誰よりも優しい貴方に祝福を＿

1868年1月27日

ついに戦いの火蓋が切って落とされた

場所は京都南郊

世に言う戊辰戦争

鳥羽・伏見の戦いである＿＿

ｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝ

怖くて動けない、……

どうすればいいの?どこに行けばいいの?

助けてっ、＿＿

すぐそこでは戦争が起きている

人が殺され、悲鳴をあげ、

まるで地獄絵図のようだ＿＿

誠は幕府側の人間だ

一瞬何を言ってるのかが分からなかった

居なくなるの……?

もう声を聞けないの……?

もう会えないの……?＿＿

もう、何も言えなかった

貴方の強く優しい心にはかなわなくて＿＿

そう言って渡されたのは

一刀の刀と

一通の手紙だった＿＿

ドォンッ

誠に聞こえていたかは分からない

でも

これだけは伝えたかった

もう貴方の姿が見えなくなる前に＿＿

もう息ができないほど走った

そうして私はこの大きな木を触った

その瞬間、

立っていられないほどの風が吹いた

このままじゃ飛ばされるっ、……

そう言って私は刀を地面にさした

そこからの記憶はない

だが＿＿

なんと目が覚めたのは

現実の世界だった

あっちの世界は1月だったはずじゃ＿＿

嘘……

刀がないっ……!?

刀、どこに行ったんだ……?

手紙も何が書いてあるんだろう＿＿