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─────光が、揺れている
…気が付けば、俺は ただそこに立っていた
息を呑むほどの静けさの中 足元はふわりと淡い光を放つ、草原
草の一本一本が 命を宿しているかのように……
─────まるで 夜の波打ち際のように
ゆらゆらと、揺れ動いていた
そっと、足を踏みしめる
─────その瞬間
足裏からじわりと温もりが広がり 草がふわりと宙へ舞い上がる
まるで 蛍の群れが空へ昇っていくように
光はゆらゆらと漂い─────
─────やがて クラゲのような柔らかな形をとって
天に向かって揺れていく
見上げれば、満天の星
流星群が絶え間なく尾を引き いくつもの惑星が宝石のように瞬く
その空は、現実の夜空とは違う……
まるで、夢そのものが 宇宙を抱いているかのような……
“圧倒的”な幻想─────
俺は、視線を落とす
目の前に───── 小さな机と、椅子が2脚
どちらも…… まるで、氷や水晶のように
透き通るような透明度を帯びていた
その椅子のひとつに“何か”が座っている
純白のローブを全身にまとい 深くフードを被っていて、顔は見えない
─────でも…
本のページをめくるその指先は
異様なほど静かで 息を呑むほど優雅だった
─────パチッと、音もなく目が合った
…その瞳は 銀河を閉じ込めたような瞳だった
星々がその瞳の中で 生きているかのように瞬いている
俺は言葉を失ったまま その視線に射抜かれていた
……低く、柔らかな声
……けれど、その意味は 霧の中に消えていくように
理解できなかった……
─────刹那
足元が、音もなく消えた
ふわり、ではなかった ─────断ち切られた
この空間との繋がりが、ぽつんと 唐突に切り落とされたような─────
……俺の身体は宙に浮き、落ちていく
─────最後のその声は
祈りのようでもあり 別れを告げるようでもあった
俺は、視界が闇に包まれる直前 ほんの僅かに手を伸ばした
届くはずもない、あの瞳に向かって
……ふっと、意識が浮上していく
深い海の底から 静かに、水面へと手を伸ばすように────
俺は、夜の現実へと還ってきた
目を開ける
ぼんやりとした、柔らかな闇 目に映るのは、薄く揺れるテントの布だった
夜風に ほんの僅かに膨らみ、そして萎む
その度に、外の月明かりが揺れ
布の繊維を透かして 微かに模様を描いた
─────夢を見ていた… ………………そんな気がした
…でも、思い出そうとした途端 それは、砂のように 指の隙間から零れ落ちていく
残っているのは…… 胸の奥に残る、不思議な温度と どこか懐かしい、光の気配だけ─────
─────一体、何を見たんだろう… 問いかけるも、誰も答えない ただ、心のとこかがそっと軋んだ
星の残像が 瞼の裏に焼き付いている気がしたから
…………。
突然、ビックリしましたよ
─────まさか、 彼がここに来るなんて 思いもしませんでしたからね
……でも、一目見れて、良かったです
思ったより元気そうで、安心しました
…このままであればいいのですが……