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#感動
みずもち
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心愛
85
楽しかった旅行からしばらく経ったある日
俺はなお兄に付き添われて、再びあの大きな病院の診察室にいた
医者
医者から告げられたのは、予想していた通りの冷酷な現実だった
旅行の時よりも、俺の身体は確実に動かなくなっている
最近では、夜中に激痛で目が覚めることも増えていた
隣に座るなお兄の顔を見ると、唇を真っ白になるまで噛み締め、膝の上の拳をぎゅっと握りしめている
なお兄のほうが、俺よりずっと辛そうな顔をしていた
医者
医者
医師からそう説明されて、俺たちは重い空気のまま、数日分の薬を受け取ってシェアハウスへと帰ってきた
他のメンバーに怪しまれないよう、こっそり俺の部屋に入り、なお兄がコップに水を汲んで持ってきてくれる
なおきり
なお兄が手のひらに乗せて差し出してきたのは、見た目からして苦そうな、大きな錠剤だった
おまけに、鼻を近づけるとなんだかすごく苦い匂いがする
どぬく
俺はベッドの上で、あからさまに嫌そうな顔をして布団を頭まで被った
なおきり
なお兄は苦笑いしながら、優しく布団をめくった
なおきり
どぬく
なおきり
なお兄の心配そうな、でも逃がしてくれない『お兄ちゃん』の眼差しに負けて、俺は渋々ベッドの上に座り直した
手のひらの薬を口に放り込み、なお兄から受け取った水を一気に流し込む
やっぱり、舌の奥が痺れるくらい苦かった
どぬく
顔をしかめる俺に、なお兄は「よく頑張りました」とクスッと笑って空のコップを受け取る
俺は口の中の苦さに耐えながら、なお兄の顔を見上げて、わざと得意気に胸を張った
どぬく
なおきり
なおきり
大好きななお兄にたくさん撫でてもらえて、嬉しさが一気に込み上げてくる
俺は照れくさそうに笑いながら、嬉しさが限界突破した時に出てしまういつもの癖で
頭の上の耳をピクピクと動かして、お尻の後ろで尻尾をパタパタと小刻みに揺れ動いた
なおきり
なおきり
どぬく
なお兄と2人でケラケラと笑い合う
病気は確実に悪くなっているし、俺の命の終わりは近づいている
だけど、なお兄がこうして隣で俺の頭を撫でてくれる時間が、俺にとっては間違いなく
世界で一番幸せな瞬間だったんだ
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