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トモカ
サトシ、今日も練習お疲れ様
サトシ
うん、ありがと
サトシ
ちょうど今、朝練終わったところ
トモカ
あのさ、ちょっと聞きたんだけど、
サトシ
どうしたの？
トモカ
今度の試合、見に行ってもいいかな？
サトシ
うん、もちろん
サトシ
見に来てくれたら嬉しいよ
トモカ
やった！
トモカ
じゃあ、友達誘っていくね
トモカ
それでさ、その時に差し入れ持って行こうと思うんだけど、
トモカ
何か食べたいものとか、ある？
サトシ
あ～
サトシ
そういうのは、いいや
トモカ
え？なんで？
トモカ
私、今週時間あるし、何でも好きなもの言ってくれていいよ
トモカ
頑張るからさ
サトシ
いいよな、自由に過ごせる時間があって
サトシ
俺は、ほぼ夏の大会のあと、ほぼ毎日部活だ、っていうのに
トモカ
夏の大会、残念だったね...
トモカ
でも、サトシは頑張ってたと思うよ
トモカ
スタンドでずっと見てたけど、すごく一生懸命だったし
トモカ
応援も、誰よりもしてたじゃん
サトシ
一生懸命やっても、勝てなかった、ってことだよ
サトシ
今は俺はその程度のレベルだ、ってこと
サトシ
野球以外のことに、気とられてる暇なんてないんだよ
トモカ
でも、ちょっとは休んでもいいんじゃない？
トモカ
この前のサトシの誕生日だって、お祝いできなかったから
トモカ
付き合って初めての誕生日なのに...
サトシ
でも、誕生日は毎年あるじゃん
サトシ
野球の試合は、そう毎年ないんだよ
サトシ
甲子園目指すなら、一回一回の試合が本番なんだ
サトシ
俺は、練習でさえ本番だと思ってるから
トモカ
そっか...
トモカ
サトシが野球に真剣なのは、十分分かったよ
トモカ
でも、もう少しだけでいいから、私のことも考えてほしいな、って思ったの
サトシ
そんなわがまま、言うなよ
トモカ
わがままじゃなくて...
トモカ
これが今の私の気持ち、ってことを話したかっただけ
トモカ
思ってるだけじゃ、伝わらないと思ったから
トモカ
じゃあ、それだけ
トモカ
明日の部活も、頑張ってね
～翌日の夜～
サトシ
トモカ
サトシ
あのさ、差し入れとか持ってこなくていい、って言ったじゃん
トモカ
サプライズしよう、と思って...
サトシ
ビックリした？
トモカ
サトシが好きな鮭おにぎり、持って行ったの
サトシ
美味しかったよ
サトシ
全部食べた
サトシ
でもさ、本当に、これから差し入れは持ってこないで
トモカ
いいじゃん、少しくらい
トモカ
応援したいだけなのに
トモカ
何でそこまで拒むの？
サトシ
先輩とか、監督に目つけられるからだよ
トモカ
え？どういうこと？
サトシ
夏の試合後に、先輩が彼女と付き合ってるのが監督にばれたんだ
サトシ
監督は、恋愛とか野球以外のことに夢中になったから負けたんだ、
サトシ
って、恋愛することを良く思ってないんだよ
サトシ
時代に合った人じゃない、ってこと
トモカ
そんなの、サトシが気にすることじゃないんじゃん
サトシ
気にするんだよ
サトシ
俺が直接言われたわけじゃない
サトシ
でも、俺が今野球に真剣にならなきゃ、その先輩と同じ未来になるかもしれないじゃん
トモカ
野球を一番に考えたいことは、分かったよ
トモカ
でも、一切話さない、とか電話しない、とか、
トモカ
そこまでしなくてもいいじゃん
サトシ
電話なら今してるじゃん
トモカ
夏から、サトシから連絡してくること、なくなったじゃん
トモカ
いつも、私ばっかりで、真剣になってる気がするんだよね
サトシ
そんなことねーって
サトシ
気にしすぎなんじゃないの？
トモカ
気にするよ！
サトシ
トモカを不安にさせたのは、謝るよ
サトシ
でもさ、俺からもお願い
サトシ
あんまり、っていうかしばらくは、
サトシ
コートの近くに来るのやめて
サトシ
今日、監督とか先輩に見られてて、
サトシ
後輩のくせに余裕だな、ってぼそっと言われたんだよ
トモカ
えっ？そうなの？
サトシ
これは、本当だから
サトシ
トモカが思ってる以上に、厳しい部活なんだよ
サトシ
どう？分かった？
トモカ
分かった...
