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先生
先生がそう言うと
クラスメイトは一斉にわたしを見て
それから
何事もなかったように目をそらした。
この街には
目に見えない階級がある。
大人は誰もそれを教えない。
天はヒトの上にヒトを作らず
ヒトの下にヒトを作らず
それが公平なのだと繰り返す。
大人たちの作る幻想を信じている子どもは
この街にどのくらいいるのだろう。
イジメ当番は毎月決まり
展覧会は不定期に開催される。
イジメをする子どもに美しい絵を描くことができるのか。
自然発生するイジメを管理する方法を考えるための
取り組みの一環なのだと先生は言う。
例えば
イジメ当番に当たった子どもが精神的に深い傷を負ったとして
または
自ら望んで死出の旅路に出たとして
イジメを行った者たちには
何の罰もありはしない。
むしろ展覧会では
そういう子どもの描く絵が高く評価された。
定期的にイジメの対象を与えることで
心の何がわかるのだろう。
昨日まで親友だったあの子が、わたしの腹を蹴り上げた。
少年
少年
そう言ったのは
わたしが好意を寄せていた男の子だ。
痛いのは
心とカラダ、どちらだろう。
先生
先生
先生
先生
学校に通える階級の子どもであれば
どんな医療でも受けることができる。
女
どんな医療でも。
先生
先生
先生
女
女
女
先生
先生
女
女
先生
先生
先生
女
女
先生
先生
女
先生
先生
先生
先生
女
先生
女
先生
先生
先生
先生
先生
女
女
先生
女
女
女
女
先生
先生
先生
女
先生
女
先生
女
女
先生
先生
女
女
先生
先生
先生
カラダごと新しくなったわたしは
本当のわたしだろうか。
記憶は、ある。
優しいパパ
美人なママ
そして、イジメ当番。
鏡の中の
色素の薄い眼球に写るのは、偽物のわたしだ。
その記憶が本物である確証なんて
どこにもない。
女の子
女の子
女の子
あの日まで親友だったあの子が
わたしを見て、弱々しく笑う。
イジメ当番不在の間
イジメを受けていたのは、きっとこの子だ。
わたしは持っていたボールペンを
彼女の眼球に突き刺した。
声にならない悲鳴が教室を支配する。
親友だった彼女が血の涙を流していても
何の感情もわいてこない。
痛いのは
心とカラダ、どちらだろう。
女
キーボードを叩いていた女が、ため息混じりにそう言った。
女
女
女
女
女はパソコンの電源を落として、コーヒーを淹れた。
学生
学生
学生
白衣の青年が、眩しそうに目を細めて言う。
学生
女
学生
女
女
学生
学生
学生
女
女
女
女
学生
学生
女
学生
女
女
女
大量に子どもを消費しているもの。
学生
学生
学生
女は強く頷いた。
女