太宰治
此処だよ
波紅〇〇
わあ…!
太宰さんに連れられたのは夜景が美しい公園。
少し高い処に有って、ヨコハマの建物がキラキラと眩い。
太宰治
任務中に見つけて、如何しても君と来たくて
波紅〇〇
迚も綺麗
太宰治
ふふ、目がキラキラしてる
波紅〇〇
だってこんな…
こんなに綺麗な街だったんだな、此処は。
何時も私が仕事で毎日のように人を殺し、 裏は闇で染まっているとは思えない程。
そう思ったのは私だけじゃなかったようで。
太宰治
私達がどんなに卑劣で黒い闇事に手を染めても、
太宰治
此の街は何時だって酷く眩く輝いている
太宰治
そう思うと少し気持ちが楽になるかなってね
波紅〇〇
確かに…そうですね
波紅〇〇
太宰さんは人を殺したりするのに躊躇がないと思ってました
太宰治
酷いなぁ、まあ実際そうだけれど
太宰治
私は微塵の同情や慈悲が無いけれど、
太宰治
君は少なからずあるのだろう?
波紅〇〇
!、何故其れを…
太宰治
知ってるさ
太宰治
( 君の事なら何でも )
太宰治
ポートマフィアの秀才な暗殺者であり乍ら
太宰治
慈悲の心で胸を痛める事も多々ある不思議な殺し屋
太宰治
其れが、私が惚れた君だからね
波紅〇〇
え、?
惚れたって如何云う…。
驚いて隣にいる太宰さんの方を向くと、 太宰さんも私を見返す。
其の左目の奥に宿る気持ちを、 私は痛い程知ってるんだ。
太宰治
ねえ〇〇、私は…
波紅〇〇
駄目…
手が震える。視界が歪んで、 其れを悟られない為に俯いた。
波紅〇〇
ごめんなさい太宰さん、私は……私は……
太宰治
あ、〇〇!
居ても立ってもいられなくて、 私は気付いたら走り出していた。