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テントの外では 爽が火の番をしていた

 

焚き火の炎が風に揺られ ゆらりと身をくねらせる

─────パチッ

木が爆ぜた音が、静寂の中に溶けていく

火の粉が、空へ、空へ……

─────まるで 小さな祈りのように舞い上がって、消えた

俺はテントの幕をそっとめくり 一歩、踏み出す

─────パキッ

足元の木の枝が小さく鳴った、その瞬間

焚き火の向こうで 爽がはっと、顔を上げた

視線が重なる

一泊の間を置いて 爽の瞳に安堵の色がぱっと滲んだ

 

……っ、父上…ッ!

声にならない声を押し殺しながら 爽は勢い良く立ち上がり駆け寄ると────

─────ぎゅうっ

引きちぎられそうな程 強く、強く抱き締められた

苦しくなるほどの温度…

胸に、腕に、背に… 爽の震えが伝わってきた

 

………ぐずっ……

湿った音が耳元で落ちる

じわり、と 腰周りの布地が温かく濡れていく

その腕に、更に力が籠る

………罪悪と、ちょっとの幸福

心配をかけて 涙を流させてしまった“罪悪感”と…

こんなにも 自身を想ってくれる存在がいるという

胸の奥に広がる、優しい幸福感…

この世界に、まだ“温もり”がある事を 俺は確かに感じていた

爽の肩が、震えている

─────でも 俺にしがみつく腕は、離れない

……むしろ、もっと強く…………

 

解けそうな不安を 必死に縫い止めようとしていた

俺は、何も言わずにその背を抱き返した

ゆっくりと、優しく …だけど逃がさないように……

火の粉がまた、空へ舞う

冷たい夜気の中で

その熱だけが 確かに俺たちを包んでいた

言葉は要らなかった

息遣いと、体温と、震えと 滲んでいく涙が───全てを語ってくれる

……俺は、まだ 誰かの為に生きていていいのかもしれない

─────そんな想いが ふっと心を揺らした

焚き火の灯りが 俺たちの影をそっと重ねて

その夜は、静かに続いていった

 

………

─────そういえば…

 

村に預けたあの2人…… どこかで……

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