環
僕には小学生のとき
将来の夢なんて
ありませんでした。
将来の夢なんて
ありませんでした。
環
そんな僕に
夢を与えてくれたのは
永遠くんでした。
夢を与えてくれたのは
永遠くんでした。
環
永遠くんとはとても
仲が良くて
互いにあだ名で
呼び合う仲でした。
仲が良くて
互いにあだ名で
呼び合う仲でした。
環
後にも先にも
永遠くん以上に仲が
良くなれた子はいません。
永遠くん以上に仲が
良くなれた子はいません。
小学生のとき
環
とっちゃん!
お見舞い来たよ!!
お見舞い来たよ!!
永遠
え!
永遠
たーくん
ありがとう!!
ありがとう!!
永遠
初めて友だちが
お見舞来てくれたよ!
お見舞来てくれたよ!
環
え!!
環
他のクラスの奴らは?
永遠
来てないよ?
環
まじかよ!
環
友だちが倒れたんだから
普通心配するだろ!
普通心配するだろ!
環
あいつら薄情だなぁ
永遠
ふふっ
永遠
僕、体弱くて
倒れてばかりだから
みんな まただとしか
思ってないと思うよ?
倒れてばかりだから
みんな まただとしか
思ってないと思うよ?
環
はぁぁぁ?
環
何回でも関係ねぇ!
俺はいつでも来るぜ
俺はいつでも来るぜ
永遠
おおお
永遠
嬉しいなぁ…
環
(俺は親の都合で
引っ越してきた。)
引っ越してきた。)
環
(1番最初に
話しかけてくれたのは
とっちゃんだった。)
話しかけてくれたのは
とっちゃんだった。)
永遠
ねぇねぇ
環
ん?
永遠
ずっと立ってるのも
アレだし、
そこの椅子に
座りなよ?
アレだし、
そこの椅子に
座りなよ?
環
おお、そうだな!
数時間後
環
やっば
環
長話しすぎた!
永遠
ほんとだ
永遠
お外真っ暗だよ
環
やべー、親に
怒られちまう
怒られちまう
永遠
はははっ
永遠
でもさ、
永遠
星きれいだよ?
環
ほんとだ!!
環
良いもん見れたなぁ
永遠
ねぇ……
環
ん?
永遠
天国ってどこに
あると思う?
あると思う?
環
ええ
環
どうしたんだよ
永遠
実はさ
永遠
僕、お母さんいないの
環
え…
環
この前遊んだ時に
いた人は?
いた人は?
永遠
あの人は
新しいお母さん。
新しいお母さん。
永遠
お父さんが再婚したの
環
そうだったのか…
永遠
僕、またお母さんに
会いたい。
会いたい。
永遠
だから、僕ね
宇宙飛行士になるの
宇宙飛行士になるの
環
なんで?
永遠
宇宙って広いでしょ?
だからきっとどこかに
あると思うんだ!
だからきっとどこかに
あると思うんだ!
永遠
それか、生きてる人には
見えないだけで、
意外と近くにあるのかも?
見えないだけで、
意外と近くにあるのかも?
環
なるほどねぇ
永遠
でも、僕には
無理かな……
無理かな……
永遠
あんなかっこいい仕事
僕には向いてないかも
僕には向いてないかも
環
そんなことねぇよ!
環
とっちゃんは
十分かっこいい!
十分かっこいい!
環
だって今から将来の夢
あるんだぜ?
俺は将来考えたことすら
ねぇよ!!
あるんだぜ?
俺は将来考えたことすら
ねぇよ!!
永遠
そっかぁ
永遠
ありがとう
たーくん
たーくん
永遠
僕がんばるよ!
環
おう!
環
俺になんか
手伝えることが
あったら助けるぜ!
手伝えることが
あったら助けるぜ!
永遠
じゃあさ
環
うん
永遠
僕がなんらかの事情で
探せなくなった時
たーくん探して
見つけて欲しい。
探せなくなった時
たーくん探して
見つけて欲しい。
環
はぁ!?
