この町では、口にしてはいけないと言われている言葉があった
「ケツウ」
なぜ口にしてはいけないかは、誰も知らなかった。
男子
ケツだって!ケツ!わはは!
気の弱い女子
あ、あんまり馬鹿にしない方がいいと思うよ·····
男子
だってー!
面白いんだもーん!
面白いんだもーん!
小学生はこうやって馬鹿にしたりしていたが、その言葉を口にしたりは決してしなかった。
夕方、部活終わり
私
はぁ·····
私
今日も疲れたな·····
私
みんなと違う部活だからいつも1人で帰らなくちゃいけないんだよね·····
私
今日は雨も降ってるし、なんだか怖いなぁ·····
私
少し早歩きで行こう!
私
あれ?少し雨が強くなってきた·····
私
さっきよりも暗くなってる気もするし·····
私
でも家までもう少しだし、大丈夫だよね
私
?
私
なんだか足音がする
私
この辺りは人はほとんど通らないはずなのに
私
暗いからちょっと怖いな·····
私は1度振り向いてみることにした
私
·····あれ?
そこには誰もいなかった。
私
ま、まぁ·····
空耳だよね·····
空耳だよね·····
私
ちょっと怖がりすぎだよね
きっとそう·····だよ·····
きっとそう·····だよ·····
そう思ったが、やっぱり不安だったので小走りで帰ることにした。
私
·····
私
やっぱり
さっきの足音だ。
私
空耳じゃ·····
ない?
ない?
私はもう一度振り向いてみた
私
えっ·····
そこには
雨に濡れてびしょびしょで、履いている制服のスカートが赤く染っている女が下を向いて立っていた
私
·····?!
私
なに·····
あの人·····
あの人·····
立ち竦んでいると、女はこちらを見た
·····いや、「見た」と言っていいのか。
なぜなら
私
目が·····
私
無い?
その女は、本来なら目があるところにぽっかりと穴が空いていた。
私
え·····
私
·····逃げなきゃ
私は全速力で走った。
血だらけの女
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女は人の声とは言えない声で笑った
そして有り得ないスピードで追いかけてきた
私
私、しんじゃうの·····?
すると、女がブツブツと何かを言っているのが聞こえた。
血だらけの女
·····つ·····
血だらけの女
·····ツウ·····
私
·····!
私
もしかして·····
あの口にしてはいけない言葉「ケツウ」を呟いている·····?
私
でもどうして·····
その時私は、急にひらめいた。
私
「ケツウ」って、もしかして「血雨」ってこと?
それを口にした瞬間、土砂降りの雨は赤色に染まった。
私
しまった!
言ってしまった。あの言葉を。
私
·····?!
私
動けない·····!
ドロドロの赤い雨の水溜まりにはまってしまった私は、足が動かなくなってしまった。
血だらけの女
ヨウコソ
血だらけの女
コレデアナタモ
血だらけの女
ワタシタチノナカマダネ
女子高生
部活で遅くなっちゃったなぁ
女子高生
雨も降ってきちゃったぁ
女子高生
早く帰ろぉーと
私
·····つ·····
女子高生
?
女子高生
あなたは·····誰?