テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

LINE469

一覧ページ

「LINE469」のメインビジュアル

LINE469

1 - あ

2023年03月24日

シェアするシェアする
報告する

ユウキ

おい、そこの専業主婦

アイカ

えっ?私?

ユウキ

何だ、この味のない料理は。

ユウキ

作り直せ!

アイカ

もう、毎回毎回なんなのよ。作る方の身にもなってよ!

ユウキ

おれだって、毎回おんなじこと言うのいい加減うんざりなんだよ

ユウキ

好きで言ってるわけじゃないんだよ

ユウキ

お前が、俺の好みに合わせてくれさえすればすむ話なんだよ

アイカ

ほんとに、いい年して子供みたいな駄々こねないでよ

アイカ

シンもそばで聞いてるのよ。

アイカ

お医者様からも、食事療法をしっかりするように散々言われているのよ。

アイカ

だから、栄養士さんの献立を参考にしてるし、

アイカ

少しでもあなたの口に合うように工夫して作ってるのよ

アイカ

糖尿病を甘く考えないでね。

アイカ

シンもまだこれから中学高校とお金がかかるんだし、

アイカ

あなただけの身体じゃないんですからね

ユウキ

何だよ、結局俺の健康の心配は二の次で

ユウキ

元気に働いてしっかり稼いでもらえればそれでいいと思ってるんだろ

アイカ

持病でイライラするのはわかるけど、

アイカ

その言い方はひどすぎるわよ。

アイカ

病気のせいで性根まで曲がってきたようね

ユウキ

ああ、もういいよ。お菓子とジュースで気分転換でもするか

アイカ

あなた、いい加減にしてください!!

アイカ

お医者さんと栄養士さんには、「嫁が作ってくれない」

アイカ

なんて嘘をついて言い訳してるんでしょ!

アイカ

こないだも、食事だけは献立通りに食べさせてくださいって、

アイカ

お医者様からわざわざお電話頂いたんだからね

ユウキ

そ、そうか。でも、この前の診察では

ユウキ

血糖値は少しづつ下がってますよ。って言われたんだけどなあ~

~数日後~

アイカ

シンが「パパの体が心配だよって言って」

アイカ

今晩の夕食は僕が作るって言ってくれたわ

ユウキ

ああ、さすが俺の息子だな、まだ子供だと思ってたけど、

ユウキ

この前の俺達の言い争いを聞いて

ユウキ

俺の身を案じてくれてるなんて、泣けてくるよなあ

ユウキ

シンが作ってくれた料理ならそれだけで嬉しいよ

ユウキ

今夜は早めに帰宅するよ。楽しみだなあ

ユウキ

今日の夕飯は、シンが料理してくれたってだけで

ユウキ

いつもより美味しく感じたよ。味付けはお前のと大して変わらない気がしたけど

ユウキ

不思議なもんだなあ

アイカ

まあそれはよかったわ。なんていっても

アイカ

あなたが目の中に入れても痛くないほど可愛がってるシンが

アイカ

パパの事を心配して慣れない手つきで

アイカ

作った料理ですからね。あたし以上に、愛情がこもってるのよ

アイカ

これからもしばらくシンが料理したいって言ってたわよ

ユウキ

そうなのか。心の優しい子だよなあ。

ユウキ

俺の親父は、叱ってばかりで殆ど会話なんてなかったから

ユウキ

側にいるだけで気づまりして親しみなんて皆無だったな

ユウキ

だから、俺が父親になったら

ユウキ

正反対の子育てをしようと思ってたんだよ

~さらに数日後~

ユウキ

シンの手料理ってことで今晩も頂いたけど、

ユウキ

お前の作る料理と全く同じなのは気のせいなのか?

アイカ

それは仕方ないでしょ、

アイカ

だって、料理なんてしたことないあの子に

アイカ

私が一から十まで教えてあげてるんだからね

ユウキ

それにしてもなあ、、、、

ユウキ

おい、このぐーたら主婦が。

アイカ

なによいきなり!

ユウキ

昨日少し早めに帰宅してみたら

ユウキ

シンが作ってくれてたと俺は信じてたのに!

ユウキ

全部お前が料理してたんだな

ユウキ

この嘘つき女!

アイカ

ええ、そうよ。これもあなたの健康を心配するあまり

アイカ

シンが自分から提案してきたことなのよ

ユウキ

お前の話なんか信じれないな。おおかた、お前がシンに持ち掛けたんだろう

アイカ

ほんとにあんたっていつからそこまでひん曲がってしまったのかしら

アイカ

シンが可哀そうだって気持ちにならないの?まったくもう

ユウキ

ともかく、これからの事は次回の診察結果を聞いてからだな

アイカ

ええ、私も次回は同行させてもらうわ

~再受診後~

アイカ

数値は改善するどころか悪化してるし、

ユウキ

もう、ここまで来たら、多少の気休め程度の

ユウキ

食事療法程度じゃ大して変わらないさ

ユウキ

どうせ俺は死ぬんだろ? 

