TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

LINE962

一覧ページ

「LINE962」のメインビジュアル

LINE962

1 - あ

♥

7

2023年08月03日

シェアするシェアする
報告する

ユイ

あの、どうして私の練習用の服、汚したんですか?

ケイコ

だから、何度も謝ったじゃない

ケイコ

わざとじゃないし、これから気を付けるね、って

ケイコ

それくらい、許してよ

ユイ

私にはわざとやったようにしか見えなかったんです

ユイ

私がランチに持ってきたスープジャーを倒した、って言ってましたが…

ユイ

しっかりと蓋はしてあったはずですよ

ケイコ

開いちゃってたんじゃない?

ケイコ

もう、

ケイコ

しっかり見なさいよ

ユイ

ですから、ちゃんと閉めてました!

ユイ

わざとにしか思えないですよ!

ケイコ

しつこいわね、何度も言っているけど、

ケイコ

わざとじゃないんだもん、

ケイコ

汚れちゃったものは諦めてよ

ユイ

前にも、私の衣装汚した時ありましたよね

ユイ

覚えてますか?

ケイコ

え~?

ケイコ

あったけ?

ユイ

ありました!

ユイ

その時は他に着替えがなかったから他のメンバーに借りるしかなかったんです

ユイ

きっと、誰も持っていなかったら帰っているところでした

ケイコ

帰ればよかったのに

ケイコ

主役だけど、あなたの主役なんて私でもできるわ

ユイ

またそれですか?

ユイ

オーディションで私が選ばれたこと、根に持っているみたいですけど

ユイ

監督は私を選んだんですよ

ユイ

ケイコさんが向いている、向いていないとか、

ユイ

そんな話じゃないんです

ケイコ

監督が選んだから、って言うけど

ケイコ

私の方が向いている、っている劇団メンバーもいるし、

ケイコ

あなたの変わりはいつだっているのよ

ユイ

知らないですよ、そんなの。第一、監督の言うことが優先です

ユイ

誰かがケイコさんのことを認めたとしても、

ユイ

今回の主役は私です

ユイ

諦めてください

ケイコ

監督があなたを認めても、私は認めてないから

ユイ

ケイコさんは監督じゃないじゃないですか!

ケイコ

まあ、とにかく

ケイコ

明日もリハーサルだし、頑張ってね~

~翌日~

ユイ

ケイコさん、私のピンマイク壊したの、ケイコさんですよね

ケイコ

は?何のこと?

ユイ

とぼけないでください!

ユイ

トイレに行ったとき、

ユイ

偶然聞いちゃったんです

ユイ

「あの子のピンマイク、わざと壊してやったんだ~って」

ユイ

ケイコさんがケイコさんの友達と話しているのを

ケイコ

ふーん

ケイコ

あっそ

ケイコ

だったら何なの?

ユイ

よってたかって嫌がらせして...

ユイ

恥ずかしいと思わないんですか?

ケイコ

あのね、

ケイコ

まだこの劇団に入って1か月くらいしかたってなくてあまり知らないと思うから、

ケイコ

教えてあげる

ユイ

は?何をですか?

ケイコ

この業界でどんな手を使ってでも主役の座を奪おうとするのは珍しいことじゃないのよ

ケイコ

悔しかったら、やり返してみなさいよ

ユイ

やり返す気なんてありません

ユイ

そんな子供っぽい挑発に乗るほど、

ユイ

馬鹿じゃないです

ユイ

それに、ピンマイクなしでも、

ユイ

今日のリハーサルはしっかり最後まで演技できました

ケイコ

そうかしら?

ケイコ

自分が使う道具をあらかじめ確認しておくのは、基本じゃないの?

ユイ

監督にピンマイクが壊れた、って話したら

ユイ

新しいマイクがない、って言われましたが、

ユイ

ちゃんと、生声で劇場に声も通りましたし、

ユイ

道具の確認ミスを怠ったのを怒られるどころか、

ユイ

声がよく通るのを褒められましたしね

ケイコ

ふん、そうね

ケイコ

私がいなかったら褒められなかったかもね

ユイ

明日は、有名な監督も見に来る日なので、

ユイ

あまり、誰かにかまっている暇、ないと思いますよ?

ケイコ

別に、あなたなんかにかまっているほど私も暇じゃないわよ

~翌日~

ユイ

私にかまっている暇、ないんじゃなかったんですか?

ケイコ

ああ、今日の楽屋でのこと?

ケイコ

あなたが調子になるからじゃないの

ケイコ

本番で身につける髪飾り、

ケイコ

監督がずっと大事に持っていたものだものね

ユイ

それ知ってて、踏みつけたんですか?

