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ミカ
気になることがあるんだけど、結婚式でリンの様子が変だったの
スイ
変って、どんな風に？
ミカ
顔面蒼白で、じっとあなたのほうを見ていたの
スイ
えっ？知らなかったな
スイ
気のせいじゃない？それとも、俺に見とれてたとか？
ミカ
何言ってるのよｗ
ミカ
思いつめてるような表情にも見えなくもなかったし
スイ
まぁ、俺には関係ないんじゃないんじゃない？
スイ
君の従妹だから、何回か会ったことがあるけど
スイ
親しくしていたわけじゃないしね
ミカ
そう？なら、いいんだけど･･･
スイ
ところでさぁ、今日の披露宴の後
スイ
二次会で友達と飲みに行ってきてもいい？
ミカ
何言ってるのよ！結婚式当日に友達と飲みに行く人なんている？
スイ
結婚したから独身じゃないけど、今日で独身気分とはサヨナラして
スイ
明日からは、ちゃんと君を一番に考える旦那になると約束するよ
ミカ
それは本当？何よりも私を優先させるって？
スイ
本当さ！
ミカ
明日の午前中に新婚旅行に行くってこと、忘れないでよね！
スイ
もちろんだよ。
ミカ
飲み過ぎないって、約束できる？
スイ
約束するよ
ミカ
ちゃんと今日中に帰ってきてよ！
スイ
分かってるよ
ミカ
約束できるんなら、飲みに行ってもいいわよ
スイ
感謝するよ！
～披露宴後～
スイ
今日の結婚式では、肝が冷えたよ
スイ
ミカの奴が君の表情を見て、何か思うようなところが
スイ
あったらしくて、俺に心あたりがないか聞いてきたんだぜ
リン
えっ？私の表情がどうかした？
スイ
お前、ジッと俺のほうを見ていたそうじゃないか？
リン
それは、無意識だわ。ミカのことが妬ましかったの
スイ
約束しただろ？この結婚は必要なことだって
スイ
お前は分家だから、本家の生まれのミカが気にくわない
スイ
財産が手に入ればって、言ってただろ？
リン
それは、そうだけど･･･
スイ
結婚して、土地も建物も名義を俺名義にしなくちゃな
スイ
それから、それを売って現金にしようぜ！
スイ
その金で、マイホームを建てようか？
リン
それはいいわね！
リン
でも、そんなに簡単にいくかしら？
スイ
失敗を恐れていたら、何もできないよ
リン
それはそうでしょうけど･･･
リン
おじさんはやり手の実業家で有名なんだよ
スイ
それはそれで、やり方があるってことだよ
スイ
それにこの結婚には、愛は存在しないしね
リン
それは、本当？信じていいのよね？
スイ
この結婚は愛のない結婚だから、カウントされないんだよ
スイ
君との結婚が本当の結婚だと思ってくれたらいい
スイ
息子が産まれたら、財産は俺たちのものだ
スイ
あとは、上手いことやればいいんだよ
リン
悔しい！結婚式を見ただけでも妬ましいのに！
スイ
まぁ、そう言うなよ。二人で計画を立てただろう？
リン
もう、仕方ないわね！
～翌日～
ミカ
スイ、どこにいるの？
ミカ
空港の出発時間まで、あと一時間しかないのよ！
スイ
ごめん。昨夜、友人と朝まで飲んでいて･･･
ミカ
昨日、ちゃんと昨夜のうちに帰るって、約束したでしょ？
スイ
約束を守れずに、ごめん
スイ
今からじゃ、間に合わないかも？
スイ
頭は痛いし、動けないよ
ミカ
そんなに飲むなんて、新婚旅行はどうなるの？
スイ
明日、出発にしないか？
ミカ
そんなこと、できるわけないじゃない！
ミカ
チケットを買ったし、ホテルの予約もしたのよ！
ミカ
今、どこにいるの？迎えに行くから！
スイ
えーと、ここは旅館だけど･･･
ミカ
なに、どういうこと？
ミカ
友達と飲んでたんじゃなかったの？
ミカ
誰と飲んでいたの？
スイ
うーん、リ･･･
ミカ
え？
スイ
とにかく、今日はもう動けないんだ
スイ
頭痛がひどくて･･･
ミカ
今どこにいるの？
スイ
近くにいるから心配いらないよ
ミカ
近くにいるんだったら、なおさらよ
ミカ
今から急いだら、間に合うし･･･
ミカ
場所を教えてよ！
ミカ
今から迎えに行くから
スイ
とにかく、今日はもう無理だよ
スイ
しつこくしないでくれよ！
スイ
お前はただのお財布代わりなんだから！
ミカ
ちょっと待ってよ
ミカ
それはどういう意味で言ってるの？
スイ
そのままの意味だよ。お前は俺のお財布代わりでしかないんだよ
