死んだ寮長が未練探しに帰ってきた話

突然告げられた寮長の死

信じられるはずがなかった

誰がなんと言おうとここは 廊下です。

エースくんのお部屋なう

自然と涙が溢れた

聞き覚えのある凛とした声

何度も言われたその言葉

目の前には確かにあの寮長が 立っていた

いいや…正しくは

「浮いて」いた

精一杯の笑顔で取り繕った

こんな情けない姿寮長に見せられない

相手が寮長って理由だけじゃない

寮長は俺にとって「大切な人」だから

寮長はたんたんと告げた

勿論寮長の願いとあらば叶えてあげたい

だが今回は違う

要するに寮長は「さっさと成仏したいから未練を探して」と言っているんだ

せっかく会えた寮長をぱっぱと成仏させていいのか…？

そんな思いが頭をよぎった

あーあまた嘘ついちゃった

ほんとは成仏させたくない

行かないでって言いたい

どんだけヘタレなんだよ俺…

俺らは2年生の教室に向かった

2年の教室

辺りを見回してもジェイド先輩はいない

ぶんぶん手を振りながら上機嫌でこっちに近ずいてくる…

これ以上は触れてはだめだ

驚きすぎてひっくり返るかと 思った

フロイド先輩の表情がガラッと 変わった

先程の上機嫌なフロイド先輩とは違う

どこか儚いような

そう言って寮長がいる辺りを 指す

そうしてフロイド先輩はがしがしと頭をかいた後

さっていった

そういえば寮長ってフロイド先輩の事好きなんだっけ

いっつも楽しそうに追いかけっこして

ああ…「やだな」

これ以上は考えない事にした