ケイコ

さあ?どうだか?

ケイコ

さすがの監督も、あの髪飾りの様子見た時、

ケイコ

ものすごく怒ってたものね~

ケイコ

もう、あなたに主役の座は戻ってこないかもね

ユイ

ひどいですよ

ユイ

どうしてそんな汚い手まで使って主役の座を奪い取ろうとするんですか?

ケイコ

私には、私のやり方があるのよ

ケイコ

あなた、監督には怯えてるから、

ケイコ

とても言い訳なんてできないものね

ユイ

私の性格、知っててやるんですか?

ケイコ

私、ライバルに勝つためにはなんだってするの

ケイコ

だから、手段も択ばないのよ

ケイコ

悔しかったら、明日のミーティングで私が嫌がらせしてること言ってみたら?

ケイコ

まあ、あなたにそんな度胸はないと思うけどね

~翌日~

ケイコ

やっぱり、

ケイコ

監督に髪飾りが壊れたこと、自分から理由話せなかったわね

ケイコ

監督は私のこと主役に選んでくれたし、

ケイコ

思っていた通りよ

ユイ

よかったじゃないですか

ユイ

願いが叶って

ケイコ

当然でしょ

ケイコ

いつだって自分の欲しいものは手に入れてきたんだから

ケイコ

ヒロインのセリフだって、

ケイコ

いつでもあなたと変われるようにセリフを覚えてたのよ

ユイ

こんな形で主人公の座を奪ったこと、

ユイ

後で後悔するのはケイコさん、自分ですよ?

ケイコ

後悔?

ケイコ

「ひどいことした~これからバチが当たるかもしれない~」

ケイコ

って後悔する、ってことかしら?

ユイ

そうですよ

ケイコ

そんなわけないじゃない

ケイコ

やっと手にできたヒロインの座なのよ

ケイコ

最後までやり通して見せるわ

ユイ

最後まで、やり通すんですね?

ケイコ

ええ、当然よ

ケイコ

あなたよりいい演技、できるように努力してきたもの

ケイコ

やっとその才能を発揮できると気が来たわ

ケイコ

監督だって、私のこと認めてくれるはずよ

ユイ

私はこんな形でヒロインを全力で演じきれるなんて、

ユイ

思っていませんが、

ユイ

まあ、せいぜい頑張ってくださいね

~1週間後のリハーサル後~

ケイコ

ねえ、どういうこと!?

ユイ

何がですか?

ケイコ

どうして、ヒロインのセリフで変更点があること、

ケイコ

教えてくれなかったのよ!

ケイコ

しかも1つや2つじゃないじゃない...

ケイコ

しっかり引き継ぎもできないなんて、馬鹿じゃないの!?

ユイ

引き継ぎもなにも、

ユイ

変更点は監督がみんなの前で行っていましたよ?

ケイコ

へ?

ケイコ

そ、そんなこと、言ってなかったわよ!

ユイ

あ~

ユイ

ケイコさん、私に嫌がらせすることに意識が行っていて、

ユイ

大事な部分、聞き逃していたんですかね

ユイ

それがヒロインを望む人がやることですか?

ケイコ

そんな、絶対に言ってなかったわよ!

ユイ

周りの人に聞けばわかることですが、

ユイ

しっかり、言ってましたよ

ユイ

聞いてなかっのは、ケイコさんだけじゃないですか?

ケイコ

ふざけないでよ!

ケイコ

私の方が先輩なのよ!

ケイコ

その口の利き方はないんじゃないの!?

ユイ

劇団に先に入ったのはケイコさんの方ですが、

ユイ

芸能界でヒロインになるためにはどんな手でも使う、

ユイ

って言っている人を、先輩扱いしたくなんてないですよ

ケイコ

は?何よそれ、

ケイコ

随分生意気じゃないの!

ユイ

監督に激怒されて、ショックですもんね

ユイ

「変更点を聞き逃すなんて、役者失格だ!

ユイ

「もう明日から練習に来なくていい!」

ユイ

とも言われちゃってましたもんね

ケイコ

うるさいわね

ケイコ

それも、これも、

ケイコ

全部あなたのせいよ!

ケイコ

他の劇団からも監督が見に来ていたのに

ユイ

昨日は特に人数が多かったですからね

ユイ

大恥かいちゃいましたね

ケイコ

今度の公演から、絶対にあなたにヒロインのやくなんて渡さないんだから!

ケイコ

どんな手を使ってでも、今度こそヒロインになって最後まで講演するわ!

ユイ

あ、あともう1つケイコさんに話すことがあります

ケイコ

何よ!