ミカ
なんですって！
スイ
頭が痛いんだよ
スイ
とにかく、今日は無理
スイ
一寝入りさせてくれよ
スイ
朝まで飲んでたんだから
ミカ
ちょっと、待ちなさいよ！
～翌日朝～
ミカ
朝早くごめんね
ミカ
ちょっと頼みがあるの
モモ
どうしたの？こんな朝早くから
ミカ
やってほしいことがあるんだ。もちろん、お礼はするわよ
モモ
何、何、それって？
ミカ
私の結婚相手の顔って覚えてる？
モモ
うん。覚えてるわよ
ミカ
じゃあ、今から言う場所に行って、張り込みして欲しいの
モモ
いったい、どうしたの？結婚式挙げたばかりじゃないの？
ミカ
そうなのよ。結婚式の当日に友達と飲みに行くって言って
ミカ
出て行って、そのまま連絡つかなかったの
ミカ
それで、今日の朝にやっと連絡ついたんだけど
ミカ
今日の新婚旅行は無理だから、明日にしてくれだなんて
ミカ
寝ぼけたこと言ってるの
モモ
えー、信じられない
モモ
何言ってるのっていう感じよね
ミカ
こんなおかしな話、聞いたことないでしょ？
モモ
なんか、心当たりはあるの？
ミカ
それがさぁ、浮気してるみたいなんだよ
モモ
えー、まさか？
ミカ
それが、まさかなの
ミカ
旅館に泊まってるらしくて、出てきたところを写真を撮って欲しいの
モモ
なんで、泊ってる場所を知ってるの？
ミカ
スイのやつ、間違って泊るところをラインしてきたの
モモ
間違えて？馬鹿なんじゃない？
ミカ
そうなの。馬鹿だと思ってたけど、ひどすぎない？
ミカ
飲みに行くって言ってたから、酔っぱらってるのよ
モモ
結婚式の後に浮気だなんて、信じられないわね！
ミカ
そうよ！馬鹿にしてると思わない？
ミカ
情けなくなるわ。結婚式から数日で離婚だなんて
ミカ
スピード離婚もいいとこだわ！
モモ
やっぱり、離婚するの？
ミカ
当り前よ！
ミカ
結婚式当日に浮気をする旦那なんて、いらないのよ！
ミカ
張り込み、よろしく頼むわよ
モモ
了解！
～翌日夕方～
ミカ
あなた、昨日間違って、ラインしてきたわよね？
スイ
えっ？何のこと？
ミカ
おかしいと思って、昨日の最後の連絡の後
ミカ
友人に頼んで、滞在先を張り込んでもらったの
スイ
滞在先？何で知ってるんだ？
ミカ
昨日の夜、ラインしてきたじゃない？
スイ
えっ？酔ってたから、覚えてないよ
ミカ
あなた、私を最優先するとか言っといて
ミカ
その日のうちに裏切るとはね？
スイ
へ？
スイ
裏切るって、なんのこと？
スイ
俺は友達と酒を飲んでただけなんだぜ
スイ
君は昨日、飲みに行くのを許してくれたじゃないか？
ミカ
約束どうりに昨日のうちに帰ってきたら
ミカ
何も言うことなかったんだけど
ミカ
あなたの裏切りに気づかなかったわ
ミカ
結婚式の当日に、まさかこんなことってある？
ミカ
友人と飲みに行くって嘘をついて、旅館にリンと泊ってただなんて！
スイ
誰がそんな嘘を言ってるんだ？
スイ
そんなのあり得ないだろ？リンは君の従妹だし･･･
ミカ
よく、そんなことが言えるわね？
ミカ
昨日は大変だったのよ
ミカ
叔母さんがリンがいないと言って
ミカ
ちょっとした騒ぎが起きたのよ
スイ
そうなんだ･･･
ミカ
ちょうど二次会に来ていたリンの友達が
ミカ
リンが車に乗って、どこかに行ったのを見たっていう
ミカ
目撃情報があったのよ
スイ
へー
ミカ
車を運転していたのは、男性っだったと言ってたわ
ミカ
その車は外車で、あなたの車と一緒だったの
スイ
俺が乗ってた車と、車種がいっしょっだっただけで
スイ
俺とは関係ないじゃないか？
ミカ
図々しいわね！
ミカ
まだ、しらばっくれるつもり？
ミカ
あなたの浮気の証拠の写真だって、あるのよ！
スイ
証拠写真だって？
スイ
そんなの、あるわけないじゃないか？
スイ
合成写真じゃないの？
スイ
君は騙されてるんじゃないのか？
ミカ
写真を撮ってくれたのは、私の親友よ
ミカ
騙してるのは、あなたじゃない？
スイ
俺より、友達を信じるのか？
ミカ
そうよ！あなたのことは、信じられないわ！
ミカ
もう、あなたとは離婚よ！
ミカ
結婚式の当日に裏切るような旦那なんて、願い下げなの！
スイ
ちょっと、待ってくれよ
ミカ
ところで、あなたの両親、空港で土下座して謝っていたわよ
スイ
なんだって、どうして両親が土下座なんかしてるんだよ?
