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夏の夕暮れ、蒼と凛は近所のコンビニでラムネを買い、並んで歩いていた。
蒼
蒼は瓶のビー玉を指ではじきながら言った。
凛
凛は微笑んで、自分のペットボトルを軽く振る。
二人は小さいころからの幼馴染だった。
いつも一緒に遊び、喧嘩し、そして仲直りを繰り返していた
高校3年生の夏、受験を控えていたが、こうして一緒に過ごせる時間が愛おしかった
蒼
凛
ふと凛が立ち止まる。
凛
蒼
蒼の表情が一瞬固まる。
しかし、凛は何かを言いかけて、言葉を飲み込んだ。
その後二人は他愛もない話をしながら歩き続けた。
やがて日が沈み、別れ際、凛はふっと笑った。
凛
そう言って彼女は去っていった
翌日
凛はこの街から姿を消した。
家族の転勤が決まり、ずっと言い出せなかったのだと言う。
蒼はそのことを知らず、いつものようにコンビニでラムネを買った。
そして、一人でビー玉を鳴らしながら歩く。
凛
昨日の凛の言葉が胸に沁みた
ふと空を見上げると、澄んだ青空に飛行機雲が伸びていた。
まるで凛がいた場所を示すかのように。
蒼
ラムネの瓶を握りしめたまま、小さく呟いた
そして数年後
大学の夏休み、久しぶりに帰省した蒼は、ふらりとコンビニへ立ち寄った。
冷蔵ケースを開け、いつものようにラムネを取り出そうとしたとき--
凛
そこに、見覚えのある手が伸びていた
蒼
驚いたように見つめ合う二人。
凛
蒼
変わらない夏の夕暮れ。
再び巡り会えた奇跡に、ビー玉がコロリと鳴った。