ユイ

ケイコさん、昨日づけて劇団を退団しろ、だそうです

ユイ

つまり、役者クビです

ケイコ

は?

ケイコ

どういうこと!?

ケイコ

理解できないわよ!

ユイ

理解しようとしなくてもいいです。ですが、もう決定事項です。監督からの

ユイ

あっ、それと最後にもう1つ

ケイコ

何?まだ何かあるの?

ユイ

監督に「もう明日から練習に来なくていい!」

ユイ

って言われた後、即行で帰りましたもんね

ユイ

そのあとに起きたこと、知るはずがないですよね

ケイコ

じれったいわね!だから何よ!

ユイ

まあ、溜める必要ないですね。今までケイコさんに私がしてきたこと、

ユイ

もちろん監督が大事にしていた髪飾りを壊したのはケイコさん、ということ

ユイ

嫌がらせをしてきた時の音声など、

ユイ

全部監督に提出しました

ケイコ

何ですって?

ユイ

私が度胸ないやつ、って思いました?

ユイ

臆病な振りをしていれば、

ユイ

ケイコさんも嫌がらせの度合いがヒートアップするかな、と思ったんですよ

ユイ

証拠は多い方が、ケイコさんがどれだけ汚い人なのか、

ユイ

監督も分かりやすいと思って

ケイコ

私のこと、騙してたのね?

ケイコ

あなただって汚いじゃないの!

ユイ

私は被害者です

ユイ

その証拠を見せただけですし、

ユイ

ケイコさんに何も仕返し、してないですよね?

ユイ

その私のどこが悪いのか、説明してくださいよ

ケイコ

それは、

ユイ

言えるはずがないですよね?

ユイ

あっ、ちなみにケイコさんと一緒に嫌がらせしていた人たちは、

ユイ

ケイコさんに頼まれてやった、って言ってましたよ

ケイコ

は!?

ケイコ

あいつらも、裏切ったのね!

ケイコ

絶対に許さないんだから!

ユイ

あの、

ケイコ

何!?

ユイ

この先も役者を続けるつもりですか?

ケイコ

そうよ!今回のことで心に決めたわ!

ケイコ

あんたらより良い劇団に入って、

ケイコ

ずっといい役についてやるんだから!

ユイ

それは、もうこの先一生難しいと思いますよ

ユイ

昨日は、他の劇団の監督も来ていたんです

ユイ

その中で、先輩が嫌がらせしていたことを告白したんですよ?

ユイ

その場にいた人全員が衝撃を受けて口を開けていて、

ユイ

きっとケイコさんの顔と名前、知れ渡っちゃっています

ケイコ

そんな

ケイコ

嘘でしょ?

ユイ

ちなみに、

ユイ

うちの監督、劇団の監督の間では顔が広いので、

ユイ

今回のこと、「知り合いの監督にばらまいて一生役者になれなくしてやる」

ユイ

って言ってましたよ

ケイコ

これまで役者一本で生きてきたのに、

ケイコ

演劇以外、私に強みなんてないのよ

ケイコ

ねえ、お願い、

ケイコ

あなたから私が復帰できるように監督に言ってくれない?

ケイコ

これまでのことは本当に悪かったわ

ユイ

今頃ですか?

ユイ

散々、好きなようにやってきてピンチになったら助けを求めるなんて、

ユイ

卑怯だと思わないんですか?

ケイコ

本当に、今回のことは申し訳なかったと思ってる

ケイコ

だから、お願い

ケイコ

あなたから言えば監督も考え直してくれると思うから

ユイ

私は、この時を待っていたんですよ

ユイ

なるべく多くの人に公演を見てもらえる日を

ユイ

そうすれば、ケイコさんがどんなに卑劣な人なのか知ってもらえるので

ケイコ

本当に、悪かったわ

ユイ

せっかくここまで我慢してきたんです

ユイ

私から監督に「ケイコさんのこと許してあげてください」

ユイ

だなんて、口が裂けても言うはずありません。

ユイ

自分の人生、棒に振りましたね

ユイ

これからの人生、せいぜい頑張ってくださいね

~後日談~

ユイ

最終公演まで無事終えた私は、次回の演劇のヒロインもやらせてもらえることになりました。

ユイ

嫌がらせに耐える日々は辛く、苦しかったですが、周りの友人にも証言してもらい、

ユイ

今はやりたかった演劇に毎日打ち込めています

ユイ

ケイコさんは、聞いたところによると親の実家に行ってしばらく住まわせてもらえないか、

ユイ

と頼んだみたいですが、「仕事が不安定な人をいくら娘でも住まわせない」

ユイ

と追い出されたみたいです

この作品はいかがでしたか?

7

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