環
お前、始める前から弱気に
なってんじゃねぇよ
なってんじゃねぇよ
永遠
それもそうだね笑
永遠
絶対に天国の場所
見つけてやる!!
見つけてやる!!
環
その意気だ!!
中学2年生
環
あーぁ…作文終わらねぇ
環
なんだよこれ、原稿用紙
4枚とか夏休みの課題かよ
4枚とか夏休みの課題かよ
環
タイトルは
「将来の夢」ねぇ
「将来の夢」ねぇ
環
そういえば、とっちゃん
どうしてんだろ
どうしてんだろ
環
中学入ってから
クラス違くて
話してねぇや
クラス違くて
話してねぇや
翌日
女子A
先生、先生よんで!
環
(なんだ、廊下が
騒がしいな)
騒がしいな)
男子A
おい、しっかりしろ
男子B
ちっ、こりゃあ
意識とんでるわ。
先生より救急車のが
良いんじゃね
意識とんでるわ。
先生より救急車のが
良いんじゃね
環
誰か倒れたのか?
環
(なんか嫌な予感がする)
女子B
環くん!!
スマホ貸して!!!
スマホ貸して!!!
環
なんでだよ
女子B
今移動教室だったから
うちのクラスみんな
スマホ持ってないの!
うちのクラスみんな
スマホ持ってないの!
女子B
お願い、はやく
環
わかったよ、
ちょっと待ってろ
ちょっと待ってろ
女子B
もう、もっと急いで
女子B
あんた、小学生のとき
永遠くんと仲良かった
でしょ?
永遠くんと仲良かった
でしょ?
環
は?永遠?
環
とっちゃんがどうした
女子B
だからさぁ
女子B
永遠くんが倒れたの!
女子B
はやくしてよ!!
環
うそ……
環
とっちゃん……
ーーーーーーー
環
それから俺は
どうやって家に
帰ってきたのか
わからない。
どうやって家に
帰ってきたのか
わからない。
環
その後、女子にスマホを
貸したのか、貸してないのか、
他の奴が貸したのか
知らない。
貸したのか、貸してないのか、
他の奴が貸したのか
知らない。
環
あのときは、
ショックが大きすぎて
目の前が真っ暗になって。
ショックが大きすぎて
目の前が真っ暗になって。
環
とりあえず、とっちゃんは
病院に運ばれた。
病院に運ばれた。
環
でも、
環
間もなくして
とっちゃんは死んだ。
とっちゃんは死んだ。
環
あっという間だった。
環
とっちゃんはクラスで
いじめられてたらしい。
いじめられてたらしい。
環
原因はとっちゃんの性格が
大人しいせいで
クラスの不良グループに
目をつけられたそうだ。
大人しいせいで
クラスの不良グループに
目をつけられたそうだ。
環
最初はいじりレベルの
可愛いもんだったらしい
可愛いもんだったらしい
環
だが次第に残酷さを
増していったそうだ
増していったそうだ
環
俺はすごい悔やんでいる。
環
あのとき、
話しかけていれば
話しかけていれば
環
あのとき、あのとき、って
たくさん思いつく。
たくさん思いつく。
環
しかし、
もう終わったことだ
もう終わったことだ
環
とっちゃんはもういない
環
悔やんでも仕方ない
環
俺がとっちゃんに
してやれることは……
してやれることは……
数時間後
環
やっとだ
環
やっと夢を
叶えられるときがきた。
叶えられるときがきた。
環
(僕は必死で勉強して
宇宙飛行士になった。)
宇宙飛行士になった。)
環
とっちゃん
環
僕がとっちゃんの代わりに
天国の場所探してやるからな
天国の場所探してやるからな
あとちょっとで外気圏突破
環
もう少しで宇宙だなぁ
環
ふぅ
そのとき
環
え……
永遠
環
ほんとかよ
永遠
環
久しぶりだな、
環
とっちゃん!!!
宇宙突入
環
天国…
環
もう場所わかっちまった。
環
あとはいつか
乗り込むだけだな。
乗り込むだけだな。
環
待ってろよ、
とっちゃん。
とっちゃん。
天国は地球と宇宙の間に あったのでした。







