君と歩いたこの道は
ピンク色の花弁で
綺麗だった
少し前までは
咲いていなかった
この花は
春が来たと教えてくれているんだろう
朝に弱い俺は
鳥の囀りで
目を覚ました
最悪なことに
昨日君は消えていた
ガンだった
何度も何度も
綺麗な体に針を刺され
長くてサラサラした髪は
抜け落ちていた
君との会えない日々
”会いたい”
頭に響く君の声
聞こえない
いや、聞けなくなった
君の声
最後に会った時の君は
とても息が荒く
弱っていた
最後の力を振り絞って
くれたのだろう
何度も息を吸い
短い言葉で
「愛してる」
涙が溢れた
君が居なくなるなんて
手を握った頃には
安らかに眠っていた
君との春は
もう来ないだろう
ふわりと風が吹くたび
花が散り
甘い臭いと共に
通りすぎた風は
笑顔にさせてくれた
「生まれ変わったら会いに行くよ」