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せんせい
その一言で、教室の空気が一気にざわついた。
紙が配られて、番号が呼ばれていく。
正直、どうでもいいと思ってた。
…思ってた、はずだった。
せんせい
彼の名前が呼ばれて、少しだけ顔を上げる。
彼は立ち上がって、前のほうの席に移動した。
のあ
それだけで、胸が一瞬、沈んだ。
のあ
理由を考える前に、心が先に反応してしまった。
新しい席に座っても、視界の端に、もう彼はいない。
机を並べた距離が、一列分、遠くなる。
新しい隣の席の子に声をかけられて、私は笑って返した。
ちゃんと、いつも通り。
…なのに。
授業中、何度も無意識に左を見てしまう。
そこには、知らない腕と、知らないノート。
消しゴムを落としても、拾ってくれる人はいない。
小さなことばかりが、やけに引っかかる。
のあ
考えて、やめた。
昼休み。
彼は前の席の友達と話していて、こっちを見ることはなかった。
当たり前なのに、胸の奥が、じんわり痛む。
のあ
放課後。
気づいたら、彼の姿を探してた。
廊下、階段、昇降口。
のあ
その瞬間、はっきり分かった。
隣にいないのが、こんなに落ち着かない理由。
話さなくてもよかった。
特別なことがなくてもよかった。
ただ、隣にいるのが当たり前だった。
それが、好きじゃなかったら、 こんなふうに苦しくならない。
のあ
胸の奥が、静かに音を立てた。
これが、そういう気持ちだって。
でも、もう隣じゃない。
今さら、どうしていいかも分からない。
私は立ち止まって、前の席にいる彼の背中を見た。
知らない距離。
でも、確かに好きになってしまった距離。