トモカ
もう、やめとく
～翌日の昼休み～
アヤネ
トモカ
アヤネ
昨日、サトシ君に差し入れのおにぎり、持ってきたでしょ？
アヤネ
うん、持って行ったけど...
トモカ
あれで最後になると思う
トモカ
先輩とか、監督に目つけられたんでしょ？
トモカ
あんまり、迷惑かけれないな、って
アヤネ
その通り
アヤネ
あれで最後にする気なら、良かった
アヤネ
しばらく差し入れも持ってこれないのに、最後のおにぎりも食べてもらえなくて残念だったね
トモカ
え？
トモカ
サトシ、食べてないの？
アヤネ
え？何があったか、聞いてないの？
トモカ
昨日、美味しかったよ、って言われたんだけど
トモカ
何かあったの？
アヤネ
あ～何にも聞いてないんだね
アヤネ
サトシ、先輩に見つかった後に、
アヤネ
トモカからもらったおにぎり、踏みつぶされちゃっててさ
トモカ
え...？
アヤネ
だから、一口も食べれてないよ
アヤネ
嘘、つかれちゃった、ってことだね
アヤネ
かわいそ～
アヤネ
彼女なのにね
アヤネ
相当、トモカに気遣わなきゃ、って思ってるんだろうね
アヤネ
監督と、先輩の目も気にして、トモカの機嫌も取らないといけなくて、
アヤネ
サトシ君、かわいそうだな～
トモカ
そんな...期限取ったもらいたいなんて思ってない！
トモカ
ただ、私はサトシに喜んでもらいたかっただけなの
アヤネ
それが迷惑なんだよ
アヤネ
いい加減、それくらい分かったら？
アヤネ
あっ！それでね...トモカが持って来てくれた差し入れは、食べれなかったけど
アヤネ
私が作ってきたおにぎりは食べてくれたよ
トモカ
えっ？
アヤネ
まあ、監督はマネージャーからの差し入れは選手への応援、と思ってるから
アヤネ
許してるんだろうね
トモカ
そんなこと、いちいち私に言わなくてもいいじゃん
トモカ
一応、言っておいたの
アヤネ
だって、単に私の差し入れは食べてくれた、っていうとさ、
アヤネ
誤解生まれるでしょ？
アヤネ
そうじゃなくて、マネージャーとしての特権で、差し入れは受け取ってもらえる、ってことだから
アヤネ
勘違いはしないでね
トモカ
勘違いなんてしてない
アヤネ
そうなの？
アヤネ
私のこと敵視してるみたいだから、
アヤネ
てっきり妬いてんのかと思った
トモカ
私、そんな心狭くないから
アヤネ
自分でそう思ってるだけで、周りはどう思ってるか分かんないよ？
アヤネ
この前の朝練の時も、最近トモカが鬱陶しくて、
アヤネ
なんか気分下がる、みたいなこと言ってたよ？
アヤネ
別れ切り出されるのも、時間の問題なんじゃないの？
トモカ
そんなことないもん！
トモカ
文化祭も近いし、そこでまた関係も戻る、って思うもん
アヤネ
あのさ、彼女なら好きな人が頑張ってること、
アヤネ
応援するもんじゃないの？
アヤネ
束縛みたいなことして、
トモカ
束縛なんて、してるつもりないよ
トモカ
ただ、このまま何もしないと、本当に離れて行っちゃう気がして
アヤネ
そうやって不安になるなんて、自分に自信がない証拠じゃない？
アヤネ
そういう重い女は嫌われるんだよ
トモカ
重くなんてないって！
アヤネ
まあ、それはそろそろ分かるんじゃない？
アヤネ
文化祭とか、学校行事はカップルができやすい、っていう時でもあるけど、
アヤネ
逆に三角関係ができて関係がこじれやすい時でもあるからね
アヤネ
トモカの場合は、どっちらだろうね
トモカ
は？
アヤネ
サトシ君が他の女の子を気にし始めるか、
アヤネ
トモカに気を持ち始めるか...
トモカ
アヤネ、何面白がってんの？
アヤネ
面白くてしょうがないわ
アヤネ
じゃあ、文化祭もあと3週間とかだし、楽しみだね
アヤネ
色々～
アヤネ
クラス発表の準備も頑張ってね～
～文化祭当日～
サトシ
トモカ
サトシ
あのさ、今日の後夜祭で話したいことがあるんだけど、
サトシ
終わったあと、いいかな？
トモカ
うん、分かった
サトシ
じゃあ、後夜祭が始まったら、プールに来て
トモカ
うん、OK
～後夜祭間近～
トモカ
ねえ、サトシ
トモカ
もうすぐで後夜祭始まるけど、来るんだよね？
トモカ
メインの花火、始まっちゃうよ？
サトシ
悪い！一緒に見れなくなっちゃった...