ミカ
結婚式の当日に浮気をするなんて、バカ息子を許して欲しい
ミカ
と言ってたわ
ミカ
うちの親もビックリしてたわよ
ミカ
相手が姪っ子なんだから、当然だよね
スイ
離婚は止めてくれよ
スイ
リンとは別れるから。お願いだよ！
ミカ
あなた達、随分長い間騙してくれたわね！
ミカ
あなたとリンは私と付き合う前からの、付き合いですってね？
スイ
えっ？何のこと？
ミカ
出会いの時も、作戦を練って私に近づいて来たんですってね？
ミカ
それもこれも、財産を狙ってのことですってね？
スイ
そんなわけないだろ？誰がそんなことを言っているんだ？
ミカ
リンから全部話を聞いたわ
ミカ
録音した音声もあるのよ！
スイ
何のこと？
ミカ
旅館のレストランでリンと食事してたでしょ？
ミカ
友達に頼んで、会話を録音してもらったの
ミカ
私とあなたの出会いの頃の話とか、財産の話とか
ミカ
普通に食事しながら、話していたそうね？
スイ
そんな話、記憶にはないよ
ミカ
しらばっくれても、こっちには音声があるんだから
スイ
俺が悪かったよ。リンとは別れるから
スイ
やり直してくれないか？
ミカ
そんなの無理よ。嘘をついて結婚式当日に他の女と旅館にいるんだから
ミカ
そんな人の、いったい何を信じればいいというの？
スイ
そんなこと言わずに、やり直そう
スイ
誠心誠意頑張るから、頼むよ
ミカ
もう、あなたとは無理なの
スイ
そんな･･･
～翌日～
ミカ
あなたの両親が慰謝料を払ってくれると言ってたわよ
ミカ
結婚式にかかった費用を返金してくれるんだって
ミカ
バカ息子に支払わせる。もう、自分たちは息子と縁を切るだって！
スイ
そんな馬鹿な話があるかよ
ミカ
うちの両親とあなたの両親とで、家族会議を開いたの
ミカ
あなただけでなく、リンにも慰謝料を払ってもらうわ！
ミカ
それで、あなたの分の慰謝料は500万円と決まったの
スイ
500万円だって？そんなには支払えないよ
ミカ
払えなくても、働いて払ってもらうわ
ミカ
あなたのご両親は、あんたを勘当すると言っていたわよ
スイ
そんなぁ。あんまりじゃないか
スイ
500万円なんか、無理だよ
スイ
もう少し、どうにかならないか？
ミカ
無理だわ。これ以上は弁護士をとおしてくれる？
スイ
随分冷たいじゃないか？
スイ
俺達は夫婦になるところだったのに･･･
ミカ
こんなことになったのは、全部あなたが悪いのよ
ミカ
黙って、慰謝料を払いなさいよね！
スイ
そんな、ひどいよ･･･
～後日談～
ミカ
スイの慰謝料は給料から天引きされることになりました
ミカ
両親から勘当されたので、アパートの家賃を支払うのに
ミカ
夕方からのアルバイトでダブルワークをし、コマねずみのように
ミカ
働いているそうです
ミカ
従妹のリンはスイが借金持ちになり、自分も借金まみれ
ミカ
会っていても喧嘩ばかりで、別れることになったそうです
ミカ
スイがリンと別れるから、許して欲しいとラインしているのを
ミカ
知ったのが、一番大きな別れの決定打になったようです
ミカ
リンも親から勘当されたので、出稼ぎに外国に行ったのだとか
ミカ
そんな噂を聞きましたが、その後の消息は途絶えています
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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