ユウキ

死ぬ前にトコトン食わせろ

ユウキ

一度きりの人生、好きに生きたいよ

アイカ

あんたがそんな自暴自棄になってどうするのよ。シンの事考えてるの?

アイカ

今日こそは、はっきりさせましょう。

ユウキ

何をはっきりさせるんだよ。

アイカ

私達のこれからの事よ

アイカ

あんたが勝手に友人に依頼して注文してた丼物やなんやら、

アイカ

すべて私が後で支払ってたのよ!

アイカ

ハッキリ言うわ。あなたがこの先療養の態度を改めないなら、

アイカ

離婚も考えてますから。

ユウキ

いきなりかよ。確かに俺にも至らない点があったのは認めるから、

ユウキ

ちょっと冷静になれよ、いつものお前らしくないぞ。

アイカ

あなた何を今更きょどってるのよ。

アイカ

今まで私の話なんてちっとも聞いてくれなかったのに

アイカ

それなのにいつものお前らしくないって、

アイカ

ぐうたら専業主婦程度としか思ってなかったのに

アイカ

あなたの口からはっきりと私への本心を聞いたしね。

ユウキ

なんだ、皮肉かよ。そんな物の言い方されたんじゃ、

ユウキ

協力しようという気も失せるし、病気も悪化しそうだぞ!

ユウキ

それに離婚も考えてると高飛車にでたけど、

ユウキ

後で泣きついてきても後の祭りだってことは、

ユウキ

俺もはっきり言わせてもらうぞ!

ユウキ

どうせ俺の収入がないと食っていけない専業主婦のくせに!

ユウキ

シンだって俺を慕ってるからついてくるはずだし、

ユウキ

40過ぎの大した取柄もないおばさんじゃ

ユウキ

再婚するにしても、大幅に妥協しないと無理だろうさ

ユウキ

みじめな現実を思い知らされて、今の生活の有難さを

ユウキ

後悔するのが関の山だろうよ

アイカ

あなたねえ。やけになって悪態つきまくってるけどね、

アイカ

みじめな現実を思い知らされるのはどちらになるでしょうね

ユウキ

な、なんだ。その奥歯に物の挟まったような言い方は、、

アイカ

男って単純な生き物で、でもそこが可愛い部分もあると思ってたけど

アイカ

あなたって単純なだけじゃなくって、傲慢で、幼稚で、

アイカ

自己中で、お金で人の心まで支配できるって考えなのね

アイカ

あなたの本性が知れて、離婚しようって気持ちにより傾いたわ

ユウキ

お、お前、亭主に向かって、な、なんて口の利き方だ!

ユウキ

ま、まさか俺に何か隠し事でもしてるんじゃないだろうな

アイカ

やっと、少しは気が付いたようね

ユウキ

な、なんなんだよ。この際だ、言いたい事は全部吐き出せよ

アイカ

そうね。私の事平凡で取柄もない専業主婦って

アイカ

思い込んでるでしょうけど、

アイカ

私、あなたの2倍は余裕で稼いでますから

ユウキ

へっ?

