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うりさん目線です
一日中、隣の席が遠かった。
距離は、たぶん変わってない。
机の間隔も、椅子の位置も。
なのに、
話しかける勇気だけが、見当たらなかった。
あいつは普通にしてる。
友達と笑って、授業もちゃんと聞いて。
俺にだけ、ほんの少しだけ、線を引いてる。
⸺たぶん、無意識で。
それが、一番きつかった。
昼休み。
廊下で、またクラスの男子に話しかけられてるのを見た。
別に、仲良さそうってほどじゃない。
でも、あいつはちゃんと相手のほうを見て、相槌を打って、笑ってた。
うり
考えた瞬間、自己嫌悪がくる。
比べる資格なんてない。
勝手に気にして、 勝手に苦しくなってるだけ。
放課後。
あいつは今日も、一人で帰ろうとしてた。
うり
この距離が、当たり前になる気がした。
うり
気づいたら、声が出てた。
あいつが振り返る。
少しだけ驚いた顔。
でも、逃げない。
それだけで、心臓がうるさくなる。
うり
言葉を選ぼうとして、選べなかった。
うり
あいつは目を瞬かせて、すぐに首を横に振った。
のあ
その"けど"が、全部だった。
うり
それ以上、踏み込めなかった。
本当は言いたかった。
誤解してほしくないって。 他の誰かとじゃなくて、ちゃんとお前と話がしたいって。
でも。
それを言ったら、今の関係が壊れそうで。
うり
謝る理由なんて、分からないのに。
あいつは少し困った顔をして、小さく笑った。
のあ
優しい声だった。
だから余計に、胸が苦しくなった。
あいつが先に歩き出す。
その背中を見ながら、俺は立ち尽くした。
うり
うり
答えに名前をつけるのが、もう時間の問題だってことだけは、分かってた。