裏庭での出来事から数日後。
ショッピくんとの距離は全く変わらないけれど、
1つ、変わったことがある。
それはチーノとの仲だ。
今まで名前も知らないし顔も見た事ないぐらいだったのに
あの時から今までが嘘のように仲良くなった。
コミュ障気味な私でも気軽に話せるし、
……休みになって会えなくなればあの笑顔が見たくなる なんて事もあった。
私はいつかきっと、チーノが好きになる。
もしかしたら、既に好きになっているのかもしれない。
私が気づかないだけで___。
このままショッピくんに話し掛けていても迷惑になるだけ。
だからもうショッピくんは諦めようかな……
『迷わず、焦らず、ゆっくりと』
小さい頃から親に教えられてきた言葉。
私の思った事を何でも口に出す性格のせいで、
親に迷惑をかけてしまうこの性格のせいで、
この言葉を口に出させてしまったこの性格のせいで、
中学2年生の半ばで
私は口数が少なく意見を余り言わない、 塞ぎ込んだ人間になってしまった。
そして、『ひと』 への関心さえも
なくなってしまった。
…たった1人を除いて。
親も何もかもが嫌になっていた時
1人、傍に居てくれた人がいた。
名前も顔も知らない男の子。
その時は自分の事で頭がいっぱいだったから、
名前も何も聞いていなかった。
あの大きな木がある公園のベンチでずっと寄り添ってくれた、
優しくて温かい、太陽みたいな人。
だけど今はもう、逢えない。
逢いたいけれど、逢うことが出来ない。
あの太陽みたいな人は空へ帰ってしまった。
【逢いたい】
今まで何度そう思ったことか。
この世に居ない人に逢うなんて出来ないのに。
でも、逢いたい。
そんな滅茶苦茶な思いを抱え、生きてきた。
散々辛い思いをしながら生きてきた。
あの子の分も生きよう
そう思って生きてきた。
そして今。
あの子みたいな、私にとって太陽みたいな存在の人が 2人いる。
チーノは明るい太陽。
ショッピくんは優しい太陽。
2人とも大好きで大切。
でも、チーノは違う感情の好き、かもしれない。
ショッピくんはもう、諦めるしか無いかもしれない。
『迷わず、焦らず、ゆっくりと』
その言葉を思い出す。
今の私には、ゆっくりと考えることが大切なんだ。
私は本当にチーノが好きなのか
……………
私はもう、ショッピくんを諦めた方がいいのか
【駄目】
そんな声が聞こえてきた。
……あの男の子の声
男の子が背中を押してくれてる。
それが私には分かった。
凄く嬉しくて体が震えて涙が出てくる。
うん、もう諦めたりしないよ!
心の中で喋りかけると、男の子が泣いた気がした。
姿は見えないけれど、鼻を啜ってる音がする。
見えない男の子にお礼とさよならを告げると、
それきり男の子の声や気配が無くなった。
心臓の音がうるさい。
あの子は応援してくれてるんだ。
頑張れ、私
そう自分の気持ちを奮い立たせた。
コメント
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私の太陽は推s((((