トモカ
は！？
トモカ
待ち合わせして、私にここに来させておいて...
トモカ
今更何言ってんの！？
トモカ
今、どこにいるの？
サトシ
部活の発表の片付けがあって...
サトシ
後輩の俺らがやらないといけなくて、
サトシ
でも、あと15分くらいで行けそうだから
トモカ
それなら、分かった
トモカ
あとさ、1個聞きたいことがあるんだった
サトシ
え？何？
トモカ
私がこの前差し入れで持っていったおにぎり、
トモカ
食べてなかったんでしょ？
トモカ
なんで嘘ついたの？
サトシ
踏まれた、って言ったらトモカ傷つくかな、って思って
サトシ
ごめん、黙ってた
トモカ
そんな、別に傷つくなんてないのに
トモカ
それよりも、ウソつかれたことの方がよっぽどショックだった
サトシ
それは、マジでごめん
サトシ
謝るよ
サトシ
そのお詫びに...なんてならないかもしれないけど、俺からトモカにサプライズがある
トモカ
今になってサプライズとか...
サトシ
これから上がる花火、実は俺とトモカのイニシャルを上げたかった
トモカ
え？
トモカ
何？どういうこと？
サトシ
最近、全然トモカに彼氏っぽいことしてあげれなくて...
サトシ
文化祭で何かしてあげたいな、って思ったんだよ
サトシ
それで、生徒会が挙げる花火で、花火にしてほしいイラストとか、
サトシ
リクエストできるのは、知ってるだろ？
トモカ
うん、知ってるけど
サトシ
でも、あれ中間テストの上位1位がリクエストできるんだよ
サトシ
なんとか頑張ったんだけど、全然1位とか無理だった
トモカ
サトシ、いっつも成績中間なのに、
トモカ
勉強頑張ってくれたの？
サトシ
まぁ、うん...
サトシ
でも、全然たんなかったわ
サトシ
せいぜい平均点どまりでさ
サトシ
部活も気抜けないから、勉強と両立しようと思った
トモカ
そんな、部活も毎日あったのに、大変だったでしょ？
サトシ
うん、ほんとしんどかったな～
サトシ
毎日4時に起きて、部活行く前に2時間勉強して、朝練言って...
サトシ
授業中も寝てることがほとんどだったわ（笑）
トモカ
確かに、最近サトシ、授業中に寝る回数が多くなったな、って思ってた
サトシ
まあ、体力的にしんどくなって、
サトシ
慣れないことしたからストレスも溜まってさ
サトシ
家族との喧嘩が増えたし、
サトシ
トモカにも、態度がひどくなっちゃった
サトシ
ほんと、ごめん
トモカ
私のことは、全然気にしなくていいんだよ
トモカ
それよりも、気にしてくれてたなんて、すごく嬉しいよ
トモカ
ありがとう
サトシ
いや、そんな感謝されるほどのことでもないから
トモカ
めちゃくちゃありがとう、って言いたいよ
トモカ
こんなに、私のこと考えてくれてたなんて、嬉しすぎる
トモカ
ありがとう、サトシ
サトシ
いや、それほどでも...
トモカ
そしたらさ、今から私も、サプライズあるんだ
サトシ
え？何？
トモカ
サトシが学年1位取れなかったのは、私のせいかもね
サトシ
えっ、それってもしかして...
トモカ
そう！私ね、今回の中間で学年1位だったんだ～
サトシ
マジかよ！
サトシ
すごいじゃん！
トモカ
ほんと、上位1位の子を抜くの、マジで大変だったんだから～
トモカ
総合点も、僅差だったし
トモカ
最後までハラハラしたけど、なんとか取れて本当に良かった
サトシ
それで、花火のイラストは何にしたの？
トモカ
それは、これからあがるからお楽しみでしょ？
サトシ
そうだね
サトシ
あのさ、もうすぐで片づけ終わるから、俺終わったらプールの方行くよ！
サトシ
花火はもう終わってるけど...
トモカ
花火なんて、一緒に見れなくてもいい
トモカ
少しでも一緒にいれたら嬉しいから
サトシ
じゃあ、倍速で片づけ終わらせるから！
サトシ
待ってて！
トモカ
うん
トモカ
急ぎすぎてケガとかしないでよ～
～後日談～
トモカ
私は花火でサトシと付き合って3か月目、という記念日の言葉を入れた花火を見れました
トモカ
サトシと一緒には見れなかったですが、自分ができる限りのことをできたと思っているので、
トモカ
勉強を必死に頑張ってよかったです
トモカ
これからも、長い付き合いをできるように、サトシのことを考えて自分ができることをしたいです
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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