テラーノベル
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最近、視線を感じる。 「……また。」 廊下を歩いていると、ふと背中がむずっとする。 「えとさんどうしたの?」
隣を歩くのあさんが首を少し傾げた。 「いや…なんでもない。」 本当は分かっている、視線の正体。
廊下の向こう、1年4組の前。 「お、えとさんじゃん。」 軽い声。聞き慣れてしまった、その声。 新羅ゆあん、その隣には神宮じゃぱぱ。
「えとさんだっけ?ゆあん君が言ってた」 じゃぱぱがにこっと笑う。 「”冷たい子”がいるって」 「ちょ、言い方」
ゆあん君が笑いながら突っ込む。 「……余計な事言わなくていいです」 私はそっけなく返した
「…でもさ」 ゆあんくんが一歩近づく。 「冷たい割に、ちゃんと話してくれるよね」
距離が近い。 「のあさん……!」 助けを求めるように名前を呼ぶと、のあさんは少し困った顔で笑った。
「えっと…じゃぱぱさん先行こ?」 「え、俺?」 「いいから…!」 二人は少し離れた。 ーー逃げ道、塞がれた。
「安心して」 ゆあんくんは手を出さない。 「無理なことはしないって言ったでしょ」 「……信用してません」
「知ってる」 なのに、声が柔かい。 「でもさ」
私の前に立ち、目線を合わせる。 「昨日より、ちゃんと見てくれた」 ドキ、と胸が鳴った
「気のせいです」 「ほんと?」 笑いながらも目は真剣。 「俺、気のせいって言われるの嫌いなんだ。」
その言葉が少し重くて。 ーーでも嫌じゃない。 「……じゃ、失礼します。」 そう言って歩き出すと、後ろから低い声。
「無理しなくていいから」 振り返る前に低い声。 「でも、少しずつでいい」
歩きながら、胸が落ち着かない。 「えとさん…!」 のあさんが戻ってきて、小声で言う。
「あの人、絶対本気になりかけてる」 「…ない」 即答したけど。 胸の奥が、じんわり熱い。 (気のせいじゃ、ないよね)
その視線も、言葉も。 少しずつ、私の心に触れ始めていた。
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