、うちは悲しい目で彼を見た

名前　　北　文月

性格　　大抵の事は許してしまう人 好　　たくあん 嫌　　納豆

家族構成　　母、父、弟（3人）

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