アイカ

呆れたわ。ちっとも気が付かなかったのね

ユウキ

何のことだよ

アイカ

私、ただの専業主婦してただけじゃなくて、

アイカ

在宅でイラストの仕事をしてうのよ。自分で言うのもなんだけど、

アイカ

これでも人気イラストレーターで、仕事の依頼も次々きてるわ。

アイカ

でも、家族のことを一番大事にしてたから

アイカ

あなたとシンのお世話があるから

アイカ

泣く泣く依頼を断らざるを得なかったの

アイカ

だから、離婚されたって、生活にはちっとも不自由しませんから。

アイカ

それより、少しは自分の心配をすることね。

ユウキ

そんな、人気商売でライバルも多いだろうし、

ユウキ

売れなくなったらあっという間に冷や飯だぞ、自惚れやめとけ。

アイカ

あーら、そうですか。笑

アイカ

なんとでもいったら。愛想も尽き果ててるし離婚しましょう

ユウキ

勝手にしろよ。後で泣きついても知らないからな。

ユウキ

俺もせいせいするよ。

~離婚別居後~

ユウキ

アイカ、戻ってきてほしくてメールしてるわけじゃないからな

アイカ

言わなくてもわかってるわ、シンの事でしょ

ユウキ

そうだよ。あれだけ俺になついて、慕ってくれてた息子が

ユウキ

なぜ急にお前についていったんだよ。

ユウキ

お前が出て行ってせいせいしたが、息子までいなくなると、、、

ユウキ

さすがに凹むんだよ

ユウキ

それはお前も百も承知してるはずだろ、

ユウキ

俺のシンにどんな入れ知恵吹き込んだんだよ‼

ユウキ

純真無垢なあの子をどうやっててなづけたんだよ

アイカ

あなたのひがみ根性も相当なものね。もう被害妄想のレベルだわ。

アイカ

あたしがもうパパとは一緒に生活していけないってシンに打ち明けたの

アイカ

そしたら、あの子

アイカ

「お母さんの手料理を食べてくれるように僕がパパを説得してみる」

アイカ

健気に言ってくれたのよ。

アイカ

シンは私達が喧嘩せず仲良く暮らすのが一番の望みだったはずよ

アイカ

でも、あなたそんなシンの説得聞き流してるだけで

アイカ

改めようともしなかったでしょうが!

アイカ

私が仕事をセーブしてまであなたのために手料理作ってる姿を

アイカ

シンもそばで見てたのよ。

アイカ

それでもパパの生活態度が変わらなかったら、離婚も考えてる

アイカ

ってシンに伝えたら、その時はお母さんについていくって言ってくれたの

ユウキ

えっ、そ、そうだったのか・・・

アイカ

少しは自分の身勝手さ加減がわかったかしら?

アイカ

でもこんな話今更しても、全ては身から出た錆

アイカ

あなたの自業自得、自分から招いた事態ですからね

ユウキ

ま、まあ俺も離婚されてから反省はしてるんだよ

アイカ

今頃反省って、聞いて呆れるわね。

ユウキ

ところで、シンは元気にしてるのか?

アイカ

シンの事は気になるのね。あの子は、しばらく不機嫌だったり、

アイカ

落ち着きがなくなったり、急にふさぎ込んだり、

アイカ

わたしも少し心配してるのよ。

ユウキ

え、どこか具合でも悪いのか?

アイカ

ばかねぇ。離婚してほしくなくて、

アイカ

あれだけあなたに食生活改めるように頼んでたのに。

アイカ

あなたが聞く耳持たなかったから、情緒不安定になってるのよ。

アイカ

思春期外来のお医者様が言ってたわ。

ユウキ

そ、そうなのか。シンには申し訳なかったなあ

ユウキ

パパが謝りたいって、シンに伝えておいてくれないか。

アイカ

ええ。そうするわ。それとね、これは言いにくいんだけど、、

ユウキ

な、なんだよ。まだ何かあるのか?

アイカ

あなた再受診の結果聞きに行ってないでしょ?

ユウキ

うん、何だか気乗りがしなくてね。つい行きそびれてたんだが、

アイカ

そんな事だと思ってたわ。実は、病院からあたしに電話があって、

ユウキ

で、、、電話?

アイカ

MRIの結果、初期の肝硬変になってるそうよ。

ユウキ

か、肝硬変?なんだそれ。

アイカ

一言でいえば、肝臓がんの一歩手前ってことよ

ユウキ

か、肝臓がん?もうすぐ俺死ぬのか・・

アイカ

とにかく、ラインじゃらちがあかないから

アイカ

自分で直接お医者様に聞いてみたら?それ位できるでしょ

ユウキ

そ、そりゃそうだな。なぁ、アイカさん、できれば、

ユウキ

一緒に付き添ってくれないかなぁ。離婚することになってしまったけど、

ユウキ

今まで人生を共に過ごした事もある間柄だろ。

アイカ

この期に及んで今更、泣き落としですか?

アイカ

あなたと私はもう他人、別々の人生を歩き出したのよ。

アイカ

あなたも早く気持ちを切り替えなさいよ。

アイカ

自分の人生なんだから、自分で責任を負うのが当然でしょ。

ユウキ

き、君には人としての思いやりのかけらもないのか?

ユウキ

俺は、今までそんな女と人生を過ごしてきたのか・・・

アイカ

そんな、安っぽいセリフで責任転嫁するつもり?

アイカ

シンは今でも、たまにあなたのこと気にかけてるようだし

アイカ

すべては今後のあなたの生き方次第よ。

アイカ

私から言うことはそれだけよ。じゃあねぇ~

~後日談~

アイカ

糖尿病、肝硬変と病気のWパンチで大病院への転院→通院で医療費増

アイカ

仕事をセーブすることになり、収入減

アイカ

料理の出来ないユウキは友人に買いものを頼むも、お金を払ってくれないなら、もう行かないと断られる

アイカ

アイカに戻って欲しいと懇願するも味覚の違いを指摘され、断られる

アイカ

シンの親権争いをするも敗訴

アイカ

家事代行サービスを頼むが、貯金が底をつき、泣きながら慣れない家事をするようになる

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