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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ナツ

…暑いなぁ。なんでこんなに暑いの

ナツ

か弱いレディが一生懸命引っ越し作業してるというのに…

引っ越し作業中。 肝心な同居人は手伝ってくれず リビングでゲームばかりしてる。

おっ、あっ!おっしゃ!

ナツ

おい!仁!

…わっ、あっ、うわうわ!
右か!うわ、ちくしょー

いきなり大きい声出すな!

死んでしまったやんお前のせいやで

ナツ

なにその関西弁

ナツ

ちょっとくらい手伝って
くれてもいーじゃん!

はぁ〜〜?

オメーの引っ越し作業だろうが

俺に助けを求めるな!忙しい!

ジンはピシャッとそう言い切って またゲームを進めようとした。

ナツ

…この薄情者の恩知らず…

ナツ

この2年間あたしが作ったご飯を食べて健やかに過ごして

は?

ナツ

あたしが洗濯した服を着て可愛い女の子とデートしまくってたのはどこの誰なの?

恩着せがましく嫌味ったらしい 言い方しか出来ないあたしの性悪。

……はぁ

ナツ

面倒くさいって感情を隠し切れてない顔してるよ

そりゃそーだよ。出てくって決めたのお前だろ?

手伝いたかないね

舌を出してベーっとしてみせて、 リビングから出て行った。

ナツ

……子供かよ……

ナツ

って、あたしも人のこと言えないや…

拗ねたような、 まだ納得いかないという表情に 胸がギュッと締め付けられた。

拗ねたジンは自分の部屋に戻って行ってしまった。あたしも部屋に戻って荷物を詰める作業に取り掛かる。

ナツ

…あ、姉ちゃんの結婚式の写真だ

整理してると、アルバムが。 幸せそうに笑うお姉ちゃんと 仁のお兄ちゃん。家族の写真。 あたしと仁は、義理の兄妹になる。

幼なじみだったあたしたち。 お姉ちゃん達が結婚したのは3年前。 仁とあたしはお互い実家から少し 離れた大学だったから 家賃も浮くし安心だからと、 両親の意向でほぼ強制的に決まり 2人暮らしする事になった。

ナツ

………

同居して2年、アルバイトをして コツコツ貯めたお金で、 引っ越す事に決めた。

…限界だった。 あたしの初恋の相手は仁で、 自信がなくてずっと押し殺していたら いつの間にやらその初恋は 叶えてはいけない恋になってしまって ジンが他の子と遊んでいるのを 見ているのもどうしようもなく、 ものすごくしんどかった。

ナツ

…あーっ、またネガティブな事考えてる!知らん知らんっ、つまらんつまらん!さっさと引っ越そ!

本棚に置いてある漫画や本や アルバムをダンボールに詰め込んで、玄関先に運び込もうと部屋を出た。

…おいナツ

ナツ

…わっ!何急に!

ドアを開けるとでかい図体した仁が すぐそこに立ってて。 ちょっと気まずそうに 視線をそらして、

オムライス食いたい

ナツ

…は?

ナツ

自分で作れ!俺は忙しい!

おいそれちょっと俺の真似しただろ

なんちゅーマイペースな男。 ちょっとイラッときてジンを無視して 通り越して歩いてくと、 ガッ、とダンボールを掴まれた。

ナツが作ったのがいーんだわ

手伝ってやるから終わったら作ってよ

ダンボールを持ち上げて少し笑った。 ずるいなぁと、思いながらも 嬉しかった。嬉しかったけど。

ナツ

ふんっ、

ナツ

明日の運び出しも手伝ってくれるなら
作ってあげてもいーよ?どお?

……それは保留で。

ボソッと呟くとそれから黙々と ダンボールを玄関まで運び出し、 詰める作業も手伝ってくれて 掃除機まで掛けてくれるという 珍しく見事な仕事っぷりだった。

とりあえずひと段落終わって、 あとは明日の昼に両親が手伝いに きてくれたら新しいアパートに 荷物を運び出すだけ。

ナツ

オムライス、パパッと作ってやるかぁ…

もー腹ペコペコだ。頼んだぞー

オムライスを作りながら、 あれ、もしや仁に料理作るのは これで最後かな…? そう思うと少し寂しいけど 一生懸命心を込めてオムライスと オニオンスープを作った。

ナツ

できたー!

ナツ

手洗って食べよーよ、最後の晩餐よ

テレビを見てた仁に そう話しかけると、 少し不機嫌そうな表情をしてる。

ナツ

…なによ?
もっと嬉しい顔してよねぇ
せっかく気合い入れて
作ったのに…

…最後とか言うなよな。
またいつでも来れるだろ
てか来いよ

ナツ

え…あぁ?うん

飯作りに

ナツ

言うと思ったわ

ナツ

あたしはあんたのオカンか

…いただきます

おもむろにオムライスに口を付けて、 美味しそうに頬張ってくれてた。 同居してからはその顔を見るのが 嬉しくて、あたしは慣れない 料理を頑張ってた。

さよならのお引っ越し

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